2014年9月17日水曜日

緩和ケア

☆緩和ケア
内服可能な時:
・カロナール300mg4T/4x、疼痛時ロキソニン60mg1T頓服から開始する。
・オキシコンチン錠(オキシコドン)5mg 2錠分2
・オキノーム散(オキシコドン)2.5mg/0.5g/包 1包 疼痛時(1時間以上あけて繰り返し使用可)
 cf)・3日間経過みて効果ないときは定期を50%増量し、1日量の6分の1をレスキュー量にする。
   ・オキシコンチンは分割できないので3錠の場合は朝2錠、夕1錠にする。
   ・麻薬処方時は運転は禁止(許可すると事故時に責任を問われるので許可は絶対にしない)。
・ノバミン錠(プロクロルペラジン)5mg 3錠分3
 嘔気強くて内服できない時:
・プリンペラン2~4A(1A 10mg/2ml) 持続皮下/静注、または1A静注/筋注×3回/日、食直前
・ノバミン1~3A(1A 5mg/1ml)/日  持続静注
・ノバミン5mg筋注1日3回まで
 cf)・ オピオイドによる嘔気は3割に出現し1,2週間で改善する。
     ・嘔気時はオピオイド変更の検討、高Ca血症、AXRでイレウス、頭部CTで脳転移チェック。
・酸化マグネシウム0.5g3包分3
 cf)便秘は耐性ができないので常に服用しておく。
内服困難な時:
①アンペック坐薬(モルヒネ)
・アンペック坐薬10mg 2錠分2→フェントステープに変更も可。
・アンペック坐薬10mg 1錠 疼痛時 3時間あけて呼吸状態見ながら
→イーフェンバッカルに変更も可。
②モルヒネ
・モルヒネ塩酸塩10mg/1ml  5A
 生食45ml
 1ml/hr(24mg/日)
・疼痛時は1時間分を早送りし、呼吸数10回以上なら30分あけて再投与。
・点滴ルートが取れないときは、持続皮下注でも可。
cf)実際の力価より低めで始めたほうがよい。フェントステープから変更する場合は翌朝から開始した方がよい。
例)フェントステープ6mgをモルヒネ60mg/日に変更する場合
フェントステープ6mgの力価はモルヒネ静注60mgだが、フェントステープの血中濃度は12-18hrほど残存するため、フェントステープを剥がして12時間後に力価の1/4-1/3のモルヒネ量(15-20mg)で開始する。
もしくは、
 ①フェントステープ6mgを3mgに変更
 ②6hr後にモルヒネ15mg/日で開始
 ③さらに12hr後にモルヒネ30mg/日にアップ
 ④フェントステープをなくして6hr後にモルヒネ45mg/日にアップ
 ⑤さらに12hr後にモルヒネ60mg/日にアップ
オピオイドの切り替え方法について:
・モルヒネ経口からパッチは:貼ったときに1回併用(1日2~3回製剤)
・オピオイド注射からパッチは:パッチ貼付後の12時間後にOFF、または6時間後に半量、12時間後にOFF
・オピオイド注射からモルヒネ経口は:モルヒネ経口服用1時間後にOFF
・パッチからオピオイド注射は:パッチ剥離後6時間後に半量で開始し12時間後に全量。ただし、痛みが強い場にはパッチ剥離時に半量で開始し6時間後に全量にする
cf)必要モルヒネ量の推定
疼痛時にモルヒネ10mg+生食100mlを点滴開始し、痛みが取れるまでの投与量と再度疼痛を訴える時間を測定する。50ml点滴し疼痛がなくなり、4hrで再度疼痛を訴えた場合は、5mgで4hrコントロールできるため、1日の必要量は30mgとなる。
不穏時/せん妄:
 ・リスパダール内服液(リスパダール)1ml/1包 睡眠前に1時間あけて3回まで投与。
 ・ドルミカム10mg/2ml+生食100mlを4ml/hr(2セットを8ml/hr)で落ち着くまで投与。
 cf)・不穏、せん妄の原因として、オピオイドの増量、抗不安薬、感染、脱水、高Ca血症の影響などをチェック。
呼吸困難時:
 ・オプソ(モルヒネ内服液)5mg 0.5~1包内服
 ・モルヒネ塩酸塩2mg/2ml皮下注
 cf)気道狭窄、SVC症候群、胸水、心不全、貧血ないかチェックする。外気の入れ替え、うちわ、匂いのきつい食べ物を避けるetc。
気持ちのつらさ:
 ・ソラナックス(アルプラゾラム/抗不安薬)0.4mg2錠分2~3錠分3
    ソラナックスを1週間投与しても無効な時:
 ・レクサプロ(エスタシロプラム/SSRI)10mg1錠分1夕食後 嘔気の副作用あり
 ・サインバルタ(デュロキセチン/SNRI)20mg1錠分1朝食後、2錠まで増量可能
  SSRI/SNRI使用も無効な時は精神科コンサルト
 ・リフレックス15mg就寝前 1週間以上あけて15mgずつより45mgまで増量可能
  NaSSA。胃腸症状、性機能障害が少ない。眠気やめまいに注意。
  cf)リフレックスは副作用も少なく、マイルドな効果なので、内科入院中のうつ状態に使いやすい。
cf)「1日中気持ちが落ち込む」「今まで好きだったことが楽しめなくなった」どれかが当てはまるなら治療開始。
骨転移の疼痛:
 ・ゾメタ(ゾレドロン酸)4mg/5ml+生食100ml点滴を4週間毎
  cf)・整形外科、放射線科コンサルト。コルセットの着用など。
    ・麻薬にロキソニン60mg3T/3x追加も可能。
    ・大腿部痛は大腿骨転移か、腰椎転移の神経根症状か、DVTか。
注)
・オピオイドとNSAIDsの併用は当然可能。
・オピオイドとソセゴン(ペンタゾシン)の併用はオピオイド効果減弱のためしない。
・疼痛が強い場合はWHO除痛ラダー第3段階の薬剤から開始してもよい。
・モルヒネは腎障害時には減量する(代謝産物のM-6-Gに薬理活性があるため)。
・フェントステープを使う前にアンペック坐薬10mgを使うこと。いきなりフェントステープを使うと保険が通らない。
・フェントステープやデュアロテップパッチは剃毛してから使用してはならない!血中濃度が急上昇する。
・フェントステープの上限はなし。
・フェントステープの増量は2日あけて行う。1mg→2mg→4mg→6mg→8mg。
・フェントステープ1mg,2mg,4mg,6mg,8mgに対して、レスキューとしてアンペック坐薬5mg,5mg,10mg,20mg,20mg/回を使う(もしくはイーフェンバッカルでも良い)。
・力価:
  経口モルヒネ    60mg/日
 =モルヒネ坐薬    40mg/日
 =オキシコンチン   40mg/日
 =フェントステープ  2mg/日
 =デュロテップパッチ 4.2mg/日
 =レペタン坐薬    1.2mg/日
 =モルヒネ静注    30mg/日
 =フェンタニル静注  0.6mg/日
・力価(順天堂大学 ペインクリニック講座 井関雅子先生):
 経口モルヒネ(mg/day)   <29 30-89 90-149 150-209
 モルヒネ座薬(mg/day)   <10 20-40 50-70  80-100
 モルヒネ注射(mg/day)   <9  10-29 30-49  50-69
 オキシコドン経口(mg/day) <19 20-59 60-99  100-139
 フェントステープ     1mg   2mg  4mg   6mg
・イーフェンバッカルはレスキューのみに使用。
注)腎機能障害時の容量調節
・モルヒネ:GFR>50:75-100%,GFR10-50:25-50%,GFR<10:使用しない(腎機能低下ではM6G,M3Gが増加する、禁忌ではない)
・オキシコドン:GFR>50:100%,GFR10-50:50%,GFR<10:25-50%(腎機能低下時は半減期が延長し過鎮静)
・フェンタニル:GFR>50:100%,GFR10-50:75-100%,GFR<10:50%(呼吸抑制による死亡例も多いため慎重に投与)
・メサドン:GFR>50:100%,GFR10-50:100%,GFR<10:50-75%(腎機能の影響を受けにくいが呼吸抑制やQT延長での死亡例あり)
・トラマドール:GFR>50:100%,GFR10-50:50%,GFR<10:使用しない(ノルエピネフリン再取り込み阻害作用で腎血流低下あり)
・タペンタドール:GFR>50:100%,GFR10-50:75-100%,GFR<10:50-100%(腎機能の影響を受けないが新薬でありデータ不足)
cf)透析時:GFR<10mL/分を参考に投与量を決める
・モルヒネ:使用を推奨しない。
・オキシコドン:投与量を調節して使用。血液透析中、一過性に血中濃度が低下、疼痛出現あり。血液透析前に少量のオキシコドンを追加する。
・フェンタニル:投与量を調節して使用。血液透析では血中濃度は低下しない。透析膜の種類により低下する場合がある。
・メサドン:投与量を調節して使用。血液透析では血中濃度は低下しない。透析膜の種類により低下する場合がある。
・タペンタドール:投与量を調節して使用。血液透析で一過性に血中濃度が低下する。
・トラマドール:使用を推奨しない。血液透析で一過性に血中濃度が低下する。活性代謝物のO-デスメチルトラマドールの血液透析時の薬物動態は不明なため血液透析時の投与は避けた方が望ましい。
・コデイン:使用を推奨しない。
注)化学療法時の食事
・生もの、生野菜、マヨネーズ(自分で開封したものは可)、はちみつ、カスタードクリーム、ホイップクリーム、明太子
・免疫抑制剤の薬効に影響するもの:グレープフルーツ、スウィーティー、文旦、ざぼん、八朔、バンペイユ、ルイボスティー、セイヨウオトギリソウ(=セント・ジョーンズ・ワート)ハーブの一種etc。
cf)
・好中球減少:発熱性好中球減少症(FN)が1コース目にあった場合は2コース目からG-CSFを使う。無熱性好中球減少症はリスク高い時のみ使う。投与後2~3日で減少することが多い(もしくはいつピークかを調べる)。好中球数が1000以下でノイトロジン2μg/kg皮下注。目標は好中球数2000以上。
・嘔気、嘔吐:シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバシン、イリノテカンなど嘔気、嘔吐にはプリンペラン無効ならアプレピタント80mgを2〜3日投与、無効ならデキサメタゾン8mgを2〜3日投与する。
・皮膚障害:フッ化ピリミジン系やキナーゼ阻害薬は手足の異常感覚や紅斑、水疱、潰瘍を生じやすく、抗EGRF抗体薬は顔面、体幹にざ瘡を生じるので尿素含んだウレパールやヒルドイド、ビタミンA,E含んだユベラで予防し、生じた場合はmediamクラスのロコイド(顔面はmediamから始める)、strongのリンデロンV、very strongのアンテベートを使う。感染ありそうならアクチアム軟膏やダラシン軟膏、ミノマイシン内服を併用する。
・間質性肺炎:咳、空咳、息苦しさ、熱があれば考えてKL-6を測定する。自然軽快することが多い。ゲフィニチブ、エルロチニブ、エベロリムスなど分子標的薬で多い。
・末梢神経障害:手足の痛みや筋力低下、起立性低血圧など末梢神経障害はタキサン系、ビンカアルカロイド、シスプラチン、ボルテゾミブで起きやすい。疼痛にはデュロキセチン、オキシコドン、ロキソニン、異常感覚は靴下手袋、マッサージ、ストレッチが有効。ケモしてない時の手足の痛みはPMRかもしれない。
・HBV再活性化:ステロイド含むケモ中にはB型肝炎の再活性化に注意する。s抗原陽性ならケモが始まる前から核酸アナログを開始する。s抗原が陰性でもs抗体またはc抗体が陽性ならHBVDNAを測定し、2.1log copies/ml以上なら核酸アナログ開始、2.1以下なら1〜3ヶ月毎に測定する。
・脊髄圧迫:頚部痛や背部痛、腰痛あれば骨転移による脊髄圧迫を疑い、全脊椎MRIを。デキサメタゾン10mg投与後、4mgを1日4回からから開始し、1日1回に漸減していく。対麻痺や不全麻痺ある場合はデキサメタゾン96mg/日を3日ごとに半減していく。
・SVC症候群:顔面浮腫や両上肢浮腫、嚥下困難あればSVC症候群を疑い、胸部レントゲンや造影CTやMRIをする。
・腫瘍崩壊症候群:ケモ開始後に倦怠感、嘔吐、痙攣、不整脈をきたし、尿酸8mg/dl以上、K6mEq/L以上、リン6.5mg/dl以上、Ca7mg/dl以上(もしくは基礎値から25%以上の上昇)のうち2項目以上満たせば疑い、2-3L/m2/日の生食輸液とアロプリノール200-300mg分3を投与する。
・高Ca血症:食欲不振、便秘、嘔吐、多飲多尿、筋力低下、意識障害あれば高Ca血症疑い、12mg/dl超えてれば200-300ml/hrで生食輸液し、ビスホスホネートを開始する。

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