☆骨粗鬆症
①ビスホスホネート製剤(骨吸収抑制、生命予後改善あり1st choice)
・ダイドロネル 1日1回200mg食間を2週間、10-12週間休薬を1クールとする
・フォサマック(ボナロン) 1日1回5mgまたは1週1回35mgを起床時に水180mlとともに内服
・アクトネル(ベネット) 1日1回2.5mgまたは1週1回17.5mgを起床時に水180mlとともに内服
・ボノテオ(リカルボン) 1日1回1mgまたは4週に1回50mgを起床時に水180mlとともに内服
・ホンヒバ 1ヶ月1回1mg静注
注意)
・椎体A、フォサマックとアクトネルは大腿A(他はC)
・フォサマックとアクトネルはステロイド性骨粗鬆症にも使う
・フォサマックはゼリー剤や注射剤もあり
・Ccrが30以下では禁忌
副作用)
・吸収不良:水道水で内服する(ミネラルウォーター、お茶、ジュース、コーヒー、牛乳は×、内服後30分は食事×)
・食道狭窄:内服後30分は座位を、入院中は中止する方がよい
・顎骨壊死:口の痛み、下唇のしびれ、口の白または灰色のできもの、顎の腫れ、歯が自然に抜けた、抜歯後の痛みがひかない等あれば中止する。服用開始前に歯科治療が必要な歯がないか確認すること。抜歯時は3ヶ月の休薬を(抜歯後は2-3週間置いて開始)。
・長期投与にて大腿骨転子下や骨幹部の骨折あり。3年以上の投与で骨粗鬆症リスク再評価を。
②SERM(椎体A/大腿C、骨吸収抑制、骨にはエストロゲン作用、子宮や乳腺ではエストロゲン拮抗)
・エビスタ 1日1回60mg
注意)骨作用の他、心血管イベント抑制、T-choL↓、LDL↓効果あり(ただし、TG↑、ホットフラッシュ、こむら返り、海外ではDVTの副作用あり、乳がんと子宮内膜癌は“増加させない”)。血栓傾向あるのでステロイド使用中は禁忌。
・ビビアント 1日1回20mg(エビスタより強力)
③抗RANKL抗体(椎体A/大腿A、破骨細胞の分化誘導に必要なRANKLを阻害、骨吸収抑制)
・プラリア 6ヶ月に1回60mg皮下注
注意)
・低Ca起こすので血清Caが高くない限りはビタミンDを補充しながら使う。特に腎機能低下ある時は注意。
・顎骨壊死や骨髄炎の副作用もあり。
④ビタミンD製剤(骨折予防だけでなく骨格筋力upで転倒予防効果あり、椎体はA/C、大腿はC)
・アルファロール(ワンアルファ)1日1回0.5-1.0μg内服
・ロカルトロール 1回0.25μg1日2回
・エディロール 1日1回0.75μg、症状により1日1回0.5μgに減量。より強力。
注意)
・血清25(OH)Dが20μg/ml未満で欠乏だが7割が欠乏している。ただし25(OH)Dの測定は保険適応外。
・フォサマック(ボナロン)との併用で重度骨粗鬆症にも効果あり。
・副作用は高Ca血症、高Ca尿症。血清Caが11以上ならいったん休薬しCa値が正常化してからエディロール0.5μg/日から開始し0.75以上に増量しないと骨折予防効果なし。尿中Ca(mg/dl)/尿中Cr(mg/dl)が0.3を超えると尿路結石のリスクあり。飲水指示を。
⑤PTH注射製剤(唯一の骨形成促進剤、他の骨粗鬆症治療薬無効例や高齢者の多発骨折例に適応、1ヶ月に5万円かかる)
・フォルテオ 連日1回20μg皮下注、最大24ヶ月まで
・テリボン 週1回56.5μg皮下注、最大18ヶ月まで
禁忌)Paget、原因不明の高ALP、骨端線が閉じていない若年者、骨への放射線照射、高Ca血症、骨腫瘍(原発、転移)
骨粗鬆症について)
・薬剤選択
椎体骨折がない、比較的若い人にはSERM
椎体骨折があるひとにはビスホスホネート
多発骨折があり痛みが強い人にはPTH注射製剤
大腿骨近位端骨折ならビスホスホネートか抗RANKL抗体
・生活指導
食事はバランスよく十分な食事量を。その上でCaやビタミンDやビタミンK。
ながら体操(椅子に浅く腰掛けて、背筋を伸ばしたまま前後に前屈後屈)を1セット5から6回を1日3セット。ウォーキングも大切。
しかし、骨量維持効果であって増量効果はなし。
・骨粗鬆症の治療開始基準
大腿骨近位端骨折または椎体骨折がある場合
その他の脆弱骨折がありYAM80%未満の場合
骨折がなくてもYAM70%以下またはTスコア-2.5以下の場合
骨折がなくYAM70%以上80%未満で、FRAXリスク15%以上(日本酒2合以上、喫煙)または大腿骨近位端骨折の家族歴がある場合
・ステロイド性骨粗鬆症の治療開始基準
経口ステロイドを3ヶ月以上使う予定でリスク3点以上ならフォサマック、アクトネルから開始。使えない場合はテリパラチオ、ボンヒバ、ビタミンDを使う。
cf)ステロイド性骨粗鬆症のリスク
既往骨折:なし0点、あり7点
年齢:50才未満0点、65才未満2点、65才以上4点
PSL換算(mg/日):5未満0点、7.5未満1点、7.5以上4点
%YAM:80以上0点、70以上80未満2点、70未満4点
cf)長期間ビスホスホネート治療中の閉経後女性への対応のためのアルゴリズム
5年以上の経口薬、3年以上の静注薬のビスホスホネート治療した閉経後女性
→治療開始前または治療中に大腿骨近位部骨折、椎体または他の複数の骨粗鬆性骨折が生じているか
①生じているならビスホスホネート継続か他の骨折予防治療に変更する
②生じていないなら、T-scoreが-2.5以下または大腿骨近位部骨折リスクが高いならビスホスホネートを10年まで継続するか、他の骨折予防治療に変更
③骨折もなく、T-scoreは-2.5以上または大腿骨近位部骨折リスクが低いなら休薬を検討し、2-3年ごとに再度評価する
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