2014年9月18日木曜日

目次

<薬剤メモ 目次>
便秘(サブイレウス/麻痺性イレウス)
尿閉
水様性下痢(IBSも含む)
不眠
痙攣
不穏/せん妄
発熱(38.5℃以上の時)
疼痛(体重50kgあたり)/帯状疱疹後神経痛
片頭痛/群発頭痛
胃痛(FDも含む)
耳痛/頬痛
咽頭痛/感冒(かぜ)/咳/痰
インフルエンザ
肺炎
鎮静(体重50㎏)
蕁麻疹/帯状疱疹
吐血/黒色便
急性膵炎
血便
貧血
嘔気/嘔吐/麻痺性イレウス
回転性眩暈
動悸(PSVT,pAf)
動悸(脈ありVT)
徐脈
CPA
心原性ショック
敗血症性ショック
アナフィラキシーショック
DIC
胸痛
高血圧
脳梗塞
ASO
高血糖
低血糖
低K血症
高K血症
低Na血症
呼吸困難(心不全)
呼吸困難(喘息/COPD)
呼吸困難(肺塞栓)
髄膜炎
ドライアイ
結膜炎
創傷/褥瘡
熱傷
打撲
PPN/TPN(IVH)
PPN/TPN(腎不全)
PPN(肝不全)
強化インスリン療法(スケールも含む)
経口血糖降下薬
高脂血症
高尿酸血症
慢性心不全経口薬
慢性心房細動
大腸検査前
骨粗鬆症
花粉症
DKA
緩和ケア
経腸栄養(PEGやNGから投与する栄養)/PEG増設時のパス
ピロリ除菌療法
軟膏
低蛋白血症、腹水(肝硬変、がん末期)
ERCP時のパス
造影剤
服用時間の略語
逆流性食道炎
よく使われる漢方
シップ
認知症
鼻出血/血尿/喀血
夜間頻尿
ESD時のパス
ステロイドミニ"ミニ"パルス
療養病院での抗生剤の使い方

2014年9月17日水曜日

療養病院での抗生剤の使い方

☆療養病院での抗生剤の使い方
・療養病院での抗生剤は
①ミノマイシン(MINO)は100mg1日1回
②メロペン(MEPM)は0.5g1日1回
③バンコマイシン(VCM)は0.5g1日1回(60分)
cf)バンコマイシンは1g/hrで投与すればred neck syndromeは起こらない。
④セフメタゾール(CMZ)は1g1日2回→明らかなUTIの時のみ、耐性菌ありで肺炎には無効
⑤スルペラゾン(SBT/CPZ、後発:セフロニック)は1g1日2回
⑥ユナシン(SBT/ABPC、後発:スルバシリン)は1.5g1日2回
・喀痰培養でMRSAが陽性になった例でMRSAが肺炎に関与していた例は10%くらいらしい。
・CDIに対しフラジール無効例が2%ありバンコマイシン内服が有効、逆にバンコマイシン無効例も2%ありフラジールが有効。点滴のバンコマイシンを内服してもよい。
・尿中レジオネラ抗原陽性ならレジオネラ感染症と考えてミノマイシン投与してみる(レジオネラの培養は難しい)。
・βラクタム無効な肺炎ではクラビット内服しながらミノマイシンでもよい。
・アミノ配糖体系抗菌薬使用時の血中濃度モニタリングは投与直前と投与開始1時間後。バンコマイシンの血中濃度採血指示は投与直前(トラフ値)。ただし、VCM0.5g1日2回程度など4gまでは血中濃度測定する必要なし。腎機能で容量調節は必要ある。腎障害や聴障害は高容量で長期間投与しないとおきない。
・短期間で繰り返す肺炎、尿路感染はそれぞれ膿瘍を疑うこと。膿瘍あれば4-6週間の抗生剤投与が必要。
cf)ロセフィンで偽胆石
・ロセフィンは腎と肝から半分ずつ排泄され、胆嚢内でCaと結合し、偽胆石を作ることがある。∴Caを含む製剤と混合は配合変化起こす。
・ロセフィンで加療中に1週間ぐらいでできることがある。ロセフィン加療中に右季肋部痛あれば偽胆石を疑うこと(小児で10.1-46.5%、成人で21.4-25%)。
・特に腎機能低下例で要注意。
・ロセフィン投与を中止すると自然消失することが多い。
・胆石の原因になるため療養病院ではロセフィンを採用していないこともある。
cf)筋注できる抗生剤
・ルートも取れず、胃瘻や胃管もなく、皮下注している患者に抗生剤を投与する時は筋注できる薬剤を使ってもよい。
・チエナム0.5gは0.5%キシロカイン2mlに溶かして筋注する。
・セフメタゾン、セファメジン、セフォタックス、パンスポリン、ビクシリン、ピペラシリン、ペントシリン、アザクタムなども筋注可能。
cf)抗生剤のスペクトラムまとめ(一般名,商品名)
ペニシリン系:
PCG(ペニシリンG,ペニシリンG):GPC(Strep)
ABPC(アンピシリン,ビクシリン):GPC(Ent,Strep),GNR(E)
PIPC(ピペラシリン,ペントシリン):GPC(Ent,Strep),GNR(E,K,P,S,C,Etb,Pseudo,Acineto)
ABPC/SBT(アンピシリン/スルバクタム,ユナシン):GPC(Ent,Strep),GNR(E,K,P,Acineto),嫌気
PIPC/TAZ(ピペラシリン/タゾバクタム,ゾシン):GPC(Ent,Strep),GNR(E,K,P,S,C,Etb,Pseudo,Acineto),嫌気
セフェム系:
CEZ(セファゾリン,セファメジン):GPC(Strep,MSSA),GNR(E)
CTM(セフォチアム,パンスポリン):GPC(Strep,MSSA),GNR(E,K,P)
CMZ(セフメタゾール,セフメタゾール):GPC(Strep,MSSA),GNR(E,K,P),嫌気
CTRX(セフトリアキソン,ロセフィン):GPC(Strep,MSSA),GNR(E,K,P,S,C,Etb)
CAZ(セフタジジム,モダシン):GNR(E,K,P,S,C,Etb,Pseudo)
CFPM(セフェピム,マキシピーム):GPC(Strep,MSSA),GNR(E,K,P,S,C,Etb,Pseudo)
カルバペネム系:
MEPM(メロペネム,メロペン):GPC(Strep,MSSA),GNR(E,K,P,S,C,Etb,Pseudo,Acineto),嫌気
注)
GPC(Enterococcus,Streptococcus pneumoniae)
GNR(E.coli,Klebsiella,Proteus,Serratia,Citrobacter,Entrobacter,Pseudomonus aeruginosa,Acinetobacter baumannii)
注)MEPMの1st choiceは重症院内感染症、起炎菌がESBLやAmpC、壊死性筋膜炎の初期治療。療養病院では使わないのが原則。
参考)各種抗生剤のスペクトラム

ステロイドミニ"ミニ"パルス

<ステロイドミニ"ミニ"パルス>
①ソルメルコート/ソルメドロール(メチルプレドニゾロン)250mg+生食100ml 1日1回(125mgを1日2回でも可能) 2時間かけて 3日間
②プレドニン40mg+生食100ml 1日1回 1週間
③プレドニン30mg1日1回内服 1週間
症状みて漸減していく
注)
B型肝炎、結核の感染はチェックする。
抗血小板薬、抗潰瘍薬、場合により抗結核薬を加える。
抗血小板薬:ジビリダモール(ベルサンチン)150~300mg/日+アスピリン81mg(小児バファリンR1錠)など
適応)
・薬剤性肝障害(胆汁うっ滞性)、間質性肺炎増悪、急性糸球体腎炎を疑う時
・薬剤性肝障害診断のためには、以下を検査する。腹部CT、MRCP、HCV抗体、HCV-RNA、HBs抗原/抗体(HBs抗原+ならHBV感染あり)、IgM-HAV(カキのシーズン2~5月)、e抗原/抗体、HBV-DNA、IgM-EBV-VCA、CMV-IgM、抗核抗体、抗平滑筋抗体、抗ミトコンドリア抗体、IgG/IgM/IgE/IgA
・薬剤性肝障害の場合はウルソ6錠分3、強力ネオミノファーゲンC40ml静注 1日1回が無効な場合にミニパルスを検討する。
・急性糸球体腎炎は尿潜血、尿蛋白が持続的に続き、顆粒円柱も認め、その後腎機能が低下してくる。診断のためには本来腎生検だが、生検できない場合はIgG/IgM/IgE/IgA、ASO、抗核抗体、p-ANCA/c-ANCA、C3/C4/CH50、レニン/アルドステロン、カテコラミン3分画(30分安静臥床後そのまま採血を)。尿路感染は必ず除外する。
cf)一般的なgenomic actionではデカドロン:リンデロン:メドロール:プレドニンは5:5:1:0.8だがnon-genomic actoionは1.2:0.2:1:0.4。パルス療法を行うという前提では、力価はソルメドロール125mgがプレドニン500mgに相当する。
☆CMV、結核、カリニ肺炎(PCP)、HBV再燃に注意する。疑う時はCMV-Ag/CMV-IgM/CMV-IgG/CMV-C7HR、3連痰/結核PCR/QFT、βDグルカン/LDHを精査する。下血あればCMV腸炎も忘れずに。
☆プレドニン換算20mgを4週以上継続するときは血糖測定、パリエット10mg1錠朝食後、ボナロン/フォサマック35mg1錠起床時(第2,4週の金曜日)、5%ハリゾン/ファンギゾンシロップ含嗽液(480ml)1本1回20mLでうがい後に服用1日3回、バクタ/ダイフェン(S400mgT80mg)1錠(月水金内服)、胸部レントゲンを週1回、β-Dグルカン、CMV-C7HRを2週間毎に測定する。

ESD時のパス

☆ESD時のパス
・当日
オピスタン1A、ドルミカム10mg+生食100ml、ブスコパン1A、グルカゴン
ラクテック500ml1本
チチナ(アドナ)100mg0.5%20ml 1A(1日25mg-100mg)
リカバリン(トランサミン)250mg10%10ml 1A(1日250mg-500mg)
を混注
・翌日(POD1)
絶飲食
ラクテック500ml1本、ソリタT3500ml2本
うち2本に
チチナ(アドナ)100mg0.5%20ml 1A(1日25mg-100mg)
リカバリン(トランサミン)250mg10%10ml 1A(1日250mg-500mg)
を混注
オメプラール20mg1瓶+生食20mlで1日2回ショット
注)ショットで投与するときはルートフラッシュ用の生食シリンジ20mlも入力すること。
・POD2
易消化流動、アルサルミン1-1.2g1日3回/ムコスタ100mg3錠分3/パリエット20mg分1を開始
・POD3
易消化3分粥
・POD4
易消化5分粥
・POD5
易消化7分粥
・POD6
易消化全粥
・POD7
GF再検し退院
注)ESD前に胸部単純CT、腹部造影CTし転移ないか確認を。

夜間頻尿

☆夜間頻尿(高齢女性)
抗コリン薬:
 常な膀胱収縮の抑制。ただし、尿閉になることがある。1st choiceはβ3作働薬。
 副作用:口腔乾燥や便秘、尿閉、中枢神経症状、心拍数増加など
 禁忌:尿閉、緑内障、腸閉塞、重症筋無力症、重篤な心疾患、肝障害
・ベシケア 1日1回5mg、10mgまで増量可能(Cr30以下では2.5mgから開始し5mgまで)
 緩徐な作用で心拍数増加などのM2作用が少ない。M3受容体選択性の拮抗薬。
 cf)M1:中枢、胃、食道、M2:膀胱、心臓、M3:膀胱、大腸、唾液腺
・ウリトス 1回0.1mg1日2回 朝夕食後 1回0.2mg1日2回まで増量可能
 特にM2作用が少ないため循環器リスクあるときに使う。M1,M3拮抗作用で、膀胱選択性が高い。
・バップフォー 1日1回20mg食後服用、1回20mg1日2回まで増量可能
 抗コリン作用とCa拮抗作用。神経因性膀胱に有効。
・ネオキシテープ73.5mg 1日1回1枚を下腹部、腰部に貼付
 経口投与できないとき。
 膀胱浸潤による過活動性膀胱にはネオキシテープ3.5mg1日1枚、大腿か下腹部に貼付する。
β3作働薬:
・ベタニス 1日1回50mg 
 OABの1st choice。膀胱の蓄尿機能を高め、過活動性を改善。心拍数増加やQT変化も稀にあるため、心血管疾患ある場合は事前に心電図を。βblocker使用時は注意。
 子宮や前立腺の萎縮がくるため50歳以上で投与する。生殖可能な年齢への投与は避ける。
cf)過活動性膀胱(OAB)について
・OABの定義:1日8回以上排尿かつ尿意切迫が週1回以上(OABSS:スクリーニングテスト)
 尿意切迫の例:冷たい水に触れるとトイレまで我慢できない、トイレ前にもれる、旅行前にトイレを我慢etc。
・処方前に残尿量をエコーで確認(排尿後の残尿100ml以上なら専門医へ)
・男性のOABはBPHに合併したものがほとんどなのでまずは泌尿器科へ。α1blockerでBPHを改善させればOABも改善する。
・高齢女性の尿失禁には過活動性膀胱(重症例が切迫性尿失禁)、腹圧性尿失禁がある。
・生活指導は肥満をなくす、喫煙をやめる、過度の飲水やカフェインやアルコール、炭酸をやめる、便秘を避ける、足を組む等を1か月してみて効果ないときは薬物療法。
・骨盤底筋訓練(PFMT)は肛門、尿道、膣まわりの訓練の筋を5-10秒閉めたり緩めたりを20-30回繰り返したあと、0.5-1秒閉めたり緩めたりを20-30回繰り返す運動を1セットとして1日3セットを行う。
・過活動性膀胱は無症候性も含む脳梗塞、パーキンソン病、頚椎症、骨盤内手術による神経因性膀胱や子宮脱による下部尿路閉塞、骨盤底の脆弱性が原因。症状は1日8回以上の夜間頻尿や切迫性尿失禁。
・過活動性膀胱には抗コリン薬6剤とβ3作動薬1剤が有効。
・腹圧性尿失禁は骨盤底筋の緊張低下により咳、くしゃみ、歩行、重いものを持つなどで尿失禁。β2作動薬のスピロペントは横紋筋の遅筋の収縮力を低下させ、速筋の収縮力を高める。子宮脱は膣口から出てくるようなら産婦人科や泌尿器科受診を。

鼻出血/血尿/喀血

☆鼻出血/血尿/喀血
ターミナル、認知症などで積極的治療が難しい場合は、アドナ30㎎3T/3x,トランサミン250mg6C/3xにて経過みていく方法もある。
・トランサミンは心血管リスクある場合は使わない。チチナ100mg+生食100mlを1日1回投与する。アドナ30mg3錠分3でもよい。
・内服例はアドナ30mg2錠分2+トラネキサム250mg2錠分2+グラケー2C分2
・内服できないときは、チチナ50mg+トランサミン250mg+生食100mlを1日2回投与。

cf)療養病院での血尿
・まずは出血性膀胱炎を疑う⇒抗生剤
(寝たきりの患者で尿路感染を起こすと血尿をきたすことがある。ひどいときは膀胱カテーテルを留置して洗浄するとよい。抗生剤も考慮。)
・バルーンの自己抜去による損傷⇒バルーン再留置+ミトンなど拘束
・寝たきり男性患者の血尿は尿管結石のことがある(後日、バルーン内に結石を認めることがある)⇒疼痛管理
・膀胱癌や腎癌を疑って細胞診をしてもよいが適応はないと思われる

認知症

☆認知症
・アリセプト3mg1錠分1→2週間後に5mg1錠分1→4週間後に10mg1 錠分1
 アルツハイマー型(AD)、レビー小体型(DLB)に適応。消化器症状(嘔吐、下痢など)、徐脈、易興奮性や不穏などあり
・イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ1日1回4.5mgから開始し、4週間毎に4.5mgずつ増量し18mgが維持量
 アルツハイマー型のみ。レビー小体型には保険適応ないが効果あり。消化器症状は他のChEIより少ない。
cf)ADもDLBともにアリセプトかイクセロン/リバスタッチ。
cf)リバスタッチは剥がれたら新しいものを貼って構わない。血中濃度が一定になるようになっているので。
・メマリー1日1回5mgから開始し1週間毎に5mgずつ増量し20mgが維持量
 記憶定着、不機嫌や攻撃性はメマンチン就寝前。アルツハイマー型のみに保険適応あり。前頭側頭葉変性症(FTLD)はChEIで悪化するので注意。通常、ChEIと併用して使う。
・抑肝散7.5mg分3毎食前
  レビー小体型で攻撃性あるとき。6週間で効果なければ中止。
・グラマリール75mg~150mg分3、25㎎1日1回から開始
 レビー小体型や脳梗塞後で攻撃性あるとき。
・セロクエル25mg0.5-1錠就寝前
  レビー小体型で攻撃性あるとき。効果ない時は1錠1日2回、就寝前と昼食前に増量する。DMでは禁忌。
・リスパダール内用液(1mg/mL)就寝前~1包1日2回、就寝前と昼食前
  レビー小体型で攻撃性あるとき。
cf)認知症が高齢者の食思不振の原因になっていることあり。
・プラビックス75mg1錠分1
 脳血管性認知症の時。
<認知症治療薬について>
①アルツハイマー型認知症(AD)
・ドネペジル(アリセプト):ChEI、軽度~高度、錠剤/OD錠/細粒/ゼリー
・リバスタチン(リバスタッチ):ChEI、軽度~中等度、パッチ
・ガランタミン(レミニール):ChEI、軽度~中等度、錠剤/OD錠/液剤、DLBにも有効だが保険適応はなし。
・メマンチン(メマリー):NMDA受容体拮抗薬、中等度~高度、錠剤、他のChEIと併用して使う
cf)ChEIは下痢、嘔吐などの消化器症状や易興奮性/不穏、徐脈の副作用あり。リバスタチンは消化器症状が少ないので他薬剤で副作用出たときに使用してみる。3剤とも効果は差なし。副作用見ながら、2週間ごとに緩徐に増量し、副作用の出ない範囲で維持量とする(必ず増量しないといけないとは限らない)。特に興奮や不穏は認知症の進行なのか、ChEIの副作用なのかわかりにくいことがある。メマンチンは鎮静効果が強く出て眩暈、傾眠、食思不振が出ることあり。
cf)ADAS-cog(エーダスコグ)の70点満点のうち3-4点の改善効果、ADLでは年間2か月分の信仰予防効果あり。ただし効果には個人差がある。
cf)アルツハイマー型は記銘力障害が中心、物取られ妄想、意欲低下、徘徊、嫉妬妄想、head turning sign。診断は髄液中のβアミロイドやタウ蛋白の増加、βアミロイドPETなど。
②レビー小体型認知症(DLB)
・ドネペジル(アリセプト):幻視が消失するなど効果は出やすい、ChEIの中で保険適応はこれのみ。
・クエチアピン(セロクエル):幻視が強い時などは25~75mgを就寝前に内服する。DMでは禁忌。
・L-dopa パーキンソンニズムが強い時
cf)幻視、初期からのパーキンソンニズム、REM睡眠行動異常(悪夢や睡眠中に叩く等)、自律神経障害(頑固な便秘や起立性低血圧)など。MIBGシンチにて診断する。
③脳血管性認知症
・生活習慣病の改善、抗血小板薬、抗凝固薬など
cf)脳梗塞をきっかけに認知症が進むが、因果関係がはっきりしないこともある。
cf)MRIや脳血流SPECTにて診断する
④前頭側頭葉変性症(FTLD)
・対処療法が中心で、非定型精神病薬を使うこともある
cf)緩徐進行する失語タイプ、行動異常を伴うタイプ(going my way、脱抑制)がある。物忘れは目立たない。
⑤軽度認知機能障害(MCI)
・ChEIによる進行予防効果は認められない。デメリットの方が大きい。
cf)認知症を疑うepisode:用事を忘れる、同じものを何個も買う、会話が同じ内容、残薬があるのに服用していると取り繕う、衣服の着脱に時間がかかる等。
注意)認知症診断の前に甲状腺機能、低血糖、低Na、高Ca、B1,B12,葉酸欠乏、頭部CTにて正常圧水頭症(歩行障害、尿失禁などを伴う)、慢性硬膜下血腫を除外する。
cf)アルツハイマー型認知症では嚥下機能と病状の進行が一致しているが、脳血管性認知症やレビー小体型認知症では全身状態が悪化する前に、嚥下機能が低下する場合もある(元気そうに見えているのに誤嚥性肺炎ばかり起こす)。

シップ

☆シップ
・MS温シップ、MS冷シップ:サリチル酸メチル/カンフル/メントール/ハッカ油/抗ヒスタミン剤含む、1日1-2回
・セルタッチパップ、フェルナビオンパップ:フェルビナク、1日数回
・アドフィードパップ:フルルビプロフェン、1日2回
・モーラスパップ、ケトプロフェンパップ:ケトプロフェン、1日2回

よく使われる漢方

☆よく使われる漢方
・便通異常、腹部膨満感:100大建中湯(だいけんちゅうとう)
・下痢型の過敏性腸症候群、口内炎:14半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
・全身倦怠感:41補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
・鼻炎、鼻水:10小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
・空咳:29麦門冬湯(ばくもんどうとう)
・不安障害、不眠症:12紫胡加竜骨牝蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
・認知症に伴う周辺症状:54抑肝散(よくかんさん)

逆流性食道炎

☆逆流性食道炎
・タケキャブ(ボノプラザン)20㎎1日1回 朝食直前 4週間投与
 改善あれば維持療法としてタケキャブ10mgに減量する
 不十分であれば難治性GERDとしてさらに20mgのまま4週間投与できる
 維持療法から再燃した場合は20mgに増量し4週間投与する
cf)・GradeA/Bは2週間、C/Dは4週間投与で粘膜損傷が改善する。
  ・高ガストリン血症により胃カルチノイドの危険性も否定できないため、4週間投与の後はパリエット10㎎に変更し維持療法としても可。
   ・痛いときに服用(on demand)は症状改善も粘膜損傷改善のはつながらない。
(追加分)
・ガスモチン5㎎ 3錠分3 毎食前
・アルロイドG内服液(5%) 1回20-60ml 1日3-4回 毎食間および就寝前
・ガスターD20㎎ 1錠分1 夕食後
・生活指導(頭位挙上、左側臥位、就寝3時間前の食事禁止)
cf)・再発因子:食道裂肛ヘルニア、GradeC/D、ピロリ菌陰性、萎縮性胃炎なし、非喫煙者、女性、身長150㎝以下
   ・GERDのうち60%はNERD(粘膜損傷なし)、20%はびらん性食道炎、10%はバレット食道。治療抵抗性になるのはNERD>>バレット食道>びらん性食道炎。GradeDはいきなり発症する。NERDからGradeDに増悪するのは5%程度。
cf)PPIの用量
①逆食(初期/8週)、②逆食(維持)、③NERD、④消化性潰瘍(胃8週/十二指腸6週)、⑤アスピリン/NSAIDs併用時、⑥除菌
・ネキシウム(エゾメプラゾール):①20mg②10mg③10mg④20mg⑤20mg⑥20mg×2
・オメプラール(オメプラゾール):①20mg②10mg③10mg④20mg⑤非適応⑥20mg×2
・タケプロン(ランソプラゾール):①30mg②15mg③15mg④30mg⑤15mg⑥30mg×2
・パリエット(ラベプラゾール) :①20mg②10mg③10mg④20mg⑤非適応⑥10mg×2

服用時間の略語

☆服用時間の略語
N:毎食後
M:朝食後
T:昼食後
A:夕食後
VdS:眠前
VdE:食前

造影剤

☆造影剤
・ガストログラフィン 経口/注腸用76%100ml 経口は10-30ml原液/注腸は3-4倍で希釈
 CFで大腸癌見つかった時に注腸で使用
・ウログラフィン 60%20ml 生食で2倍希釈
 ERCP、PTCD、関節造影、膿瘍のドレーン造影時に使用
・オムニパーク 
 造影CTで使用
・イソビスト
 脊髄造影で使用

ERCP時のパス

☆ERCP時のパス
・ミダゾラム(ドルミカム)10mg/2ml 1A
 ペチジン(オピスタン)35mg/1ml 1A+生食100ml点滴
 ブスコパン20mg/1ml 1A
注)上記をERCP前に処方しておく
・フサン10mg
  生食100ml
 15分かけて1日2回(ERCP前日から開始)
注)フサンは溶解用の蒸留水20mlを入力すること。
・痛みなく、採血データがERCP前より増悪なければERCP翌日昼から流動食開始 
cf)ERBDだけならワーファリン中止しなくてもよい。
cf)ワーファリン内服中でERCP予定だが、不穏ありヘパリン持続静注できないときは、プレタールを投与し、2日前に中止する。
cf)ERCP時の点滴オーダー
当日:
ペチジン35mg1Aiv、ミダゾラム10mg+生食100mg、フサン10mg+生食100ml1日2回、マキシピーム1g+生食100ml1日2回、ラクテック500ml、ソリタT3500ml1日2回
翌日:
フサン10mg+生食100ml1日2回、マキシピーム1g+生食100ml1日2回、ラクテック500ml、ソリタT3500ml1日2回

低蛋白血症、腹水(肝硬変、がん末期)

☆低蛋白血症、腹水(肝硬変、がん末期)
・献血アルブミン25%12.5g50ml 1瓶
 1日1回投与 3日間。1ヶ月に6回まで投与可。
cf)癌緩和ケア中ならコストの面でCARTという方法もある。 腹水もある場合はラシックス20㎎1Aを混注する。
・ソルダクトン100㎎1A+生食20ml 静注(ソルダクトンは生食以外は全て白濁するので、側管から投与せずにフラッシュで投与する)
cf)水分制限を行う(食事水分1000ml、飲水制限800ml)。
cf)肝硬変で肝性脳症や消化管出血があり食事取れないときはアミノレバン200-400ml/日+フィジオ35 500mlで1日最大1000mlほどにしておく。経口摂取できるならリーバクト3包分3を使う。
・エレンタール40gを300mlに溶かして朝夕2回 吸収不良があるとき

軟膏

☆軟膏
・かゆみ:オイラックスクリームをまず使ってみる。他にヒルドイドローション、ヒルドイドクリーム、レスタミンクリーム。
cf)オイラックスクリームが効かない時はヒスタブロック(セレスタミン)1回1-2錠を1日1-4回投与する(1錠にPSL2.5mgが含まれることに注意、長期使用ならH2ブロッカーを併用する)。
cf)ヒルドイドの一般名はヘパリン類似物質
褥瘡:イソジンシュガーパスタ(感染巣ある場合は外科コンサルトの上、デブリしてもらうこと)
・下痢やPEGのかぶれ:アズノール軟膏
・真菌様のかぶれ:ビスコポールやラミシールクリーム
・蜂窩織炎:アクリノール液
・乳がん自壊部の軟膏はロゼックスゲル0.75%などを使うとよい。ない場合はメトロニダゾール250mg4錠+プロピレングリコール3ml+親水クリーム ニッコー96gを混ぜたものを1日数回塗布する。
・療養病院での皮膚軟膏は次の順に1-2週間ずつ様子みていく。オイラックス→ビスコポール→デルモゾールG。小水疱あればビダラビン軟膏。全身性の時はデルモゾールG30g+ワセリン30gを混ぜて塗布する。2週間して改善あればデルモゾールを漸減していく(例:デルモゾールG20g+ワセリン40g)。

ピロリ除菌療法

☆ピロリ除菌療法
・ランサップ800 1シート(1週間分) 朝夕2回
 タケプロン1錠、アモリン3錠、クラリス2錠が1回分で2回分が1シートに入っている。
 半分量の400でも除菌率は変わらないが、喫煙者や大柄男性では800にする。
・タケキャブ20mg2T/2x
 クラリス200mg4T/2x
 サワシリンカプセル6C/2x
 エンテロンR散2g/2x
 朝夕2回 1週間
・ガスター 40mg 1錠 就寝前 56日分
 ランサップで1週間除菌後に2ヶ月ガスターに切り替えた後、外来にてUBT呼気試験を行う。
 胃潰瘍瘢痕などがないときは省略可能。
注)
・通常はすぐに除菌療法を開始する。
・胃潰瘍後は1ヶ月間、PPIを投与後に除菌を開始する。
・PPI服用あるときはガスターに2週間切り替えてからランサップを開始する。
・PPI、ランサップに下痢の副作用があることを説明すること(タケプロンは下痢の副作用あり)。
☆2次除菌
・ランピオンパック(タケプロン30mg2T/2x、アモリンカプセル250mg6T/2x、フラジール250mg2T/2x)7日間
・タケキャブ20mg2T/2x、サワシリンカプセル250mg6C/2x、フラジール250mg2T/2x 7日間
注)ペニシリンアレルギー時:
  クラビット500mg1T/1x、タケプロン30mg2T/2x、フラジール250mg2T/2x
cf)腎機能障害あるときはクラリス200㎎/1xに減量する。サワシリン、タケキャブは同容量でよい。

☆除菌療法が保険対象になる場合
・内視鏡にて慢性胃炎と診断
・内視鏡もしくは胃透視にて胃、十二指腸潰瘍と診断
・早期胃癌内視鏡治療後
・胃MALTリンパ腫
・特発性血小板減少症
注)
・内視鏡治療は過去6か月以内が望ましい。
・内視鏡検査は他施設でもいいが、レセプトに日付と所見の記載が必要。
☆H.ピロリ検査(内視鏡を用いない場合)
・抗体測定(抗体価が3以上10未満は陰性高値で、UBTや便中抗原を検査し陽性であれば現感染)
・尿素呼気試験(UBT)(PPIを2週間中止する必要がある)
・便中ヘリコバクターピロリ抗体測定(PPIを2週間中止する必要がある)
☆除菌後効果判定
・UBTや便中抗原は除菌後3か月後に行う。
・PPIを投与している場合は中止してから2週間後に行う。
・抗体で判定する場合は除菌6か月後に測定し抗体価が前値より50%以上低下していれば除菌成功とする。

・UBTは食後4時間以上あけて行う。喫煙後30分以上あけて行う。

経腸栄養(PEGやNGから投与する栄養)/PEG増設時のパス

☆経腸栄養(PEGやNGから投与する栄養)
・基本
  CZ-hi(300ml/300kcal/水240ml) 1日3本
  白湯50-50-50ml
  塩1-1-1g
cf)簡便に以下の①か②で様子見てもよい(PEG/レビン)。
①メイバランス1.5(200ml/300kcal/水150ml)+白湯200ml 1日3回(療養病院での注入は白湯は1回150mlでもよいし、心不全ある場合は1回の白湯を50-100mlほど、ただし水分が少ないと便秘になることあり注意)
②ハイネゼリーアクア(250g/200kcal/水200ml)4P(1P-2P-1P/2P-2P)
・ラコール(200ml/200kcal/水170ml) 1日1本-2本-1本
 白湯200-50-200ml
 塩1-1-1g
・MA-R2.0(200ml/400kcal/水140ml) 1日2本
  白湯200-400-200ml
  塩2-2-2g
・PGソフト(200g/300kcal/水130ml) 1日3本
 白湯(とろみ)200-200-200ml
cf)PGソフトは胃管からの投与は粘度が高く難しい。
・ハイネゼリーアクア(250g/200kcal/水200ml) 1日6本(白湯なし)
・アクトエールアクア(400g/300kcal/水328ml)1日3本もしくは300-300-400kcal(白湯なし)
 注)逆流が多い場合。ハイネゼリーアクアよりアクトエールアクアの方がさらに粘度が高い。どうしても逆流する場合は腸瘻という方法もある。
・GFO
 CZ-hiまでは始められない時、とりあえず腸管を動かす目的
  GFO100mlを1日3回
  毎食、白湯50mlを流す
・状態悪いとき
 CZ-hi 朝1本
  白湯200ml1日3回
・腎不全時はCZ-hiの代わりにリーナレン
・肝不全はCZ-hiの代わりにアミノレバン
・片麻痺でも嚥下はOKである。無理そうならNGを留置しながらペースト食(パターンを嚥下食Cにして、主食と副食をペーストにする)などを食べてもらい、嚥下できそうならNGを抜去する。
・メイバランス1日3本追加 
 食思不振あるとき
・PEGやNG希望しない高齢者の場合、食事困難時はエンジョイゼリー2~3個+バランスゼリー1個を1日3回でも良い。
cf)胃瘻時の嘔吐、下痢、便秘について
・嘔吐や下痢は時間をかけて投与したり、ガスモチン5㎎1日3回、ランソプラゾール15㎎1日1回併用する。
・便秘時はマグミット2T/2x-6T/3x、センノシド1-2T就寝前、ナウゼリン10mg1.5T/3x、ガスモチン5mg3T/3x(もしくはモサプリド3包分3)などを追加する。(デフォルトで処方し下痢気味にコントロールするのがよい)
cf)必要エネルギーと水分量
・必要エネルギー量:Harris-Benedictの公式
 女性の基礎代謝量:665+9.6×体重kg+1.7×身長cm-7.0×年齢
 男性の基礎代謝量:66+13.7×体重kg+5.0×身長cm-6.8×年齢
 必要エネルギー:基礎代謝量×活動係数
 活動係数:
  寝たきり(自己体動なし):1.0-1.1
  寝たきり(自己体動あり):1.1-1.2
  ベッド外活動(車椅子):1.2-1.3
  ベッド外活動(歩行):1.3-1.4
  積極的なリハビリ:1.5以上
・必要水分量:①30ml×現体重、1ml×エネルギー投与量、1500ml×体表面積
注)PEG造設時のパス
・造設当日はアタラックスP25mg1A+硫酸アトロピン0.5Aを筋注。
・造設当日から翌日までセファメジン2gを1日2回。
・造設当日から3日後までアドナ50mg1A/日を持続投与。
・造設3日後から白湯100ml3回、造設4日後からハイネゼリーアクア1Pから開始。1日に1Pずつ増やす。
・造設6日後まで瘻孔周囲を消毒、7日後に抜糸。
cf)PEG周囲の発赤はアズノール軟膏
cf)
・エンシュアリキッドは缶なので重たいが、薬剤として処方できる。1ml=1kcal。ただし、セレンなど微量元素が不足する。水を入れたい場合はエンシュアリキッドH(1ml=1.5kcal)がある。
・ラコールは紙なので重たくない。味が和風。薬局で売られている。
・エレンタールは脂肪酸を含んでいない。IBDなど炎症性腸疾患に使う。低残渣、易吸収。
注意)
・注入開始し、発熱、嘔吐、下痢あれば回数を増やして、1回の注入量を減らす、頭位を上げる等。
・リフィーディング症候群に注意する。P↓、Mg↓で低PはRBC中の2,3-DPGでHbがO2を離れにくくするので、SatがよくてもO2利用ができないことがあり、MIを起こすことあり。通常は10kcal/kgくらいから開始する。ビタミンB1欠乏もあるので注意する。

緩和ケア

☆緩和ケア
内服可能な時:
・カロナール300mg4T/4x、疼痛時ロキソニン60mg1T頓服から開始する。
・オキシコンチン錠(オキシコドン)5mg 2錠分2
・オキノーム散(オキシコドン)2.5mg/0.5g/包 1包 疼痛時(1時間以上あけて繰り返し使用可)
 cf)・3日間経過みて効果ないときは定期を50%増量し、1日量の6分の1をレスキュー量にする。
   ・オキシコンチンは分割できないので3錠の場合は朝2錠、夕1錠にする。
   ・麻薬処方時は運転は禁止(許可すると事故時に責任を問われるので許可は絶対にしない)。
・ノバミン錠(プロクロルペラジン)5mg 3錠分3
 嘔気強くて内服できない時:
・プリンペラン2~4A(1A 10mg/2ml) 持続皮下/静注、または1A静注/筋注×3回/日、食直前
・ノバミン1~3A(1A 5mg/1ml)/日  持続静注
・ノバミン5mg筋注1日3回まで
 cf)・ オピオイドによる嘔気は3割に出現し1,2週間で改善する。
     ・嘔気時はオピオイド変更の検討、高Ca血症、AXRでイレウス、頭部CTで脳転移チェック。
・酸化マグネシウム0.5g3包分3
 cf)便秘は耐性ができないので常に服用しておく。
内服困難な時:
①アンペック坐薬(モルヒネ)
・アンペック坐薬10mg 2錠分2→フェントステープに変更も可。
・アンペック坐薬10mg 1錠 疼痛時 3時間あけて呼吸状態見ながら
→イーフェンバッカルに変更も可。
②モルヒネ
・モルヒネ塩酸塩10mg/1ml  5A
 生食45ml
 1ml/hr(24mg/日)
・疼痛時は1時間分を早送りし、呼吸数10回以上なら30分あけて再投与。
・点滴ルートが取れないときは、持続皮下注でも可。
cf)実際の力価より低めで始めたほうがよい。フェントステープから変更する場合は翌朝から開始した方がよい。
例)フェントステープ6mgをモルヒネ60mg/日に変更する場合
フェントステープ6mgの力価はモルヒネ静注60mgだが、フェントステープの血中濃度は12-18hrほど残存するため、フェントステープを剥がして12時間後に力価の1/4-1/3のモルヒネ量(15-20mg)で開始する。
もしくは、
 ①フェントステープ6mgを3mgに変更
 ②6hr後にモルヒネ15mg/日で開始
 ③さらに12hr後にモルヒネ30mg/日にアップ
 ④フェントステープをなくして6hr後にモルヒネ45mg/日にアップ
 ⑤さらに12hr後にモルヒネ60mg/日にアップ
オピオイドの切り替え方法について:
・モルヒネ経口からパッチは:貼ったときに1回併用(1日2~3回製剤)
・オピオイド注射からパッチは:パッチ貼付後の12時間後にOFF、または6時間後に半量、12時間後にOFF
・オピオイド注射からモルヒネ経口は:モルヒネ経口服用1時間後にOFF
・パッチからオピオイド注射は:パッチ剥離後6時間後に半量で開始し12時間後に全量。ただし、痛みが強い場にはパッチ剥離時に半量で開始し6時間後に全量にする
cf)必要モルヒネ量の推定
疼痛時にモルヒネ10mg+生食100mlを点滴開始し、痛みが取れるまでの投与量と再度疼痛を訴える時間を測定する。50ml点滴し疼痛がなくなり、4hrで再度疼痛を訴えた場合は、5mgで4hrコントロールできるため、1日の必要量は30mgとなる。
不穏時/せん妄:
 ・リスパダール内服液(リスパダール)1ml/1包 睡眠前に1時間あけて3回まで投与。
 ・ドルミカム10mg/2ml+生食100mlを4ml/hr(2セットを8ml/hr)で落ち着くまで投与。
 cf)・不穏、せん妄の原因として、オピオイドの増量、抗不安薬、感染、脱水、高Ca血症の影響などをチェック。
呼吸困難時:
 ・オプソ(モルヒネ内服液)5mg 0.5~1包内服
 ・モルヒネ塩酸塩2mg/2ml皮下注
 cf)気道狭窄、SVC症候群、胸水、心不全、貧血ないかチェックする。外気の入れ替え、うちわ、匂いのきつい食べ物を避けるetc。
気持ちのつらさ:
 ・ソラナックス(アルプラゾラム/抗不安薬)0.4mg2錠分2~3錠分3
    ソラナックスを1週間投与しても無効な時:
 ・レクサプロ(エスタシロプラム/SSRI)10mg1錠分1夕食後 嘔気の副作用あり
 ・サインバルタ(デュロキセチン/SNRI)20mg1錠分1朝食後、2錠まで増量可能
  SSRI/SNRI使用も無効な時は精神科コンサルト
 ・リフレックス15mg就寝前 1週間以上あけて15mgずつより45mgまで増量可能
  NaSSA。胃腸症状、性機能障害が少ない。眠気やめまいに注意。
  cf)リフレックスは副作用も少なく、マイルドな効果なので、内科入院中のうつ状態に使いやすい。
cf)「1日中気持ちが落ち込む」「今まで好きだったことが楽しめなくなった」どれかが当てはまるなら治療開始。
骨転移の疼痛:
 ・ゾメタ(ゾレドロン酸)4mg/5ml+生食100ml点滴を4週間毎
  cf)・整形外科、放射線科コンサルト。コルセットの着用など。
    ・麻薬にロキソニン60mg3T/3x追加も可能。
    ・大腿部痛は大腿骨転移か、腰椎転移の神経根症状か、DVTか。
注)
・オピオイドとNSAIDsの併用は当然可能。
・オピオイドとソセゴン(ペンタゾシン)の併用はオピオイド効果減弱のためしない。
・疼痛が強い場合はWHO除痛ラダー第3段階の薬剤から開始してもよい。
・モルヒネは腎障害時には減量する(代謝産物のM-6-Gに薬理活性があるため)。
・フェントステープを使う前にアンペック坐薬10mgを使うこと。いきなりフェントステープを使うと保険が通らない。
・フェントステープやデュアロテップパッチは剃毛してから使用してはならない!血中濃度が急上昇する。
・フェントステープの上限はなし。
・フェントステープの増量は2日あけて行う。1mg→2mg→4mg→6mg→8mg。
・フェントステープ1mg,2mg,4mg,6mg,8mgに対して、レスキューとしてアンペック坐薬5mg,5mg,10mg,20mg,20mg/回を使う(もしくはイーフェンバッカルでも良い)。
・力価:
  経口モルヒネ    60mg/日
 =モルヒネ坐薬    40mg/日
 =オキシコンチン   40mg/日
 =フェントステープ  2mg/日
 =デュロテップパッチ 4.2mg/日
 =レペタン坐薬    1.2mg/日
 =モルヒネ静注    30mg/日
 =フェンタニル静注  0.6mg/日
・力価(順天堂大学 ペインクリニック講座 井関雅子先生):
 経口モルヒネ(mg/day)   <29 30-89 90-149 150-209
 モルヒネ座薬(mg/day)   <10 20-40 50-70  80-100
 モルヒネ注射(mg/day)   <9  10-29 30-49  50-69
 オキシコドン経口(mg/day) <19 20-59 60-99  100-139
 フェントステープ     1mg   2mg  4mg   6mg
・イーフェンバッカルはレスキューのみに使用。
注)腎機能障害時の容量調節
・モルヒネ:GFR>50:75-100%,GFR10-50:25-50%,GFR<10:使用しない(腎機能低下ではM6G,M3Gが増加する、禁忌ではない)
・オキシコドン:GFR>50:100%,GFR10-50:50%,GFR<10:25-50%(腎機能低下時は半減期が延長し過鎮静)
・フェンタニル:GFR>50:100%,GFR10-50:75-100%,GFR<10:50%(呼吸抑制による死亡例も多いため慎重に投与)
・メサドン:GFR>50:100%,GFR10-50:100%,GFR<10:50-75%(腎機能の影響を受けにくいが呼吸抑制やQT延長での死亡例あり)
・トラマドール:GFR>50:100%,GFR10-50:50%,GFR<10:使用しない(ノルエピネフリン再取り込み阻害作用で腎血流低下あり)
・タペンタドール:GFR>50:100%,GFR10-50:75-100%,GFR<10:50-100%(腎機能の影響を受けないが新薬でありデータ不足)
cf)透析時:GFR<10mL/分を参考に投与量を決める
・モルヒネ:使用を推奨しない。
・オキシコドン:投与量を調節して使用。血液透析中、一過性に血中濃度が低下、疼痛出現あり。血液透析前に少量のオキシコドンを追加する。
・フェンタニル:投与量を調節して使用。血液透析では血中濃度は低下しない。透析膜の種類により低下する場合がある。
・メサドン:投与量を調節して使用。血液透析では血中濃度は低下しない。透析膜の種類により低下する場合がある。
・タペンタドール:投与量を調節して使用。血液透析で一過性に血中濃度が低下する。
・トラマドール:使用を推奨しない。血液透析で一過性に血中濃度が低下する。活性代謝物のO-デスメチルトラマドールの血液透析時の薬物動態は不明なため血液透析時の投与は避けた方が望ましい。
・コデイン:使用を推奨しない。
注)化学療法時の食事
・生もの、生野菜、マヨネーズ(自分で開封したものは可)、はちみつ、カスタードクリーム、ホイップクリーム、明太子
・免疫抑制剤の薬効に影響するもの:グレープフルーツ、スウィーティー、文旦、ざぼん、八朔、バンペイユ、ルイボスティー、セイヨウオトギリソウ(=セント・ジョーンズ・ワート)ハーブの一種etc。
cf)
・好中球減少:発熱性好中球減少症(FN)が1コース目にあった場合は2コース目からG-CSFを使う。無熱性好中球減少症はリスク高い時のみ使う。投与後2~3日で減少することが多い(もしくはいつピークかを調べる)。好中球数が1000以下でノイトロジン2μg/kg皮下注。目標は好中球数2000以上。
・嘔気、嘔吐:シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバシン、イリノテカンなど嘔気、嘔吐にはプリンペラン無効ならアプレピタント80mgを2〜3日投与、無効ならデキサメタゾン8mgを2〜3日投与する。
・皮膚障害:フッ化ピリミジン系やキナーゼ阻害薬は手足の異常感覚や紅斑、水疱、潰瘍を生じやすく、抗EGRF抗体薬は顔面、体幹にざ瘡を生じるので尿素含んだウレパールやヒルドイド、ビタミンA,E含んだユベラで予防し、生じた場合はmediamクラスのロコイド(顔面はmediamから始める)、strongのリンデロンV、very strongのアンテベートを使う。感染ありそうならアクチアム軟膏やダラシン軟膏、ミノマイシン内服を併用する。
・間質性肺炎:咳、空咳、息苦しさ、熱があれば考えてKL-6を測定する。自然軽快することが多い。ゲフィニチブ、エルロチニブ、エベロリムスなど分子標的薬で多い。
・末梢神経障害:手足の痛みや筋力低下、起立性低血圧など末梢神経障害はタキサン系、ビンカアルカロイド、シスプラチン、ボルテゾミブで起きやすい。疼痛にはデュロキセチン、オキシコドン、ロキソニン、異常感覚は靴下手袋、マッサージ、ストレッチが有効。ケモしてない時の手足の痛みはPMRかもしれない。
・HBV再活性化:ステロイド含むケモ中にはB型肝炎の再活性化に注意する。s抗原陽性ならケモが始まる前から核酸アナログを開始する。s抗原が陰性でもs抗体またはc抗体が陽性ならHBVDNAを測定し、2.1log copies/ml以上なら核酸アナログ開始、2.1以下なら1〜3ヶ月毎に測定する。
・脊髄圧迫:頚部痛や背部痛、腰痛あれば骨転移による脊髄圧迫を疑い、全脊椎MRIを。デキサメタゾン10mg投与後、4mgを1日4回からから開始し、1日1回に漸減していく。対麻痺や不全麻痺ある場合はデキサメタゾン96mg/日を3日ごとに半減していく。
・SVC症候群:顔面浮腫や両上肢浮腫、嚥下困難あればSVC症候群を疑い、胸部レントゲンや造影CTやMRIをする。
・腫瘍崩壊症候群:ケモ開始後に倦怠感、嘔吐、痙攣、不整脈をきたし、尿酸8mg/dl以上、K6mEq/L以上、リン6.5mg/dl以上、Ca7mg/dl以上(もしくは基礎値から25%以上の上昇)のうち2項目以上満たせば疑い、2-3L/m2/日の生食輸液とアロプリノール200-300mg分3を投与する。
・高Ca血症:食欲不振、便秘、嘔吐、多飲多尿、筋力低下、意識障害あれば高Ca血症疑い、12mg/dl超えてれば200-300ml/hrで生食輸液し、ビスホスホネートを開始する。

DKA

☆糖尿病性ケトアシドーシス
・デキスター、血ガスを2時間毎に測定。
・ノボリンR 100単位
  生食100ml
 5ml/hr(0.1単位/kg/hr)
 上記フラッシュし、5ml/hr(体重50㎏の場合)で開始。血糖値300以下になった場合は0.05単位/kg/hr(2.5ml/hr)にし3号液に変更。2時間毎に血糖測定し、下がるようなら50%ブドウ糖20mlを点滴内に混注する。
・生食500ml
 30分-1時間かけて、以降は200ml/hr。血糖値が300以下になったら3号液に変更。
・メイロン静注8.4% 250ml ソフトバッグ
 pH7.1切るときに使用。BEの10倍量を急速静注。

花粉症

☆花粉症
注意)抗ヒスタミン剤のクラリチン、ジルテック、ザイザルは痙攣やてんかんの既往には使わない。
・アレグラ1回60mg1日2回
・ザイザル錠5mg 1日1回就寝前 28日分
・ザジテン点眼薬0.05%(5ml/日)3瓶 1日4回 1-2滴(2瓶で28日分)
・アラミスト点鼻薬27.5μg56噴霧用 1日1回(1瓶で28日分)
→効果ない場合はセレスタミン1錠3日分など
cf)抗ヒスタミン剤での運転の可否
運転注意の記載なし:アレグラ、クラリチン
運転時には注意の記載あり:アレジオン、エバステル、タリオン
運転はしないよう注意することの記載あり:その他
cf)眠気が出るとき
・ディレグラ(フェキソフェナジン+(興奮作用のある)プソイドエフェドリン)を使う。
・それでも眠いようなら抗ヒスタミン薬内服をあきらめて、ステロイド点鼻とか漢方薬(小青竜湯、越婢加朮湯など)を使用する。小青竜湯に含まれる麻黄(エフェドリン含有なのでディレグラとの併用は要注意)で眠気が減る(小青竜湯は眠気がなく、即効性でもある)。 

骨粗鬆症

☆骨粗鬆症
①ビスホスホネート製剤(骨吸収抑制、生命予後改善あり1st choice)
・ダイドロネル 1日1回200mg食間を2週間、10-12週間休薬を1クールとする
・フォサマック(ボナロン) 1日1回5mgまたは1週1回35mgを起床時に水180mlとともに内服
・アクトネル(ベネット) 1日1回2.5mgまたは1週1回17.5mgを起床時に水180mlとともに内服
・ボノテオ(リカルボン) 1日1回1mgまたは4週に1回50mgを起床時に水180mlとともに内服
・ホンヒバ 1ヶ月1回1mg静注
注意)
・椎体A、フォサマックとアクトネルは大腿A(他はC)
・フォサマックとアクトネルはステロイド性骨粗鬆症にも使う
・フォサマックはゼリー剤や注射剤もあり
・Ccrが30以下では禁忌
副作用)
・吸収不良:水道水で内服する(ミネラルウォーター、お茶、ジュース、コーヒー、牛乳は×、内服後30分は食事×)
・食道狭窄:内服後30分は座位を、入院中は中止する方がよい
・顎骨壊死:口の痛み、下唇のしびれ、口の白または灰色のできもの、顎の腫れ、歯が自然に抜けた、抜歯後の痛みがひかない等あれば中止する。服用開始前に歯科治療が必要な歯がないか確認すること。抜歯時は3ヶ月の休薬を(抜歯後は2-3週間置いて開始)。
・長期投与にて大腿骨転子下や骨幹部の骨折あり。3年以上の投与で骨粗鬆症リスク再評価を。
②SERM(椎体A/大腿C、骨吸収抑制、骨にはエストロゲン作用、子宮や乳腺ではエストロゲン拮抗)
・エビスタ 1日1回60mg
注意)骨作用の他、心血管イベント抑制、T-choL↓、LDL↓効果あり(ただし、TG↑、ホットフラッシュ、こむら返り、海外ではDVTの副作用あり、乳がんと子宮内膜癌は“増加させない”)。血栓傾向あるのでステロイド使用中は禁忌。
・ビビアント 1日1回20mg(エビスタより強力)
③抗RANKL抗体(椎体A/大腿A、破骨細胞の分化誘導に必要なRANKLを阻害、骨吸収抑制)
・プラリア 6ヶ月に1回60mg皮下注
注意)
・低Ca起こすので血清Caが高くない限りはビタミンDを補充しながら使う。特に腎機能低下ある時は注意。
・顎骨壊死や骨髄炎の副作用もあり。
④ビタミンD製剤(骨折予防だけでなく骨格筋力upで転倒予防効果あり、椎体はA/C、大腿はC)
・アルファロール(ワンアルファ)1日1回0.5-1.0μg内服
・ロカルトロール 1回0.25μg1日2回
・エディロール 1日1回0.75μg、症状により1日1回0.5μgに減量。より強力。
注意)
・血清25(OH)Dが20μg/ml未満で欠乏だが7割が欠乏している。ただし25(OH)Dの測定は保険適応外。
・フォサマック(ボナロン)との併用で重度骨粗鬆症にも効果あり。
・副作用は高Ca血症、高Ca尿症。血清Caが11以上ならいったん休薬しCa値が正常化してからエディロール0.5μg/日から開始し0.75以上に増量しないと骨折予防効果なし。尿中Ca(mg/dl)/尿中Cr(mg/dl)が0.3を超えると尿路結石のリスクあり。飲水指示を。
⑤PTH注射製剤(唯一の骨形成促進剤、他の骨粗鬆症治療薬無効例や高齢者の多発骨折例に適応、1ヶ月に5万円かかる)
・フォルテオ 連日1回20μg皮下注、最大24ヶ月まで
・テリボン 週1回56.5μg皮下注、最大18ヶ月まで
禁忌)Paget、原因不明の高ALP、骨端線が閉じていない若年者、骨への放射線照射、高Ca血症、骨腫瘍(原発、転移)
骨粗鬆症について)
・薬剤選択
椎体骨折がない、比較的若い人にはSERM
椎体骨折があるひとにはビスホスホネート
多発骨折があり痛みが強い人にはPTH注射製剤
大腿骨近位端骨折ならビスホスホネートか抗RANKL抗体
・生活指導
食事はバランスよく十分な食事量を。その上でCaやビタミンDやビタミンK。
ながら体操(椅子に浅く腰掛けて、背筋を伸ばしたまま前後に前屈後屈)を1セット5から6回を1日3セット。ウォーキングも大切。
しかし、骨量維持効果であって増量効果はなし。
・骨粗鬆症の治療開始基準
大腿骨近位端骨折または椎体骨折がある場合
その他の脆弱骨折がありYAM80%未満の場合
骨折がなくてもYAM70%以下またはTスコア-2.5以下の場合
骨折がなくYAM70%以上80%未満で、FRAXリスク15%以上(日本酒2合以上、喫煙)または大腿骨近位端骨折の家族歴がある場合
・ステロイド性骨粗鬆症の治療開始基準
経口ステロイドを3ヶ月以上使う予定でリスク3点以上ならフォサマック、アクトネルから開始。使えない場合はテリパラチオ、ボンヒバ、ビタミンDを使う。
cf)ステロイド性骨粗鬆症のリスク
 既往骨折:なし0点、あり7点
 年齢:50才未満0点、65才未満2点、65才以上4点
 PSL換算(mg/日):5未満0点、7.5未満1点、7.5以上4点
 %YAM:80以上0点、70以上80未満2点、70未満4点
cf)長期間ビスホスホネート治療中の閉経後女性への対応のためのアルゴリズム
5年以上の経口薬、3年以上の静注薬のビスホスホネート治療した閉経後女性
→治療開始前または治療中に大腿骨近位部骨折、椎体または他の複数の骨粗鬆性骨折が生じているか
①生じているならビスホスホネート継続か他の骨折予防治療に変更する
②生じていないなら、T-scoreが-2.5以下または大腿骨近位部骨折リスクが高いならビスホスホネートを10年まで継続するか、他の骨折予防治療に変更
③骨折もなく、T-scoreは-2.5以上または大腿骨近位部骨折リスクが低いなら休薬を検討し、2-3年ごとに再度評価する

大腸検査前

☆大腸検査前
・検査当日の朝食は中止(前日21時以降は絶食)
・センナル(センノシド/プルゼニド)12㎎2錠就寝前(前日前)
・マグコロール100g1800mlまたはニフレック2000ml(当日朝、検査3時間前)
(マグコロールは腎障害時には禁忌)
→どうしても飲めないときは最低1Lは飲む、排便ないときは浣腸する等して確認すること。
cf)腸閉塞が疑われる場合は、500mlを最初にゆっくりと飲んでもらい1時間ほど経過観察し、排便ないなら中止。
・ガスコンドロップ5-10ml(気泡を抑える)
cf)高齢者など大量に飲めない場合はGFにて投与する方法もある。
cf)ブラウン変法
①前日の午後8-9時にマグコロールP50gを200mlの水に溶かして服用、就寝前にプルゼニド2-3T
②起床時に新レシカルボン座薬、200ml以上の水を飲水
注意)検査当日の内服について
・降圧薬、循環器作動薬、抗痙攣薬などは継続する。
・絶食にするので経口の糖尿病薬は中止にする(インスリンの場合はランタスのみとする)。

慢性心房細動

☆慢性心房細動
・メインテート2.5㎎ 1錠分1朝食後
  βブロッカー。レートコントロールの第1選択。不十分なら5㎎まで増量。
・セロケン20㎎(ロプレソール) 2錠分1朝食後
  βブロッカー。レートコントロールの第1選択。不十分なら80㎎まで増量。
・ワソラン40㎎3錠分3毎食後
  CCB系。レートコントロールの第2選択。
・セロケン20㎎(ロプレソール)2錠分1朝食後
  ハーフジゴキシン0.1252錠分1朝食後
  βブロッカーで効果不十分な時。
・プラザキサカプセル75㎎ 4C分2朝夕食後 
  抗凝固薬(NOAC)。GFR50以下、70歳以上、消化管出血既往、アミオダロン/ベラパミルの服用中は110㎎1日2回にする。GFR30切る時、イトラコナゾール内服中は禁忌(∵AUCが2倍以上)。リファンピシン、カルバマゼピン併用では作用低下あり。イダルシズマブという中和薬あり。
cf)腎障害、70歳以上、作用増強薬(抗凝固薬、アスピリンなどの抗血小板薬、NSAIDs、ベラパミル投与)、消化管出血の既往ある場合は、貧血の進行、鼻出血、歯肉出血、皮下出血、血尿、血便がないかをチェックしていく。
・ワーファリン1㎎3錠分1朝食後
  1mgから開始し、0.25mgずつ調整する。PT-INRを1.6-2.6にする。納豆/青汁/クロレラは食べない。ワーファリン単剤の方がアスピリン併用より出血リスクが低く、脳梗塞予防効果は同じ(アスピリン併用はしないこと)。禁忌は最近の脳出血、消化管出血、重症肝障害。
 cf)ワーファリンの0.125mgは0.5mg錠を4分の1にする。1mg錠を8分の1にはできない!(ハーフジゴキシンも同様の考え方)
 cf)PTINRが延長しすぎている場合(10以上)はケイツー10mgを生食100mlに溶いて15分で投与(1日2回まで、遮光で投与)。効果発現は1時間ほど。意識が悪い場合や頭痛訴える場合は頭部CTを。絶対安静が必要。
・ワーファリン過剰投与の場合:
 PTINR3以上なら減量
 PTINR5以上なら中止しINR正常化してから再開
 PTINR9以上なら中止しビタミンK1(ケイツー)5-10mgを経口投与しINR正常化してから再開
 PTINR9以上で出血リスクまたは出血ありならビタミンK1(ケイツー)10mgを緩徐に静注
<NOAC(Non-vitamin K antagonist oral anticoagulants)>
・非弁膜症性Afの脳梗塞予防、DVT/PEの治療/発症予防に使う。
・予防効果はワーファリンと同等で、出血リスクはワーファリンより低い。
・血中濃度が安定しており定期的なモニタリングが不要。
・非弁膜症性AfでCHAD2スコア2点以上ならNOACかワーファリン、CHAD2スコア1点ならダビガトラン(プラザキサ)、アピキサバン(エリキュース)を投与。MS、人工弁、DCMのあるAfではワーファリンのみ適応。心原性脳梗塞慢性期も同様。
・どれも半減期は10hr程度なので1日2回投与が基本。
・NOACの作用増強薬:CYP3A4関連ではアゾール系、クラリスロマイシン、P糖蛋白関連ではイトラコナゾール、ケトコナゾール、クラリスロマイシン(他にもあるので必ず確認すること!!)
・NOACの作用減弱薬:CYP3A4関連ではフェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、P糖蛋白関連ではリファンピシン、カルバマゼピン(他にもあるので必ず確認すること!!)
①プラザキサ(ダビガトラン)150mg1日2回(CCr30未満、イトラコナゾール(P糖蛋白阻害薬)併用は禁忌)。腎代謝。
 減量条件:CCr30-50、70才以上、消化管出血既往のうち1つ以上あれば110mg1日2回
 トロンビン時間(TT)延長、APTT延長あれば治療域、TT延長でもAPTT正常なら低濃度
②イグザレルト(リバーロキサン)15mg1日1回(CCr15未満は使用経験なく、イトコナゾール/ボリコナゾール/ケトコナゾール経口投与併用は禁忌)。肝代謝。
 減量条件:CCr15-50なら10mg1日1回
 PT延長するが治療域とは限らない
③エリキュース(アピキサバン)5mg1日2回(CCr15未満は使用経験なく禁忌)。肝代謝。DVT治療/予防は10㎎1日2回7日間の後、5㎎1日2回投与する。DVTに関してはCCr30未満では使用経験なく禁忌。
 減量条件:80才以上、体重60kg以下、Cr1.5mg/dl以上のうち2つ以上あれば2.5mg1日2回
④リクシアナ(エドキサバン)30mg1日1回(CCr15未満は禁忌)。腎、肝代謝。
 減量条件:CCr15-50、P糖蛋白阻害薬併用、体重60kg以下のうち1つ以上あれば15mg1日1回
cf)患者の臨床像に応じたNOACの薬剤選択
①高齢者→併存疾患、75歳以上で頭蓋外出血の少ない薬剤→エリキュースリクシアナ
②腎機能低下例→中等度~重度の腎機能低下例で出血合併症の少ない薬剤→エリキュース
③消化管出血の既往例→消化管出血のリスクを増大させない薬剤→エリキュースプラザキサ110㎎
④出血リスクが高い(HAS-BLED3点以上)→頭蓋外出血が少ない薬剤→エリキュースプラザキサ110㎎リクシアナ
⑤VKAで良好に管理されているのにもかかわらず脳卒中の再発を繰り返す→虚血性、出血性脳卒中の両方にベネフィットが示されている薬剤→プラザキサ150㎎
⑥服薬回数が少ない薬剤を好む患者→1日1回投与製剤を選択→リクシアナ、イグザレルト
⑦VKAによる良好な管理が難しいと考えられる患者(SAMeTT2R2スコア2点以上)→いずれのNOACも選択可能(患者特性を考慮)
⇒まずはエリキュース(アピキサバン)を使っておけばよい。

慢性心不全経口薬

☆慢性心不全経口薬
・アーチスト2.5mg1錠朝分1(1.25㎎2錠分2)
  βブロッカー。NYHAⅡ度以上。肺うっ血あれば増悪するので禁忌。血管内脱水あるときは心拍出量低下するので控える。軽度PQ延長や脚ブロックでは許容。血圧低下著しいときはメインテートに変更。喘息時は控える。予後改善効果が証明されたのは、DCMやOMIによるCHFにメインテート、アーチストを使う場合。アーチストはα作用もあり、血圧を下げるが、メインテート、テノーミンはα作用がない。交感神経遮断による不整脈防止、心房細動ではレート減弱効果、レニン分泌抑制により生命予後改善。
cf)心不全あるときにアーチスト1.25mgやメインテート0.625mgから開始するが、血圧が下がるのはアーチスト10mgやメインテート2.5mgから。
・レニベース5mg1錠朝分1
 ARBに心臓保護作用ないが、ACEIにはある。しかし降圧作用は弱い。コバシルはある程度下げる。心不全に対して臓器保護目的で使う。空咳が高率に出てくる(誤嚥予防には良いかもしれない)
・ラシックス20mg1錠
  アルダクトンA25mg1錠朝分1
 ラシックスによる低K、アルドステロン増加による心筋リモデリング抑制効果を期待してアルダクトンを併用。腎臓を干からびさせるので、常用はよくない。
・ディオバン80mg1錠朝分1
 高血圧ある時。ARB。肝代謝。BNP見ながら160mgまで増量可能。Cr2台までで使用可。
・アムロジン5mg1錠朝分1
 ジヒドロピリジン系CAB。慢性心不全の予後改善効果はないが、上記で降圧不十分なときには併用する。特に脳卒中の家族歴既往歴ある時。
・バイアスピリン100mg1錠朝分1
 プラビックス75㎎1錠朝分1
 ランソプラゾール15㎎(タケプロン)1錠朝分1
 不可逆的cox1/2阻害薬。脳梗塞、心筋梗塞の既往がある時。手術1週間前よりプラビックス、バイアスピリン中止、と同時にアンプラーグ3T、プレタール50 3Tを分3でを開始。アンプラーグ手術の前日から中止、プレタール手術の3日前から中止。プレタール(シロスタゾール)は無顆粒球症、肝障害、ITP多い。
cf)PCI後はベアメタルステントなら1ヶ月、薬剤溶出性ステントDESなら1年はクロピドグレル(プラビックス)とバイアスピリン併用する(DAPT)
・プラバスタチン5㎎(プラバチン)2錠分1夕食後
 クレストール2.5mg1錠分1夕食後
  高LDL血症の時。
・ペリシッド250㎎3錠分3毎食後
  高TGある時(あまり使わない)
・アロチーム100㎎(ザイロリック)1錠分1夕食後
  高尿酸血症ある時。腎障害あるときはフェブリクにする。
・ワーファリン1㎎2錠分1夕食後
  心房細動ある時
cf)非弁膜症性AfでCHAD2スコア2点以上ならNOACかワーファリン、CHAD2スコア1点ならプラザキサ、エリキュースを投与。MS、人工弁、DCMのあるAfではワーファリンのみ適応。心原性脳梗塞慢性期も同様。
・アイトロール20㎎ 2錠分2朝夕食後
  もしくはバソレーターテープ1枚
  労作性狭心症の既往ある時。
・バイミカード5㎎2錠分1夕食後
  冠攣縮性狭心症の既往ある時。

高尿酸血症

☆高尿酸血症
<非発作時>
・アロチーム(ザイロリック)100㎎2錠分2~3錠分3毎食後
  尿酸産生抑制。腎不全時には禁忌。腎機能低下時にはフェブリクにする。
 肝機能障害と発疹に注意。
・フェブリク10mg分1~60mg分1
 腎機能低下時にも使える。発疹に注意。
<発作時>
・ロキソニン60mg3錠分3
 発作が完全に治まるまでしっかり使うこと。1週間分処方する。
<発作予感時/発作予防>
・コルヒチン0.5mg1錠分1
cf)
・尿酸7mg/dl以上で痛風発作の既往ありか、メタボ/HT/HL/CKD合併時には治療開始する。
・レバー、ホルモン、砂肝、エビ、カツオ、菓子パン、ビール、紹興酒、ジュースの過剰摂取、カロリー過多は避ける。
cf)高尿酸血症の治療開始基準(最新)
・血清尿酸値が8.0mg/dL以上で合併症がある
・合併症はないが血清尿酸値が9.0mg/dL以上
・合併症はないが腎障害があり血清尿酸値が8.0mg/dL以上(腎機能低下を抑制する目的、フェブリクを用いる)

高脂血症

☆高脂血症
・クレストール2.5㎎1錠朝食後
  高LDL血症の時。HDL↑/TG↓効果もあり。作用時間が長いので隔日~週1回でも効果あり。
 スタチンの中でも筋副作用が少ない(肝機能とCPKは必ずf/uする)
 4週以降でも効果不十分なら1日1回10mgまで増量可能。
cf)新規処方した場合は2週間後に採血フォローし問題なければ1か月ごとの採血フォロー。問題なければ3か月毎のフォローとする。
・メバロチン10mg1錠朝食後(最大10mg2錠分1まで増量可能)
 水溶性で横紋筋融解が少ないとされるスタチン製剤。
・エパデール1回600mg1日3回毎食後
 高TG血症の時(TG>500mg/dl)。エイコサペンタエン酸(EPA)。
注意)ロトリガは食直後に内服するのが望ましい
cf)ロトリガとエパデールの違い
・ロトリガ(ω-3脂肪酸)とエパデール(イコサペント酸)はともにTGを下げる不飽和脂肪酸
・ロトリガはEPA930mg+DHA750mg(1日量2g中)
・エパデールはEPA1800mg(1日量1.8g中)
・ロトリガは通常1日1回の服用で、エパデールは1日2-3回服用(ロトリガの方が手間が少ない)
・ロトリガ、エパデールは食直後(食事が終わってから10分以内)に服用しなければほとんど吸収されない
・ロトリガ、エパデールとも出血傾向の副作用があり、抗凝固薬、抗血小板薬との併用は注意する
 →ロトリガは1日4g、エパデール1日2.7gが上限量 


・ペリシット250㎎3錠分3毎食後
  高TG血症の時(TG>500mg/dl)。ニコチン酸系。
cf)クラリスとリポバスは併用禁忌!
CYP3A4阻害の強さ:クラリスロマイシン、エリスロマイシン>>ロキシスロマイシン、アジスロマイシン
代謝でのCYP3A4関与の強さ:シンバスタチン>>アトルバスタチン>その他のスタチン製剤
→クラリスロマイン、エリスロマイシンとシンバスタチンを併用しないようにすること。
cf)
・LDLの目標値:
血管リスク:0なら160以下、1-2なら140以下、3以上なら120以下、ACS既往ありなら100以下
血管リスク:①男45歳、女55歳以上、②HT、③DM、④喫煙、⑤心血管家族歴、⑥HDL<40
参考)ACSの既往ある脂質異常の治療目標はLDL100未満、DM+(非心原性脳梗塞or末梢動脈疾患orCKDorメタボor喫煙)なら70未満と改訂された。
・高LDL血症では、甲状腺機能低下、Cushing、ネフローゼ、CRF、肝硬変、ピルを除外する。
・高TG血症では、飲酒、サイアザイド、β遮断薬、エストロゲン、テストステロン、ステロイド、シクロスポリン、バルプロ酸、CRF、ネフローゼ、甲状腺機能低下、HIVを除外する。
・腹8分目、3食規則正しく、間食をやめる、運動
・コレステロールを多く含むもの:卵、うに、いくら、たらこ、マヨネーズ、鶏レバー、うなぎ、ヨーグルト、バター、生クリーム(現状の半分程度にしてみるよう指導)
・コレステロールを下げるもの:青魚(サンマ、イワシ、サバ)、オリーブオイル
cf)脂質代謝の検査項目
・LDL/ApoB:LDL-Cの平均サイズ。通常1.40以上、1.17を切ると小型化で動脈硬化惹起性で、1.1以下は極めて不良。
・ApoE/ApoC3::0.7以上だとIII型高脂血症の可能性がある。
・LPL:リポタンパクリパーゼ。LPL>40が目安。内臓脂肪肥満や高血糖下では低値となる。
・ApoB:男性73-109、女性66-101が基準値。90未満が望ましい。
・ApoB/ApoA1:カットオフ値はないが、0.4-0.7だと質としては良好と考えられる。低い方がよい。
・LDL/HDL:質に着目した指標。DM患者では2.0以下、冠動脈疾患を有する患者は1.5以下は目標。
・non-HDL=T-ChoL-HDLにて算出。算出値がLDL+30が目安。それを超えると質の悪化(IDLやVLDLの増加)を疑う。スタチンやフィブラートの開始を積極的に考える必要がある。T-ChoL=LDL+HDL+TG/5で、TG/5がVLDL-ChoLに相当する。
cf)動脈硬化の検査項目
・頸動脈US:IMT(頸動脈内膜中膜複合体肥厚度)が1mmを超えていたら肥厚ありと判断する。Hard,mixed,softは見た感じで判断する。PI値(Lt.ICA)が1.2を超えると頭蓋内血管狭窄の可能性があると考える。
・ABI:上腕と足首の血圧から算出。1.30以上:下肢動脈高度石灰化、1.00-1.29:正常、0.91-0.99:境界域、0.41-0.90:軽度から中等度、0.40以下:重度。
・TBI:足趾・上腕血圧比。足趾血管は石灰化を免れることが多く、TBIでは石灰化の進行している患者でも閉塞病変の存在を評価することが可能。
・CAVI:動脈の硬さの指標。血圧の影響を受けにくい。9.0以上:動脈硬化の疑い、8.0-9.0:境界域、8.0以下:正常範囲。
cf)クレストールで筋肉痛が生じた場合
・自己中断した場合は、筋肉痛やCK上昇、尿潜血ないなら再開し1週間後再診でもよい場合が多い。
・高LDLがあるならメバロチン、リピトール、リバロなど他のスタチンに変更。メバロチンは水溶性で横紋筋融解が一番生じにくい。
・それでも筋肉痛が出る場合はゼチーアに変更(ただし横紋筋融解の副作用記載あり)。
・エパデールやユベラなども考慮。
・コレバインは吸収されないはずなのに、横紋筋融解の記載あり。
・典型的な横紋筋融解症:全身倦怠を主訴として来院、数万のCPK、高いミオグロビン(血中、尿中)、茶褐色の乏尿などを生じる。スタチン中止、ステロイド、点滴、利尿剤で改善するが腎障害が残ることあり。
・スタチンには抗酸化作用、抗炎症作用、抗血小板作用がありACSの発症抑制効果がある。心血管イベントを3割減らす(逆にスタチン以外には抑制効果なし)。
・CK上昇なしに四肢の筋痛、違和感、倦怠感を訴えることがある。内服中止で消失し、チャレンジテストで再現性があり。この副作用があるとまず継続できないほどの嫌な症状。一方、CK上昇が300−400程度なら無症状で、上昇傾向がなければ投与を続けてもよい。
・家族性高コレステロール血症なら筋肉痛を生じても融解症まで至らなければ継続の意味ありか。
・Circulation. 2005;111:The Safety of Rosuvastatin as Used in Common Clinical Practice.A Postmarketing Analysis.によると横紋筋融解とその結果生じる蛋白尿、腎不全等の各種腎障害の発生はクレストールが圧倒的に多く、シンバスタチンの2倍以上、プラバスタチン/アトルバスタチンの6-8倍以上の発生頻度。
cf)スタチンは耐糖能に影響を与える。
・1か月ほどでHbA1cが1%近く上がった例もある。
・耐糖能に影響を及ぼしにくいのは低強度スタチン(プラバスタチン,シンバスタチン)
・高強度スタチンでも耐糖能に影響を及ぼしにくいのはピタバスタチン
・耐糖能に影響しやすい高強度スタチン(ロスバスタチン,アトルバスタチン)を用いる場合は糖尿病治療調整も必要となりうる。
cf)スタチンパラドックス
スタチンには水溶性と脂溶性のがあり、ロスバスタチンやアトルバスタチンは脂溶性。脂溶性スタチンは肝細胞以外の細胞に取り込まれ、血管壁の平滑筋細胞でPCSK9産生が増加し、泡沫化したマクロファージからのABCA1経路を介した脂質の引抜きを抑制し、血清LDL-Cは70mg/dk未満でも、冠動脈プラークは進展するという「スタチンパラドックス」を起こす(O.Bayturan et al. J Am Coll Cardiol. 55:2736–2742, 2010)

経口血糖降下薬

☆経口血糖降下薬
cf)経口血糖降下薬でもコントロール不良な場合は専門医紹介するが、以前にインスリン使用していた場合はランタスを眠前に4単位から開始してもよい(眠前の血糖測定は必須。)
<基本>
・やせ型(インスリン分泌不全):
 ①エクア1回50mg1日2回
 ②無効ならアマリール1回0.5mg1日1回を追加
・肥満型(インスリン分泌正常):
 ①ネシーナ1日1回25mg
 ②無効ならアクトス15mg~30mg3錠分1朝食後またはメトグルコ250mg(メルビン)3錠分3毎食後を追加
・標準体型:
 ①ジャヌビア1日1回50mg(最大100mg)
 ②無効ならセイブル50mg3錠分3~75mg3錠分3毎食直前を追加
・腎機能障害あるとき:
 トラゼンタ5mg1錠分1
<処方例>
・エクア50mg1T/1x-2T/2x、メトホルミン250mg2T/2x-6T/3x、オイグルコン2.5mg0.5T/1x-3T/3x、ジャディアンス10mg/1x-25mg/1x
<経口血糖降下薬>
・ファスティック90mg3錠分3毎食直前
  ナテグリニド。フェニルアラニン誘導体。血糖非依存性速効型インスリン分泌促進。食後高血糖の時。
・セイブル50mg3錠分3~75mg3錠分3毎食直前
  αグルコシダーゼ阻害薬。小腸での2糖類分解酵素阻害薬。糖吸収を抑制。
cf)αGIは腸内ガス増えて腹部膨満になることあり。低血糖時にブドウ糖を経口摂取しても血統改善が難しいときあり。
・アクトス15mg~30mg3錠分1朝食後
  チアゾリジン系。PPARγ転写因子を活性化させ幼若脂肪細胞を増加、アディポネクチンを分泌、GLUT4をupregulateさせる。副作用は肥満、心不全(∵腎でのNa再吸収促進)、浮腫、膀胱癌、骨粗鬆症。アクトス使用中のBNP測定にはコメントが必要(例:アクトス投与中で心不全の有無を判定するため)。
cf)アクトスと膀胱癌について
・アクトスを約3100人に1年間投与すると膀胱癌が1人発生する。
・膀胱癌の患者の約10%がアクトスを内服していた。
・アクトス内服中の膀胱癌患者5人のうち3人は内服と無関係。
・下肢浮腫リスクは公表は4%だが、実際は40%。
・DMに合併するNASHに有効なDM薬はアクトスのみ。
参考論文)
Tuccori M, et al. BMJ. 2016;352:i1541.
Korhonen P, et al. BMJ. 2016;354:i3903.
Levin D, et al. Diabetologia. 2015;58:493-504.
Lewis JD, et al. JAMA. 2015;314:265-277.

・メトグルコ250mg(メルビン)3錠分3毎食後
  ビグアナイト系。腎不全時には注意。副作用は乳酸アシドーシス。1回500mgまで増量可能。
 注)造影CT時は2日前~2日後まで休薬(緊急時は造影後2日間の休薬のみでも可)
cf)メトグルコの特徴:
 ・バイオアベイラビリティは50%→下痢、悪心(用量依存性、耐性あり)∴腸管での糖吸収抑制
 ・小腸上皮のASBT(apical sodium dependent bile acid transporter)を阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制→胆汁酸は下部消化管のL細胞の受容体に結合しGLP-1の分泌を増加∴メトホルミンはDPP-4阻害薬と相性が良い
・ジャヌビア/グラクティブ50mg~100mg1錠分1朝食後
  高血糖時にのみ作用するインスリン分泌促進物質であるインクレチン(GLP-1)を分解するDPP4を阻害する。他の経口血糖降下薬が無効な場合。
cf)DPP4I効果低いなら少量SU剤アマリール0.25-0.5mg/グリミクロン20-40mgを追加。
注)肝硬変にエクアは禁忌で少量SU剤かαGI、グリニドを使うがインスリン強化療法が無難。
・トラゼンタ5mg1錠分1
cf)同じDPP4阻害薬でもトラゼンタは肝腎機能低下あっても用量調節の必要ないため、第1選択で使える(eGFR<60であればトラゼンタに変更か薬剤変更せずに減量を)。
注)インスリン分泌能を調べてから使う。
 ・血糖降下薬の効果が乏しく、空腹時CPR0.5ng/ml以下ならインスリン導入を。
 ・インスリン導入はCPI(CPRindex)=CPR(ng/ml)/FBS(mg/dl)×100で0.8未満もしくはCPR0.6未満、ΔCPRが0.9ng/ml以下。
・メキシチール100mg3錠分3
糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善。第I群の抗不整脈薬でもあるので重篤な心不全やペースメーカー未使用のII~III度のAVブロックには禁忌。
cf)糖代謝関連の検査項目
・ΔCPR=グルカゴン1㎎静注5分後の血中Cペプチド濃度-早朝空腹時の血中Cペプチド濃度
・1,5-AG:食後過血糖を評価。数日間の尿糖の指標。14以上:正常、10-13.9:優良、6-9.9:良好、2-5.9:不良、1.9以下:極めて不良。
・DU-CPR:1日畜尿中に排泄されたCペプチドを計測。正常人におけるインスリン基礎分泌の指標。70-100が基準。
・HOMA-IR:インスリン抵抗性の指標。血糖値140mg/dl以上では参考値。1.6未満が正常で、2.0以上で抵抗ありとする。インスリンを使用している患者では計算しても意味がないので算出しない。HOMA-IR=FBS×IRI/405
・HOMA-β:インスリン分泌能の指標。血糖値130mg/dl以上では参考値。40を切っていたらインスリン分泌能は低下していると判断する。インスリンを使用している患者では計算しても意味がないので算出しない。HOMA-β=(IRI×360)/(FBS-63)
・CPRIndex(CPI)=空腹時CPR÷空腹時血糖×100。グルカゴン負荷試験・検査前のデータを使用する。1.2以上は内服薬による治療が可能。0.8以下はインスリン治療が必要。インスリンを使用している患者では計算しても意味がないので算出しない。
・空腹時CPR:基礎インスリン分泌の指標。2-2.5が基準。1を切ればインスリン治療がベター。0.5を切るとインスリン依存状態。
・空腹時IRI:基礎インスリン分泌の指標。5を超えていればまずまず。10を超えるとインスリン抵抗性を疑う。検査手法によりヒトインスリンとインスリンアナログを区別して測るものと区別して測るものがある。
・中年以降でGAD抗体陽性でCPR低下あればSPIDDMか。
cf)入院もインスリンもできない時は、グリメピリド0.5~1.0/日かグリクラシド20-40mg/日、週1回のGLP1作働薬のビデュリオン、トルリシティ。
cf)スターシスとグラクティブの併用コメント:HbA1cが○○%とコントロールが不良であり、食後血糖も高いため低血糖の危険性は少ないと判断し投与しました。
cf)DPP4阻害薬別の併用可能な薬剤
・エクア:SU,TZD,BG,αGI,グリニド,インスリン
・ジャヌビア、グラクティブ:SU,TZD,BG,αGI,インスリン
・ネシーナ、スイニー:SU,TZD,BG,αGI,
・トラゼンタ:なし
・テネリア:SU,TZD
cf)65歳以上のHbA1c目標値:
合併症予防のためには7.0未満が目標であるが、以下の条件なら目標値を上げても低血糖のrisk-benefitの観点から許容される。
・カテゴリーI(認知機能正常かつADL自立)
 薬剤(*)使用なし→ 7.0%未満  
 薬剤使用あり:
 65歳以上75歳未満→ 7.5%未満(下限6.5%)
 75歳以上→ 8.0%未満(下限7.0%)
・カテゴリーII(軽度認知障害~軽度認知症または手段的ADL低下、基本的ADL自立)
 薬剤使用なし→ 7.0%未満  
 薬剤使用あり→ 8.0%未満(下限7.0%)
・カテゴリーIII(中等度以上の認知症または基本的ADL低下または多くの併存疾患や機能障害)
 薬剤使用なし→ 8.0%未満  
 薬剤使用あり→ 8.5%未満(下限7.5%)
(*)重症低血糖が危惧される薬剤(例:インスリン、SU薬、グリニド薬など)
 ∴要するに、インスリン、SU薬、グリニド薬を追加処方した時点で目標HbA1cが0.5%緩くなるということ!!
cf)神経障害:
・自律神経:CVR-R(安静時)が2.0%を切っていたら(+)と記載。
・末梢神経障害:①問診にて自覚症状がある(両側性でしびれ、疼痛、異常感覚のうち2つ以上認める)、②両側アキレス腱反射の低下あるいは消失(膝立位で判定)、③両側内顆振動覚の低下(10秒以下)のうち2つ以上満たせば(+)と記載する。

強化インスリン療法(スケールも含む)

☆強化インスリン療法
・マイクロファインプラス 4本
  血糖測定電極(スマートブルー) 4枚
  メディセーフ針F用 4本
  1日4回毎食前と就寝前 14日分
・プレシジョンエクシード(血糖測定器) 1台
  メディセーフ穿刺具 1本
・ランタス注ソロスター 300単位 1本
  1日1回寝る前 75日分
  就寝前○単位皮下注してください。
・ノボラピッド注フレックスペン1本
  1日3回毎食前30分
  毎食30分前に○単位皮下注して下さい。
 (インスリン総投与単位数は体重kg×0.4、4等分し毎食前30分の速効型と就寝前の持続型)
・ナノパスニードル14本/袋
 ペンニードル32Gテーパー7本/袋
 ペンニードル30G7本/袋
 1日2回2週間分なら7本入り4袋(予備も考えて8袋)
注)食思不振時のインスリン投与
・ランタスは絶対に打つこと。怖いならいつもの半分量にしても良い。
・超速効、速効型は食事が半分以上食べれたら全量打つ(超速攻型を食直後打ちに変更する)
・3割なら半分量、全く食べれないなら3割量を打つ。
・できるだけ早く受診する。
注)インスリンスライディングスケール
朝、昼、夕食前にBS測定
・ヒューマリンRまたはノボリンR皮下注
(ヒューマリンR4単位の略語はHuR4E(uの上に..をつける)  )
 350以上なら10単位
 300以上なら8単位
 250以上なら6単位
 200以上なら4単位
血糖をもっと厳格にコントロールしたい時は、ランタス追加し、
 350以上なら14単位
 300以上なら12単位
 250以上なら10単位
 200以上なら8単位
 150以上なら6単位
くらいまであげても良い。
cf)インスリンスライディングスケールを順次上げていく方法:
  A→B→Cの順に上げていく
      A  B  C
100-149:0-0-2
150-199:0-2-4
200-249:2-4-6
250-299:4-6-8
300-349:6-8-10
350-399:8-10-10
400-  :10-10-10(Dr.Call)
注)
血糖降下剤を内服中で絶食になった場合はスケール対応よりも点滴中にインスリンを入れて持続投与し、血糖値4検を行う。
・ブドウ糖5%500ml+ヒューマリンR2-3単位
・KN3号液500ml+ヒューマリンR2-3単位
・TPNにヒューマリンRを混注するときは24時間投与とすること。ブドウ糖(g)の10-7分1の単位数のインスリンを混注しておく。(点滴にインスリンを混注するときは24時間持続点滴が基本)
・エルネオパ1号1500ml:ブドウ糖180g→6単位~18単位まで
 エルネオパ2号1500ml:ブドウ糖250g→8単位~25単位まで
注)
ミリオペンが固いという人はフレックスタッチやペンフィルのような柔らかいものに変更する。
注)入院中のインスリンコントロールの注意点
・具体的に何時に低血糖になったのかを聞くこと。
・間食、リハビリ、病院食のカロリーについて把握する。
・朝食後の低血糖なら朝食前の速効型/超速効型を減らす。
・朝食前の低血糖なら夕食前の速効型を減らすべきで、朝食前の速効型/超速効型はそのままでよいはず(少し減らしてもよいが・・・)
・夕食前の低血糖なら昼食前の速効型/超速効型を減らす。
・Diabetic neuropathyある場合は腸管蠕動低下で消化吸収が遅くなり、血糖値ピークが遅れることがある→ノボラピッドを食後打ちに変更。
・蜂窩織炎や術後創部感染などで食事開始後に血糖コントロールが不良な場合はTPNにして絶食、インスリン持続投与を考慮する。
・早朝の低血糖なら就寝前のランタスを減らすか、ランタスを朝食前または夕食前にしてみると夜中早朝の低血糖が予防できる。
cf)インスリン製剤の半減期
・超速効型(ヒューマログ/ノボラピッド):発現15分、ピーク1時間、持続4時間→食直前/直後
・速効型(ヒューマリンR/ノボリンR):発現30分、ピーク2時間、持続8時間→食前30分
・持効型(ランタス):発現1時間、ピークなし、持続24時間→食事時間に無関係
cf)急にコントロールが悪くなった場合
・皮下脂肪のないところに注射していないか。
・きちんと決められた分量を注射できているか。網膜症や白内障、緑内障が進んで単位数が見えていないのではないか。
・皮下注射の針のサイズはこれまでどおりか。
・インスリンの種類はあっているか。
注意)療養病院でのインスリン指示
・IVHメイン点滴内にヒューマリンRなどを入れるのが普通だが、療養病院ではできるだけグラルギンやランタスの1日1回皮下注でコントロールするようにする(入浴などの時間に合わせて点滴を早く落としてしまうことがあるためと単位ミスを防ぐため)。当初はスケール対応もシンプルで緩やかなものにする。

・療養病院でのスケール対応
 BS60未満:50%ブドウ糖2AivかPEGやEDの場合は注入
 201-300:ヒューマリンR4単位皮下注
 301-400:6単位皮下注
 401-500:8単位皮下注
 501‐10単位皮下注


PPN(肝不全)

☆PPN(肝不全)
・アミノレバン 500ml
 ビタメジン 1瓶
  アスコルビン酸 1A
 チオスペン400㎎ 1瓶
  グルタチオン200㎎ 1瓶
  アデラビン1ml 1A
 ネオファーゲン20ml 1A
 アデホスコーワ20㎎ 1A
 ラシックス20㎎ 2A
・献血アルブミン25%12.5g50ml 1瓶
 1ヶ月に6回まで投与可
 低蛋白血症あるとき
注)BUNが保たれているか、脳症の程度、凝固系、胆嚢浮腫で経過見る。アミノレバン以外のアミノ酸は使わないこと。エルネオパは×。補液はブドウ糖ベースで行う。アミノレバンはブドウ糖併用しないと代謝性アシドーシス起こすことがある。

PPN/TPN(腎不全)

☆PPN(腎不全)
・ソルデム1 500ml
 ブドウ糖50%20ml 2A
 アリナミン10㎎ 2A(もしくはビタメジン1Aやリメファー3B1A)
・10%ブドウ糖 500ml
・イントラリポス20%100ml(イントラリピッド)1袋
  側管から4時間かけて
注)1日700ml程度にしておく。
・キドミン200ml+ビタメジン1瓶、ソリタT1 500ml 

☆KフリーのTPN
・ハイカリックRF 500ml
・キドミン 200ml(腎不全用アミノ酸製剤)
・オーツカMV注 1A(ビタミン製剤)
・エレメンミック注 2ml/A 1A(Zn,Mg,Cu,Fe,P:微量元素)
・ブドウ糖50% 20ml 2A
注)TPN開始2時間後、翌日から1週間は朝に血糖測定を
cf)TPNは食事と併用では保険が通らない(易消化5分までなら通る)!エレメンミックは食事していると通らない。

PPN/TPN(IVH)

☆PPN
・10%EL3号 500ml(もしくはフィジオ35 500ml)
 ビタメジン1A(もしくはリメファー3B1A、シーパラ1A)
  通常2セット
・ビーフリード 500ml
・イントラリポス20%100ml(イントラリピッド)1袋
  側管から4時間かけて(フラッシュ用生食20mlを同時にオーダーすること。
cf)療養病院でのTPNに併用するイントラリポスは週1-2回程度にする。
・フラッシュ用生食20mlを同時にオーダーすること。 ☆TPN(IVH)
注意)療養病院での点滴は男性1000ml、女性850-1000mlでよい。(少なくともIVHになれば1000mlでよいし、点滴量が多いと痰も増えるし肺炎のriskも上がる。当然心不全も起こしやすくなる)。
注意)フルカリックやエルネオパにはビタミンは入っているが微量元素(メドレニック1A)はないため、褥瘡強いときはメドレニックなければ追加しておく。
・エルネオパ1号1000-1500ml 開始後3日間はBS1-3検、1週間後に肝機能チェック
→エルネオパ2号1000-1500ml
例)①アミノトリハ1号(→2号)゚850ml(ビタジェクト1A)+ソルデム3A200ml、②フルカリック1号1000ml(メドレニック1A)
cf)IVH後に肝機能異常をきたした場合
・アミノ酸負荷によるものが多い (BUN↑)
・以下のように変更していき、肝機能をフォローしていく
①フィジオ35 500ml(うち1本にはシーパラ1Aを混注)を3-5日間
②フィジオ35 500ml+50%ブドウ糖20ml5Aを1日3回(うち1本にはシーパラ1Aを混注)を3-5日間
③ビーフリード500ml+50%ブドウ糖20ml5Aを1日1回、フィジオ35 500ml+50%ブドウ糖20ml5Aを1日2回を3-5日間
④ビーフリード500ml+50%ブドウ糖20ml5Aを1日2回、フィジオ35 500ml+50%ブドウ糖20ml5Aを1日1回を3-5日間
⑤エルネオパ1号1000ml、フィジオ35 500ml+50%ブドウ糖20ml5Aを1日1回を3-5日間
⑥エルネオパ1号1500mlを3-5日間
⑦エルネオパ2号1500mlに変更
注意)
リフィーディング症候群に注意する。P↓、Mg↓で低PはRBC中の2,3-DPGでHbがO2を離れにくくするので、SatがよくてもO2利用ができないことがあり、MIを起こすことあり。通常は10kcal/kgくらいから開始する。ビタミンB1欠乏もあるので注意する。

打撲

☆打撲
・インテバン外用薬1%50ml 2本
・スミルスチック
cf)温湿布はMS温シップを処方。

熱傷

☆熱傷
・アズノール軟膏0.033% 100g
・リンデロンVG軟膏0.12%5g
・ゲーベンクリーム1%500g

創傷/褥瘡

☆創傷
・ワセリン 100g
・レスタミンコーワクリーム20g1回分 
  かゆい時
・ゲンタシン軟膏0.1%10g 1本

☆褥瘡
・病変が平坦で滲出液が多い時:ハイドロサイト、アクアセルAgフォーム(ポリウレタンフォーム)
・病変が凹凸で滲出液が多い時:アクアセル(ハイドロファイバー)
・病変が平坦で滲出液少ない時:デュオアクティブ、テガダーム(ハイドロコロイド)
・止血効果必要な時:カルトスタット(アルギン酸)
・感染を伴う時:イソジンシュガーパスタ、ソフラチュール、外科consultの上debridment
注意)
・TPN中の褥瘡ならメドレニック1Aのメイン内混注や、イントラリポス週1-2回投与を併用すると良い(フラッシュ用生食20mlを同時にオーダーする)。
・注入中の褥瘡ならメイプロテイン1Pを1日1回追加するとよい。

結膜炎

☆結膜炎
・クラビット点眼0.5%5ml 1本
1回1滴、1日3回。片眼だと1本で30日分。
cf)点眼薬は1日4回両眼で10回分(1滴=0.05mL)
・目尻(内眼角、外眼角)の炎症にはオフロキサシン眼軟膏が有効。
注)眼脂にいつまでもクラビット点眼はだめ。ブロナックやニフランなどNSAID点眼や、ソフトサンティアは?

ドライアイ

☆ドライアイ
・ヒアレイン点眼0.1%5ml 1本
1回1滴、1日5-6回。片眼では1本で20日分。
cf)点眼薬は1日4回両眼で10回分(1滴=0.05mL)
cf)脳梗塞後で閉眼しない場合
・ヒアレイン点眼、サンコバ点眼、タリビット眼軟膏、ワセリン、生食ガーゼなどを使う。

髄膜炎

☆髄膜炎
・オルガドロン3.8㎎1ml 2A
 生食50ml
 30分かけて
 1日4回
・ビクシリン2g(ABPC) 1瓶
 生食50ml
 30分かけて
 1日6回
・セフィローム1g(CTRX,ロセフィン) 2瓶
  生食50ml
 30分かけて
 1日2回
  Caで沈着するのでラクテックの側管からの投与は不可。
・バンコマイシン0.5g(VCM) 1瓶
  生食50ml
 60分かけて(急速静注するとred neck syndrome)
  1日4回
  投与3日目の投与直前(トラフ値)と投与後2hr後(ピーク値)を測定し、トラフ値が10-15μg/ml、ピーク値が25-40μg/mlにする。トラフ値の測定のみでも可。
・アシクロビル250㎎(ゾビラックス)2A
 生食50ml
 30分かけて
 1日3回
  CTRXは腸球菌/嫌気性菌/緑膿菌には無効、カルバペネムは腸球菌には無効、NQは嫌気性菌には無効(どれも広域だが万能ではない)。
cf)一般検査、グラム染色、Gaffky、培養、細胞診はどんな時でもすること。
cf)2014年のガイドラインではメロペン2gを1日3回、改善見られないときはバンコマイシンやリネザリドを追加する。チエナムには細菌性髄膜炎の保険適応がない。
cf)MEPM使用時はバルプロ酸は禁忌。
cf)MEPMで蕁麻疹出るときはABPC+CTRX+VCMに変更。

呼吸困難(肺塞栓)

☆呼吸困難(肺塞栓)
・ワーファリン5㎎ 1錠分1朝食後
・ヘパリンナトリウム(1000単位/ml) 5mlショット
・ヘパリンナトリウム(1000単位/ml) 15ml
 生食100ml
 5ml/hr
 5000単位ショット後、持続注開始してください
・クリアクター静注用40万国際単位 3瓶
  生食20ml

呼吸困難(喘息/COPD)

☆呼吸困難(喘息/COPD)
注意)喘息やCOPDで吸入できない場合
・抗ロイコトリエン薬、テオフィリン200mg、β刺激薬(貼付薬)などを使ってもよい。テオフィリンは1日200mg1錠を就寝前でよい。 

cf)COPDに対する低用量テオフィリン
・COPDに対するテオフィリンは吸入できないような高齢者には使ってみてもよいかもしれない。
・高齢者は血中濃度が上昇しやすく嘔気、嘔吐の副作用が出やすい。
・1日200-400mgの低用量にして血中濃度を8-12mg/Lに保つようにする。
・テオフィリンは通常容量でも低用量でもCOPDの急性増悪を予防できず、死亡リスクを上昇させる(Arch Bronconeumol 2016;52:233-238)。 

(喘息)
・フルタイド100ディスカス60ブリスター 1個(ICS:吸入ステロイド)
  1日2回 1回1吸入 30回分
 cf)カンジダ予防のためにICS吸入時はうがいをすること。
・メプチン10μgエアー100吸入5ml 1キット
 発作時 30回分
(COPD)
・シムビコート(LABA/ICS:吸入β2刺激薬/ステロイド)
 1日2回 1回1吸入(最高は1回4吸入、1日2回)
・スピリーバ(LAMA:抗コリン薬)
 1日1回 1回1吸入(スピリーバとシムビコートを併用する)
 cf)前立腺肥大、緑内障には禁忌
(喘息/COPD)
・キプレス10㎎ 1錠
  1日1回 寝る前
  眠気を起こすので就寝前に服用を
・ムコソルバン15㎎3錠
  1日3回 毎食後
・ソルメルコート125㎎(プリドール) 1瓶
  生食100ml
 30分かけて
 アスピリン喘息ではソルメルコートなどのコハク酸エステル型ステロイドは喘息を誘発するためリン酸エステル型ステロイドであるリンデロンやデカドロン4-8mgに変更する。
注意)ステロイド投与前にアスピリンに対するアレルギーやアスピリン喘息がないか聞くこと。アスピリン喘息あればソルコーテフやソルメドロール、サクシゾンは投与禁忌。
・超音波ネブライザー
 ベネトリン吸入液0.5% 0.5ml
 ビソルボン吸入液0.2% 2ml(刺激が大きい場合はムコフィリン吸入薬20% 2ml/包 2包)
 生食5ml1-2A(刺激が強い場合は蒸留水にする)
 別の処方例)
 メプチン0.01%0.3ml
 ビソルボン0.2%0.5ml
 生食1ml
 1日3回

呼吸困難(心不全)

☆呼吸困難(心不全)
・ラシックス20mg2A
・ラシックス20㎎25A
 1ml/hrから開始。
  尿量10ml/2hr以下で0.5mlずつ増量。Max5ml/hrまで。
・ミオコール5mg10ml(ミリスロール)5A
 2ml/hrから開始
  最初2mlフラッシュ
 血圧が140mmHg以上あるとき
・ミルリノン10mg/10ml(ミルリーラ)3A→DOBでも可
  1ml/hr
 EF40%切るとき。効果発現まで30分かかる。
・ニコランジル12mg(シグマート)2瓶
  生食50ml
 2ml/hr
 血圧140mmHg以下の時。冠血流増加作用。
・ニコランジル12㎎(シグマート)5V
 生食20ml 3A
 2.5ml/hr-10ml/hr
 血圧が低くてミオコールが使えないとき。
・アルブミナー5%250ml
 40ml/hr
 低Albによる血管内脱水時。
・生食500ml
 IVCの縦径もしくは横径が10㎜切るとき。EFの保たれた拡張障害(HFpEF)では血管内脱水に注意
cf)心不全治療の基本は原因治療(心筋梗塞、弁膜症、不整脈)だが、療養病院では対処療法のみのことが多い(ジゴシン0.25mg1A+ラシックス20mg1A+生食100mlを30分で点滴など)。

低Na血症

☆低Na血症
・生食500ml
 10%食塩注20ml 6A
 20ml/hrで側管から投与
cf)メインにNaCL1~2Aを混注したり、生食500mlを1日2回で改善する場合が多い。1日の補正は10mEq/L以下にする(0.5mEq/hr)。
☆低Na血症の鑑別
鑑別に必要な検査:血漿浸透圧、尿浸透圧、尿中Na、尿中Cr、ACTH、コルチゾール、BNP、ADH、TSH、FT4、レニン、アルドステロン
・定義はNa135mEq/L未満
・鑑別の流れ:血漿浸透圧を測定し、275mOsm/L以上であれば高血糖、高脂血症、高蛋白血症(MM)によるものを考え、275mOsm/L以下なら次に尿浸透圧を測定する。尿浸透圧が100mOsm/kg以下なら水中毒。100mOsm/kg以上で皮膚や 腋窩の乾燥、UA上昇、Ht上昇、BUN上昇あれば低栄養によるものか、腎排泄や下痢などを考える。尿中Naが20mEq/L以上なら腎排泄が原因。 275mOsm/L以下で乾燥所見がなければADHを測定し、測定できた時点でSIADH。そうでなければ心不全、腎不全、肝不全のどれか。多くは心不全。∴低Na血症で塩を追加投与しなければならない場面は少ない。水制限や利尿剤を使うほうが多い。
・①高張性:極端な高血糖、マンニトールなどの浸透圧物質によるもの
 ②等張性(偽性):高脂血症、高蛋白血症などによる測定上の問題
 ③低張性:血漿浸透圧<275mOsm/L
・血漿浸透圧<275mOsm/Lであれば、尿浸透圧を測定し水中毒を除外。
 尿浸透圧<100mOsm/kgであれば水中毒。治療は水分制限。
・尿浸透圧>100mOsm/kgであれば、細胞外液量を評価する。
・浮腫や胸水、腹水、尿酸値低下、BUN低下、Ht低下あれば細胞外液量増加があり、心不全、腎不全、肝硬変を考える。心不全があっても消化管出血や低栄養による異化亢進があった場合はBUNは上昇する。BUNだけで判断しないこと。治療は利尿剤。
・ADHを測定する。低Na血症があればADHは測定感度以下になるはず。測定できた時点でSIADH。治療は水分制限(1000ml/日以下)。改善ない場合は内分泌内科に相談を。
・SIADHの原因:
 ①中枢神経系疾患:髄膜炎、外傷、くも膜下出血、脳腫瘍、Guillain-Barre症候群、脳炎
 ②肺疾患:肺炎、肺癌(ADH異所性産生腫瘍を除く)、肺結核、肺アスペルギルス症、肺腫瘍、気管支喘息、陽圧呼吸
 ③ADH 異所性産生腫瘍:肺小細胞癌、膵癌
 ④薬剤:ビンクリスチン、クロフィブレート、アミトリプチン、イミプラミン
・腋窩や舌の乾燥、ツルゴール低下があり細胞外液量が減少している場合は、①腎臓からのNa喪失、②腎臓以外からのNa喪失、③Na摂取不足。①は利尿薬、塩類喪失性腎症、低アルドステロン症、②は嘔吐、下痢、熱傷。尿中Na濃度>20mEq/Lの場合は腎性のNa喪失。③心不全で塩分制限しすぎの場合や低栄養によることが多い。治療の基本は生食500mlを1日1-2本投与したり、塩3g/3xでゆっくり改善するはず。改善ない場合は少しずつNaCL投与量を増やす。それでも改善ない場合は心不全のことが多い。
cf)SIADHの診断基準:
Ⅰ.主症状
1.特異的ではないが、倦怠感、食欲低下、意識障害などの低ナトリウム血症症状がある。
2.脱水の所見を認めない。
Ⅱ.検査所見
1.低ナトリウム血症:血清ナトリウム濃度は135mEq/L を下回る。
2.血漿バゾプレシン値:血清ナトリウムが135mEq/L 未満で、血漿バゾプレシン値が測定感度以上である。
3.低浸透圧血症:血漿浸透圧は270mOsm/kg を下回る。
4.高張尿:尿浸透圧は300mOsm/kg を上回る。
5.ナトリウム利尿の持続:尿中ナトリウム濃度は20mEq/L 以上である。
6.腎機能正常:血清クレアチニンは1.2mg/dl 以下である。
7.副腎皮質機能正常:血清コルチゾールは6μg/dl 以上である。
Ⅲ.参考所見
1.原疾患(表1)の診断が確定していることが診断上の参考となる。
2.血漿レニン活性は5ng/ml/h以下であることが多い。
3.血清尿酸値は5mg/dl 以下であることが多い。
4.水分摂取を制限すると脱水が進行することなく低ナトリウム血症が改善する。
5.尿中アクアポリン-2 排泄は300fmol/mg クレアチニン以上であることが多い(基準値100~200fmol/mg クレアチニン)。
[診断基準]
確実例Ⅱで1~7 の所見があり、かつ脱水の所見を認めないもの。
[鑑別診断]低ナトリウム血症をきたす次のものを除外する。
1.細胞外液量の過剰な低ナトリウム血症:心不全、肝硬変の腹水貯留時、ネフローゼ症候群
2.ナトリウム漏出が著明な低ナトリウム血症:腎性ナトリウム喪失、下痢、嘔吐

高K血症

☆高K血症
・ケイキサレート散分包3包
  必要に応じて4-6時間毎
・ラシックス20㎎ 1Aショット
・カルチコール8.5%5ml 2A
 生食50ml
 30分かけて
・メイロン8.4%20ml 2Aショット
 Na負荷に注意。効果1-2hr持続。
・ブドウ糖50%20ml 2A
 ノボリンR(ヒューマリンR) 5単位
  1分かけてを2回(30分程でKを1mEq/L下げて効果5hr持続)
・10%ブドウ糖500ml
 ノボリンR(ヒューマリンR) 10単位
  30分で投与
(投与開始から投与終了後2時間まで1時間おきに血糖測定を行うこと)
・カルチコール8.5%5ml 1A
 3分かけて(2回まで、効果1hr持続)

低K血症

☆低K血症
脱力の原因になっていることあり!!
・スローケー600㎎(K8.0mEq)3錠分3
cf)6錠分3でないと効果ない時が多い。
・グルコンサンK細粒1g(K4.0mEq)6包分3
 スローケーが嚥下できない時。
・ソルデム3A 500ml
 アスパラK10mEq17.12%10ml 2A
 60ml/hr
cf)低K血症の鑑別
  腎外性低K血症:尿中K<20mEq/L,TTKG<2,FEK<10-20
  →下痢、嘔吐、消化液吸引、腸瘻
  腎性低K血症:尿中K>20mEq/L,TTKG>4,FEK>10-20
  →代謝性アシドーシスあるなら近位/遠位尿細管アシドーシス、高血圧あるならアルドステロン症や腎動脈狭窄、ACTH上昇あるならCushing(下垂体かLK)、血圧が正常~低いなら利尿薬、Batter/Gittelman/Liddle症候群、先天性副腎過形成
(FEK:尿中K排泄分画=尿K(mEq/L)/血清K(mEq/L)÷尿Cr(mg/dl)/血清Cr(mg/dl))


低血糖

☆低血糖
・ブドウ糖50%20ml 2A
 ショット
 15分後再検し100mg/dl超えるまで繰り返す。
cf)低血糖の症状:
BS70:空腹感、生あくび、悪心
BS50:無気力、倦怠感
BS40:発汗、冷汗、動機、ふるえ、顔面蒼白、紅潮
BS30:意識障害、異常行動
BS10-20:痙攣、昏睡
→悪夢や起床時の頭痛や寝汗は睡眠中の低血糖かも。
cf)
低血糖時の指示:
・BS70以下、経口摂取可能ならブドウ糖10g内服し30分後再検。
・BS70以下、意識障害ある場合や経口摂取不可なら50%ブドウ糖40ml静注射or10%ブドウ糖500mlを100ml/hrで点滴。
・胃管が入ってるなら、ブドウ糖10gと白湯20mlか、50%ツッカー20ml注入

高血糖

☆高血糖(DKA=高血糖+アシデミア)
・ノボリンR皮下注
  350以上なら10単位
  300以上なら8単位
  250以上なら6単位
  200以上なら4単位
cf)DKAの場合
・ノボリンR 100単位
  生食100ml
 5ml/hr
 上記フラッシュし、5ml/hr(体重50㎏の場合)で開始。血糖値200以下になった場合は中止し、スライディングスケールに変更。
・生食500ml
 30分かけて、以降は120ml/hr
・メイロン静注8.4% 250ml ソフトバッグ
 pH7.1切るときに使用。BEの10倍量を急速静注。

ASO

☆ASO
・ヘパリンNa(1000単位/ml) 15ml
 生食100ml 1瓶
  5ml/hr
・ヘパリンNa(1000単位/ml) 5ml
 5000単位ショット後、上記を持続静注
・セファメジンα点滴用キット2g CEZ 1組
  30分かけて
・アルプロスタンジル10μg2ml(プリンク/リプル/パルクス)1A
 生食100ml
 30分かけて1日1回
cf)
・ASOがPADの大部分を占める。
・末梢動脈閉塞疾患では抗血小板剤が使われるが、急性閉塞や血栓塞栓では抗凝固療法や血栓溶解療法も行う。
・Fontaine分類
 I度:症状なし→食事運動療法、ABI0.9以下ではアスピリンもしくはクロピドグレル
 II度:間欠性跛行→フットケア、監視下運動療法(跛行が起こるのに十分な強度で30~60分歩いて安静にする、週3回、3ヶ月実施)、薬物で跛行改善が証明されたのはシロスタゾール(プレタール1日100mg1日2錠)のみ。副作用で内服困難な場合はサルポグレラート(アンプラーグ1日300mg分3)やドルナー1日120μg分3
 III度:安静時痛/IV度:壊疽、虚血性潰瘍→血管内治療や外科的バイパス術が基本。非適応時はプロスタグランジン製剤(プリンク/リプル/パルクス)を使う。術後は人工血管ならアスピリンとクロピドグレル(プラビックス1日1回75mg)併用、静脈グラフトならワーファリン、DESではアスピリンとプラビックスを2ヶ月投与後にアスピリン単剤に変更する。
cf)動脈硬化の検査項目
・頸動脈US:IMT(頸動脈内膜中膜複合体肥厚度)が1mmを超えていたら肥厚ありと判断する。Hard,mixed,softは見た感じで判断する。PI値(Lt.ICA)が1.2を超えると頭蓋内血管狭窄の可能性があると考える。
・ABI:上腕と足首の血圧から算出。1.30以上:下肢動脈高度石灰化、1.00-1.29:正常、0.91-0.99:境界域、0.41-0.90:軽度から中等度、0.40以下:重度。
・TBI:足趾・上腕血圧比。足趾血管は石灰化を免れることが多く、TBIでは石灰化の進行している患者でも閉塞病変の存在を評価することが可能。
・CAVI:動脈の硬さの指標。血圧の影響を受けにくい。9.0以上:動脈硬化の疑い、8.0-9.0:境界域、8.0以下:正常範囲。

脳梗塞

☆脳梗塞
・バイアスピリン100mg 1錠
  プラビックス75mg 1錠
  ランソプラゾール15mg(タケプロン)1錠
  分1朝食後
  ラクナ梗塞、アテローム血栓性の時。入院翌日から。出血性胃潰瘍の既往あるときはプラビックス75㎎分1とプレタール50㎎2回にする。プレタールは1番出血リスク少ないが頻脈や頭痛の副作用あり。心疾患ある場合は慎重投与。急性期1か月以降は1剤に変更。
・プラザキサ110mg 2C
 ランソプラゾール15mg(タケプロン)1錠
  分1朝食後
  心原性の時。入院翌日から。NG留置の時は細粒にすると効果上下するのでワーファリンにすること。
・アクチバシン600万/10ml単位 4瓶
  脳梗塞発症4.5時間以内の全ての病型の脳梗塞に。4mlをフラッシュし、残り36mlを1時間かけて投与(体重60㎏の場合)。
・エダラボン点滴用バッグ30mg 1バッグ
 30分かけて。CKD1-3までなら1日2回投与。eGFR50以下であれば慎重投与、30以下では禁忌(脳梗塞範囲小さい時はリスク侵さない)。
  全ての病型の脳梗塞に。
・グリセレブ点滴静注200ml
 90分かけて。腎不全や高齢者では1回のみ。
  全ての病型の脳梗塞に。脳浮腫が起きる大きさの時。梗塞範囲が広く、midline shiftある場合。
・オザグレルNa40mg(オザマリン)2瓶
  ソルデム3A 200ml
 60分かけて1日2回
  ラクナ梗塞の時の時の抗血小板療法。7日間投与。発症3,4日以内の時。
・ノバスタンHI注10mg/2ml 1A
 ソルデム3A 200ml
 60分かけて1日2回
  アテローム血栓性の時。アテローム血栓は抗凝固と抗血小板の両方を行う。7日間投与。発症48hr以内の時。
・ヘパリンNa(1000単位/ml) 10ml
 生食50ml
 2ml/hr
 心原性の時。10000単位を24時間で。同時にワーファリンを開始(肺塞栓に準じる)。
・フェノバール100mg/1ml 0.25A1日1回筋注
 痙攣予防
cf)心原性脳梗塞を疑うとき
・突然発症、重篤、広範囲な脳梗塞、皮質を含む脳梗塞
cf)発症時間の推定
・DWIでhigh、FLAIRでhighなしなら発症3hr以内(FLAIRでhighになるのは6hr以降)
・CTで脳梗塞がはっきりわかるのは8hr以降。∴脳梗塞の症状がありCTですでにLDAがある場合は別の部位に脳梗塞を起こしている可能性がある!CTのLDAにすぐに飛びつかないこと!

高血圧

☆高血圧
<基本>
①アバプロ100mg/1xかアムロジピン5mg/1xで開始。
②2週間後、降圧が不十分ならアイミクスLD(イルベサルタン100mg+アムロジピン5mg)に変更。
③さらに2週間後、不十分ならアイミクスHD(イルベサルタン100mg+アムロジピン10mg)に変更。
④さらに2週間後、不十分ならアダラートCR20mg1日2回+アバプロ1日100mgに変更。
⑤さらに2週間後、不十分ならナトリックス1mg0.5錠分1から1錠分1を追加。
⑥以上で効果ない時は2次性高血圧を精査すること。
<Ca拮抗薬>
・アダラートCR(徐放剤)(ニフェジピンCR)10mg1錠分1
 高血圧時頓服でも可。アダラート5mgは即効性で急激な降圧なので使わない方が無難。ジヒドロピリジン系。降圧不十分な時は20mgを1日2回にするとよい。ジヒドロピリジン系(アダラート/ヘルラート/ニフェジピン)の舌下投与は高血圧緊急症では脳と心筋血流を低下させるので禁忌。内服は当然使用可能。
cf)最大1回40mg1日2回まで増量可能。
cf)胃管から投与する時は簡易懸濁できないので、セパミットRに変更する。
・アムロジン/ノルバスク(アムロジピン)5mg 1錠朝食後1回
cf)最大1日1回10mgまで増量可能。無効ならARB追加。ジヒドロピリジン系。
・カルブロック(アゼルニジピン)1日1回8-16mg
 ジヒドロピリジン系。降圧作用弱い。
・ヘルベッサーR(ジルチアゼム)100mg 1C朝食後1回
  ベンゾジアゼピン系。Af頻脈や冠血管拡張作用を期待して使う。降圧作用は弱め。陰性変力作用あり慢性心不全には控える。
注意)
・Caブロッカーで下肢浮腫が来ることがある!
・Ca拮抗薬の降圧作用の強さ:
 ニフェジピン(アダラート)5mg>アダラートCR(1日10mg1回~1回40mg1日2回)>アダラートL(1回10-20mg1日2回)>アムロジピン(アムロジン/ノルバスク1日1回2.5-10mg)>ペルジピン(コニール1日1回2-8mg)>ジルチアゼム(ヘルベッサーR1日1回100-200mg)
・アダラート5mgは急激な降圧なので使わない方が無難。
・アダラートCR40mgの1日2回が1番降圧作用が強い。
・ヘルベッサー、コニールは冠れん縮や頻脈ある時に使うが、降圧作用は強くない(持参でこれらがある場合は他のCa拮抗薬に安易に変更してはいけない。これらを使用されている場合は処方医に確認してから変更すること)。
<ARB>
・オルメテック5mg1錠朝食後1回(最大40mg)
・ミカルディス20mg1錠朝食後1回(最大80mg)
 肝代謝なので肝機能異常時は最大40mgまで。
注意)
・ARBの降圧作用の強さ:イルベサルタン(アバプロ1日1回50-200mg)>アジルサルタン(アジルバ1日1回20-40mg)>オルメサルタン(オルメテック5mgから開始し1日1回10-40mg)>テルミサルタン(ミカルディス20mgから開始し1日1回40-80mg)>バルサルタン(ディオバン1日1回40-80mg)>カンデサルタン(ブロプレス1日1回4-12mg)>ロサルタン(ニューロタン1日1回25-50mg)
・半減期はオルメテック、ミカルディスが10hr、ディオバンが5hr程度。
・ディオバン、ミカルディスは食後服用で効果半減。食前の方がよい。
<降圧利尿薬>
・フルイトラン1mg0.5錠分1から1錠分1
・ナトリックス1mg0.5錠分1から1錠分1
cf)サイアザイド系利尿薬。高血圧症には1日1mg以下。
<その他の降圧薬>
・αブロッカー:腎不全で血圧下がらない時。2次性の除外が必要で、立ちくらみや頭痛に注意。
・βブロッカー:心不全あるときにアーチスト1.25mgやメインテート0.625mgから開始するが、血圧が下がるのはアーチスト10mgやメインテート2.5mgから。
・ACEI:ペリンドプリル(コバシル1日1回2-8mg)>エナラプリル(レニベース1日1回5-10mg)。ARBに心臓保護作用ないが、ACEIにはある。しかし降圧作用は弱い。コバシルはある程度下げる。心不全に対して臓器保護目的で使う。空咳が高率に出てくる(誤嚥予防には良いかもしれない)
<経口投与できない時>
・ニカルジピン10mg10ml(ラジストン/ペルジピン)2A
 生食20ml
 5ml/hrから開始(収縮期血圧100-120mmHgになるように2.5ml/hrずつ増減)
・フランドルテープ40㎎1日1回(下がりすぎるようなら2日に1回)
 経口摂取できないとき
<Ca拮抗薬+ARB合剤>
ミカムロAP:ミカルディス40mg+アムロジピン5mg
ミカムロBP:ミカルディス80mg+アムロジピン5mg
ユニシアLD:ブロプレス8mg+アムロジピン2.5mg
ユニシアHD:ブロプレス8mg+アムロジピン2.5mg
ザクラスLD:アジルバ20mg+アムロジピン2.5mg
ザクラスHD:アジルバ20mg+アムロジピン5mg
エックスフォージ:ディオバン80mg+アムロジピン5mg
アイミクスLD:アバプロ100mg+アムロジピン2.5mg
アイミクスHD:アバプロ100mg+アムロジピン5mg
レザルタスLD:オルメテック10mg+カルブロック8mg
レザルタスHD:オルメテック20mg+カルブロック16mg
アテディオ:バルサルタン80mg+アテレック10mg

胸痛

<注意!!>
胃痛か狭心痛か判別できない時(STが1mmを超えない程度に上昇or低下しているが、TropTやラピチェックは陰性の場合など)はニトロペン舌下錠0.3mgを投与し、15分後に心電図再検する。帰宅させる場合は狭心痛の可能性が否定できないため、後日の循環器受診とニトロペン舌下錠0.3mg3回分を処方する。

☆胸痛
・ニトロペン舌下錠0.3㎎ 1錠
  発作時舌下でなめて下さい。
・ミオコールスプレー7.2g 1本
  2回プッシュ
 下壁梗塞では右側誘導で胸部誘導ST上昇ないことを確認してから
・バイアスピリン100㎎ 2錠
  プレタールOD錠50㎎ 2錠
  サルポグレラート100㎎ 2錠
  心筋梗塞時
・バイミカード5㎎2錠分1夕食後
  冠攣縮性狭心症時。冠動脈に特異性高いCAB。明け方の発作に対応するため夕食後に服用。
・ヘパリン(1000単位/ml) 10ml
 生食20ml 2A
 2ml/hr
・ミオコール5㎎10ml(ミリスロール) 5A
 2ml/hr
 投与前にASやHOCMないか確認すること。
・ニコランジル12㎎(シグマート) 5V
 生食20ml 3A
 2.5ml/hr-10ml/hr
 血圧が低くてミオコールが使えないとき。

DIC

☆DIC
・ナファタット50(フサン) 5瓶
  5%ブドウ糖500ml
 20ml/hr
・ミニヘパ注10ml 0.25瓶
  生食5ml
 1日2回静注

アナフィラキシーショック

☆アナフィラキシーショック
・ラクテック500ml 2袋
 2本全開
・ボスミン1㎎1ml 0.3A筋注(皮下注は時間がかかる)
・ボスミン1㎎1ml 1A
 生食20ml
 3ml/hr
・ポララミン5㎎ 1A
 ラニチジン100㎎(ザンタック) 1A 
 リンデロン4㎎0.4% 1A
 生食50ml
 30分かけて
cf)アナフィラキシーショックが疑われる場合は、MAST33検査やエピペンを携帯してもらうこと(エピペンは未使用であれば1年後に返却するように指示しておく)

敗血症性ショック

☆敗血症性ショック
・ラクテック500ml 4袋
 2本全開、血圧上昇なければさらに2本、その後は120ml/hr
・MEPM0.5g+生食100ml 1日2-3回
   VCM0.5g+生食100ml 1日1-2回
・ノルアドレナリン 1A
 生食20ml
 3ml/hr
 補液で昇圧認めない時
・ノルアドレナリン 5A
 生食50ml 0.9A
 2ml/hr-9ml/hr(BW50㎏で0.1γは3ml/hr,0.05-0.3γ)
 3ml/hで開始し、収縮期が80mmHg以下で2ml/h増量、150mmHg以上で2ml/h減量。
・ソルメルコート/ソルメドロール(メチルプレドニゾロン)250mg+生食100ml 1日1回(125mgを1日2回でも可能) 2時間かけて5日間
・献血ベニロン-I 2.5-5g/100ml 1日1回点滴 3時間かけて5日間
・アルブミナー25%50ml 5瓶
 全開で投与。腎機能低下でHES使えない時。
・ガスター20mg 1V+生食20ml 1日2回 静注
 ストレス潰瘍は意外と多いので忘れないこと。もともとPPIやH2blockerを内服していた人なら尚更。ショットで急速に投与すると血圧低下あり。
cf)療養病院でのノルアドレナリンの指示
ノルアドレナリン1A(1mg/1ml)+生食100mlを10ml/hrから開始、血圧90mmHg以上になるように5ml/hrずつ増量し、Max50ml/hr
注1)最大で12mg/day、これは体重50kgでの0.16γにあたる。
注2)最大で生食1200ml/day追加になるので輸液負荷することにもなる。
注)とりあえず血圧低下に対し、ドパミンの指示が求められる時がある。その場合は3γくらいから始めて3時間毎(血圧をどの程度の間隔で測定できるかは病棟によって異なる)に血圧測定し、2γずつ増量し、10γは超えないように。3γ以下はrenal,10γ以上はα doseであることに注意。10γを超えると腎動脈が収縮し、乏尿になる。血圧の目安は90~110mmHgで、120超えるようなら1-2γずつ減量する。7γ程度くらいなら継続しても乏尿になることは少ない。
指示例: ドパミン(200)の指示:収縮期血圧90mmHgキープするように5ml/hrより開始し、2ml/hrずつ増減する。Max15ml/hr。

心原性ショック

☆心原性ショック
・ドパミンキット600 200ml(プレドパ) 1袋
 10ml/hr
 3-10γ(体重50㎏で5-10ml/hr、3γ以下はrenal dose)
・ドブポン0.3%注シリンジ50ml(ドブトレックス)1筒
  10ml/hr
 5-10γ(体重50㎏で5-10ml/hr)
  DOA:DOB=1:1で合計20γ以下にする
・ノルアドレナリン 1A
 生食100ml
 15ml/hr
 体重50㎏で0.05γ
注)とりあえず血圧低下に対し、ドパミンの指示が求められる時がある。その場合は3γくらいから始めて3時間毎(血圧をどの程度の間隔で測定できるかは病棟によって異なる)に血圧測定し、2γずつ増量し、10γは超えないように。3γ以下はrenal,10γ以上はα doseであることに注意。10γを超えると腎動脈が収縮し、乏尿になる。血圧の目安は90~110mmHgで、120超えるようなら1-2γずつ減量する。7γ程度くらいなら継続しても乏尿になることは少ない。
指示例: ドパミン(200)の指示:収縮期血圧90mmHgキープするように5ml/hrより開始し、2ml/hrずつ増減する。Max15ml/hr。

CPA(ACLS)

☆CPA(ACLS)
・ボスミン1㎎1ml 1A
 3分ごとに投与
・ドパミンキット600 200ml(プレドパ) 1袋
  10ml/hr
 5-10γ(体重50㎏で5-10ml/hr、5γ以下はrenal dose)
・ドブポン0.3%注シリンジ50ml(ドブトレックス)1筒
  10ml/hr
 5-10γ(体重50㎏で5-10ml/hr)
  DOA:DOB=1:1で合計20γ以下にする
・ノルアドレナリン 1A
 生食100ml
 15ml/hr
 体重50㎏で0.05γ
 PEAは脚ブロックを伴ったQRS波が徐脈になっているか、全く正常な波形。心室細動はランダムな波形が続く。基本は頻脈になっている。
cf)挿管チューブについて
・径7.5mm、22cm口角
・入れ歯をとった時は挿管位置は口角20㎝でOK

cf)ACLSアルゴリズム



徐脈

☆徐脈
・アトロピン0.05%1ml 1A
 0.5Aずつ投与
・ドパミンキット600 200ml(プレドパ) 1袋
  5ml/hr
・プロタノール0.2㎎1ml 2A
 生食50ml
 5ml/hr
cf)CCBやβblockerなど徐脈の原因になる薬剤をチェックすること。AVBやⅡ度以上のSSSは循環器をすぐにCall。心停止する。

動悸(脈ありVT)

☆動悸(脈ありVT)
・キシロカイン2%5ml 1A
 0.5Aずつ投与
注意)局麻用と静注用のキシロカイン(リドカイン)の違い
・リドカイン静注用2%5mlアンプルは抗不整脈薬として使う。
・キシロカイン1%100mlバイアル製剤はメチルパラペン(防腐剤)が入っており局所麻酔薬としてしか使えない。エピネフリン添加製剤も防腐剤あり局所麻酔用。よって静注すると防腐剤に対するアレルギーを起こす可能性あり禁忌。
・キシロカインのポリアンプ製剤は局所麻酔用だが、小分けされているので防腐剤は入っていない。
・シンビット50㎎ 1瓶
  生食20ml
 5mlを5分かけて、その後5ml/hr
・ミダゾラム10㎎2ml 1A(ドロミカム)
  生食5ml 2A
 2mlずつ意識がなくなるまで
 DC150J-200Jの前に。
・ノルアドレナリン1A
 生食20ml
 3ml/hr
 ドロミカムの血圧低下に対して

動悸(PSVT,pAf)

☆動悸(PSVT,pAf)
・アデホスLコーワ20㎎ 1A
 生食20ml
 半減期が10秒なので生食20mlで後押しし急速静注。除細動器を準備する。適応はPSVT。
・ワソラン5㎎0.25%2ml 1A
 生食100ml
 30分かけて
 適応はPSVT。
・ワソラン5㎎0.25%2ml 1A
 1/4Aずつ投与
  適応はPSVT。
・シベノール70㎎5ml 1A
 生食20ml
 5分かけて
 適応はpAf。
・ジゴシン0.25㎎1ml 1A(ジキラノゲン0.4mg2ml 1Aでも可)
 生食100ml
 30分かけて
 適応はpAf。非発作時にδ波ないことを確認してから
cf)有効血中濃度:ジゴキシン0.2-5ng/ml(実際は0.8を超えないようにする)
注)
・腎機能低下時(Cr>1)にはジゴシンは使わない方が無難。
・血中濃度は0.8を超えないように。
・最初は、0.5A(0.125mg)を隔日投与から。
・心電図変化が出てくるような即時中止。
cf)経管栄養時の頻脈発作の場合、ハーフジゴキシン1T(0.125mg)+プラビックス(クロピドグレル)75mg内服で改善することがある。
・アミサリン200㎎10%2ml 4A
 生食20ml
 5分かけて
 適応はpAf。

回転性眩暈

☆回転性眩暈
・ベタヒスチンメシル12mg(メタヒスロン)3錠
  セファドール25mg 3錠
  ナウゼリン5mg 3錠
  分3毎食後
・セロクラール20㎎3錠
  分3毎食後
  脳血管障害後の回転性眩暈に対して。脳循環改善目的。ケタスも同様効果。
・アデホスコーワ20mg 1A
 シアノコバラミン1mg アデマイド 1A
 メイロン8.4%20ml 2A
 プリンペラン10mg0.5%2ml 1A
 生食100ml
 30分かけて
注)アミノグリコシド系の他にミノマイシンでも眩暈をきたすことがある。
cf)明らかな神経所見のないめまいでMRIが必要な場合:
・初発のめまい
・脳卒中の既往や家族歴
・DM、HT、HLなど血管リスクがある場合
(めまいの原因で最も多いのはBPPV、緊張型頭痛、うつ。めまいで脳梗塞は1.6%ほど)
cf)発症時間の推定
・DWIでhigh、FLAIRでhighなしなら発症3hr以内(FLAIRでhighになるのは6hr以降)
・CTで脳梗塞がはっきりわかるのは8hr以降。∴脳梗塞の症状がありCTですでにLDAがある場合は別の部位に脳梗塞を起こしている可能性がある!CTのLDAにすぐに飛びつかないこと!

嘔気/嘔吐/麻痺性イレウス

<注意!!>
嘔気はACSをまず否定する!!胃痛か狭心痛か判別できない時(STが1mmを超えない程度に上昇or低下しているが、TropTやラピチェックは陰性の場合など)はニトロペン舌下錠0.3mgを投与し、15分後に心電図再検する。帰宅させる場合は狭心痛の可能性が否定できないため、後日の循環器受診とニトロペン舌下錠0.3mg3回分を処方する。

☆嘔気/嘔吐
・プリンペラン10mg0.5%2ml 1Aショット(生食20mlで溶いて静注)
・アタラックスP 1Aショット
・リンデロン坐薬0.5mg 1個
・ノバミン5mg/1ml 1A筋注
・リンデロン4mg+生食100ml 1日1回点滴
cf)癌ターミナルでの嘔気に
注)完全閉塞の場合はナウゼリン、プリンペランは禁忌。サブイレウスまでなら使ってもよい。
注)嘔気の原因になる薬剤:
テオフィリン、バリウム、ジキタリス、チャンピックス、SSRI、NSAIDs、オピオイド、トラムセット、リリカ、フェロミア(インクレミンシロップやフェログラデュメットは嘔気少ない)、デパケン等
cf)麻痺性イレウスの時の点滴
・ソリタT3 500ml+パントール250mg/ml 1Aを1日2回、ビーフリード500ml、セフメタゾール1g1日2回

貧血

☆貧血
注意)血便、血尿、吐下血なしや便潜血陰性なら頭蓋内出血を疑うこと(特に抗凝固療法中の場合)。
・ビタメジン 1V
 生食100ml
 15分かけて
・フェジン40㎎2mL 1A
 5%ブドウ糖100ml
 15分かけて1日1回~3回
 ビタメジンとフェジンは混合しないこと。配合変化あり。
(10%ブドウ糖20mlでショットで投与してもよい、2分以上かけて)
cf)
 ・フェジンは10%ブドウ糖20mlでショットで投与する。
 ・オメプラールは生食20mlでショットで投与する。
・フェロミア50mg2錠分2~4錠分2
・インクレミンシロップ5%50mg/ml(鉄として6mg/ml) 10-15ml/3x

血便

☆血便
・ラクテック
 チチナ(アドナ)100mg0.5%20ml 1A(1日25mg-100mg)
 リカバリン(トランサミン)250mg10%10ml 1A(1日250mg-500mg)
 急速静注
・E入りキシロカイン1A
 ガーゼに浸して肛門鏡で充填
・腹部造影CT
cf)下血は黒くて上部消化管出血、血便は赤くて下部消化管出血を疑うものを言う。

急性膵炎

☆急性膵炎
・ラクテック500ml
 急速静注、その後160ml/hr
・オメプラール20mg
 生食100ml
 30分かけて、1日2回
 (生食20mlでショットで投与してもよい) 
・メロペン0.5mg1瓶
  生食100ml
 30分かけて、1日4回
・ナファタット50(フサン)1瓶
 5%ブドウ糖 500ml
 160ml/hr、1日2回
 電解質があるとフサンは失活する
注)フサンは溶解用の蒸留水20mlを入力すること。
・レペタン0.2mg 1Aショット

☆重症な場合
・ミラクリッド5万単位 1A
  5%ブドウ糖20ml 1A
  1日3回投与
・フサン50mg 5瓶
  5%ブドウ糖500ml
  1日2回 24時間持続投与
注)ミラクリッド、フサンは末梢からも投与できるが、FOYは別ルートが必須。CVはダブルルーメン以上にする。

吐血/黒色便

☆吐血/黒色便
・ラクテック
 チチナ100mg0.5%20ml 1A
 リカバリン100mg10%10ml 1A
 急速静注
・ガスター20mg 1V+生食20mlに希釈しゆっくり静注、もしくはメイン点注 1日2回
 ショットで急速に投与すると血圧低下あり。
・オメプラール20mg 1瓶
  生食100ml
 30分かけて
 (生食20mlでショットで投与してもよい)
cf)14日間投与(その間にGFでsecond lookし止血確認)、その後内服のPPIやガスター点滴などに変更する。
cf)PPIの用量
①逆食(初期/8週)、②逆食(維持)、③NERD、④消化性潰瘍(胃8週/十二指腸6週)、⑤アスピリン/NSAIDs併用時、⑥除菌
・ネキシウム(エゾメプラゾール):①20mg②10mg③10mg④20mg⑤20mg⑥20mg×2
・オメプラール(オメプラゾール):①20mg②10mg③10mg④20mg⑤非適応⑥20mg×2
・タケプロン(ランソプラゾール):①30mg②15mg③15mg④30mg⑤15mg⑥30mg×2
・パリエット(ラベプラゾール) :①20mg②10mg③10mg④20mg⑤非適応⑥10mg×2
cf)
 ・フェジンは10%ブドウ糖20mlでショットで投与する。
 ・オメプラールは生食20mlでショットで投与する。
注)ショットで投与するときはルートフラッシュ用の生食シリンジ20mlも入力すること。
・アルサルミン2g+マルファ20mlを散布
 GFにて腫瘍から出血している時。
・ヘリコバクターピロリIgG抗体(効果判定は便中抗体か、尿素呼気試験(UBT試験))
・クロス採血
・CA19-9,CEA
注)
・現在のHbが7を切ってなくても、BUN/Cr上昇あるときは脱水で実際よりも高めに出ていることもあり、Hb9でも輸血のオーダーをしておくこと。

蕁麻疹/帯状疱疹

☆蕁麻疹
・アレグラ1回60mg1日2回
・アレジオン1回20mg1日1回
cf)眠気が少ない
cf)抗ヒスタミン剤での運転の可否
運転注意の記載なし:アレグラ、クラリチン
運転時には注意の記載あり:アレジオン、エバステル、タリオン
運転はしないよう注意することの記載あり:その他
注意)抗ヒスタミン剤のクラリチン、ジルテック、ザイザルは痙攣やてんかんの既往には使わない。
・ネオマレルミン6mg2錠分2
・ポララミン2mg3錠分3
・ポララミン5mg 1A
 ラニチジン100mg (ザンタック)1A
 ソル・メルコート125mg(プリドール)1A
 生食100ml
 30分かけて
cf)ソルメドロール125mgやサクシゾン(ソルコーテフの後発品)100mgでも良い。
注意)アスピリン喘息ではソルメルコートなどのコハク酸エステル型ステロイドは喘息を誘発するためリン酸エステル型ステロイドであるリンデロンやデカドロン4mgに変更する。
注意)ステロイド投与前にアスピリンに対するアレルギーやアスピリン喘息がないか聞くこと。アスピリン喘息あればソルコーテフやソルメドロール、サクシゾンは投与禁忌。
cf)サクシゾン、ソルメルコートとポララミンの混合は混濁するため別の生食に溶かすのがよい。
・ボスミン1mg1ml 0.3A筋注
 呼吸苦あるとき
cf)ステロイド力価(コルチゾール:アルドステロン)
 ・ソルコーテフ/サクシゾン(ヒドロコルチゾン)⇒1:1
  プレドニン(プレドニゾロン)⇒4:0.8
  ソルメルコート/ソルメドロール(メチルプレドニゾロン)⇒5:0
  リンデロン(ベタメタゾン)⇒25:0
  オルガドロン/デカドロン(デキサメタゾン)⇒25:0
 ・コルチゾールは体内で1日20mg分泌される。
☆帯状疱疹
・バルトレックス500mg6錠分3 7日間
(CCr:50-:3000mg/3x,25-50:2000mg/2x,10-25:1000mg/1x,-10/HD:500mg/1x)
・ゲンタシン軟膏1日1回
・アシクロビル(ゾビラックス)200mg20錠分5 7日間
 CCr25以上:単純疱疹1回200mgを1日5回、帯状疱疹1回800mgを1日5回
 CCr10-25:単純疱疹1回200mgを1日5回、帯状疱疹1回800mgを1日3回
 CCr10以下:単純疱疹1回200mgを1日2回、帯状疱疹1回800mgを1日2回
内服できない時:
・ゾビラックス(アシクロビル)5mg/kg 1日3回 1時間以上かけて 7日間
 (CCr:50-:10mg/kg/q8hr,25-50:5-10mg/kg/q12hr,10-25:5-10mg/kg/q24hr,-10/HD:5mg/kg/q24hr)
cf)ゾビラックスやバルトレックスの他にロキソニン、ビダラビン軟膏、メチコバールも処方するとよい。顔面の場合はプロラノン点眼、ゾビラックス眼軟膏も追加する。
cf)汎発性帯状疱疹
・通常の帯状疱疹(紅暈(こううん)を伴う水疱が帯状に集簇(しゅうぞく))とともに全身に水疱が生じる。
・免疫不全状態の高齢者、免疫抑制剤、悪性腫瘍などで誘発される。
・水痘帯状疱疹ウィルスによってウィルス血症を起こした結果生じる。
・汎発性の場合は呼気中に微量ウィルスが含まれるため空気感染の可能性あり。

鎮静(体重50㎏)

☆鎮静(体重50㎏)
・プレセデックス200μg2ml
 生食50ml
 5ml/hr
 呼吸循環抑制が少ないが効きが悪い
 ・ミダゾラム(ドルミカム)10mg2ml 1A
 生食5ml 2A
 合計10mlにして、2mlずつ投与(急いでいる時は5ml投与)
・ミダゾラム(ドルミカム)10mg2ml 1A
 希釈せずに1/4A投与
・ミダゾラム(ドルミカム)10mg2ml 5A
 生食50ml
 5ml/hr
・ミダゾラム(ドルミカム)10mg2ml 1A
 0.5A筋注
・1%プロポフォール20ml(ディプリバン)1A
 5mlずつ投与
・1%プロポフォール50ml(ディプリバン)1A
 5ml/hr
・セレネース5mg0.5%1ml 筋注
・ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)5mg/1ml 1A
 希釈せずに1A投与(生食で溶解すると白濁する)
 cf)GF時の沈静に使用可
・ロヒプノール2mg1mlを生食にといて20mlにし3-5ml
 cf)GF時の沈静に使用可
注意)メジャートランキライザー(セレネースやリスパダール)は呼吸停止はないが、マイナートランキライザー(セルシン、ドルミカム、ロヒプノール)は呼吸停止きたすことがある!
∴異常時指示でマイナー投与の指示は危ない。


肺炎

☆肺炎
・セフィローム1g:ロセフィン 2瓶
  生食100ml
 30分かけて(1日1回から2回)
・クリンダマイシン600mg(ミドシン/ダラシン)1A
 生食100ml
 1時間かけて(1日2回)
・アザクタム1g 1瓶
  生食100ml
 30分かけて(1日2回)
  ユナシンやセフィロームで薬疹が出る時
・クラビット点滴静注バッグ500mg/100ml 1本
 1時間かけて
  ユナシンやセフィロームで薬疹が出る時
 透析患者には250mgを2日に1回
・モダシン+ダラシンだと広域にカバーできる。アザクタム+ダラシンでも可。
・軽症ならグレースビット内服のみで経過を見ても良い。
cf)
・常に結核を除外すること。
・右上葉に空洞を伴う小結節、小結節の周囲に娘結節、気管支拡張、縦隔条件で石灰化があれば結核を疑うこと(肺気腫に肺炎があればそう見えることがあるので注意。肺気腫が基礎になく空洞伴う結節影あればGaffkyを)
・液体培地(MGIT)だと1週間で結果が出る。
cf)セフェム系抗生剤の世代
・第1世代:フェファメジン
・第2世代:セフメタゾール、パンスポリン
・第3/4世代:セフトリアキソン、セフタジジム(モダシン)、スルペラゾン、マキシピーム 
cf)誤嚥性肺炎予防
・ACE阻害薬(コバシル、カプトリル)は嚥下反射を起こさせるSubstancePの分解を抑制する。
・アマンタジンはSubstanceP分泌を促進するドパミン分泌を増加させる。
・シロスタゾール(プレタール)にも誤嚥性肺炎予防効果あり。

・PPIは誤嚥性肺炎再発リスクを1.5倍に増加させる。胃粘膜防御因子増強薬(ガスロンなど)は肺炎リスクを低下させる。(PPIはC.difficile関連下痢症の原因にもなり得る)。

インフルエンザ

☆インフルエンザ
cf)インフルエンザB型は高熱が出ないことがある。嘔吐、下痢を伴うこともある。
・タミフル75mg 2C分2朝夕食後5日間
・イナビル吸入末剤20mg 2キット(当日と翌日の朝)
 学童は1キット
・カロナール200㎎(NSAID禁忌)発熱時頓服10回分もしくは発熱時2錠5回分
cf)
・タミフルはA型で一部耐性あり。
・タミフル、イナビルは代謝産物による薬効だが、リレンザは直接作用するので代謝による個人差がなく、吸入を5日間と煩雑だが最も効果が確実。イナビルは1回投与なので失敗する可能性あり。
cf)インフルエンザではWBC6380-8440,CRP1.9-3.2。WBC数が10,000/m3を超えている場合やCRP値が8mg/dLを超えている場合は、細菌性肺炎の合併を疑う。
cf)インフルエンザの診断書
 診断名:A型インフルエンザ感染症
 上記の者、1月22日初診にてA型インフルエンザ感染症と診断された。(1月22日に迅速検査陽性なら)1月23日から27日まで休養を要する。学校への出席は不可。尚、経過によってはこの限りではない。以下余白。(出席停止期間:「発症した後5日を経過」かつ「解熱した後2日を経過」の両方を満たす期間は登校は禁止。)
cf)妊娠中のインフルエンザについて
 ・タミフルよりはイナビルやリレンザの方が血中への移行が少ない。
 ・どちらも妊娠中や授乳中の投与はOK
 ・母乳中にはわずかに移行するが、極微量。
 ・インフルエンザの母乳感染はない。
 ・手洗い、マスクをすれば母子分離は必要ないが、搾乳をして非感染者家族が与えるのがベスト。
 ・母乳中への移行薬剤で乳児のインフルエンザは治療できない。
cf)透析患者のインフルエンザにはタミフル75mgを1日1回単回投与でよい。
cf)
 ・抗インフルエンザ薬はどれも腎排泄なので腎障害時は用量調節をすること。
 ・H1はタミフル、ラピアクタ耐性が4%あり。
 ・H1N1でH274Yというアミノ酸に変異をもつソ連型はタミフルに100%耐性あり。
 ・RIDT(rapid influenza diagnostic test:インフルエンザ迅速検査)の感度は70~80%、特異度は95%。感度が高い検査は陽性になりやすい検査で、それでも陰性なら病気なし。特異度が高い検査は陰性になりやすい検査で、それでも陽性なら病気あり。
 ・インフルエンザの潜伏期間は1~3日。
 ・血圧低下、意識障害、Sat低下あるとき、ハイリスク(5才未満、65才以上、18才未満でアスピリン長期投与例、妊婦、心肺基礎疾患、免疫抑制状態)は入院。
 ・鼻閉、筋肉痛、頭痛、寒気の感度は83~94%。逆に発熱+咳+急性発症の感度は64%だが特異度は94%。発熱+咳+急性発症でRIDT陰性でも36%はインフルエンザ。
 ・迅速抗原検査は熱発から12時間以内は偽陰性が5人に1人いることに注意する。療養などで陰性でも疑わしいならタミフル処方する。12時間以降は偽陰性はほとんどない。
 ・入院中のインフル検査は、臨床症状があり疑わしい場合にする(デフォルトではしないこと)。
 ・新型インフルエンザとはヒトヒト感染し、人類のほとんどが抗体を持たず、パンデミックになる可能性のあるもの(ソ連型など)。逆に鳥インフルエンザはトリヒト感染しかせず、ヒトヒト感染も家族内だけで遺伝素因が関与してると思われるため新型とは言わない。
 ・インフルエンザ患者の2m以内にいた人にはタミフル予防投与(1回1カプセル10日間)を行う。
cf)インフルエンザワクチンについて
・インフルエンザの問診は「卵食べてなんともないですか?」「妊娠してますか?」「以前に打ったことありますか?(なければ痛いことをお伝えする)」
・接種部位は利き手ではない方の上腕伸側の下3分の1(肩峰と肘頭を結ぶ線の下3分の1)、①右手で消毒、②アル綿を左手に持ち変えて皮膚をつまむ、③30度の角度で針を刺して、逆血ないか確認し、しびれなどないか確認する、④ゆっくり皮下注射していく、 ⑤左手のアル綿をかぶせながらゆっくりと針を抜く、揉まないでくださいと言っておくこと。
・2-3日後に発熱することもあるが38℃台のことが多く、24時間以内に解熱する。
・健診ついでにインフルエンザワクチンを希望する人がいるが、バリウム(胃透視)とインフルエンザワクチンは同日にしないこと。
・インフルエンザワクチンには卵を使う不活化ワクチンと使わない組み換えHAワクチンがある。卵アレルギーあるからといってワクチン禁忌ではない。インフルエンザワクチンそのものにアレルギーある場合は禁忌。卵を食べると蕁麻疹が出る程度の18~49才の場合は組み換えワクチンを接種する。
・12月が流行期であれば11月中旬から下旬に接種する。
・65才以上では6か月たつと抗体価は6割になる。
cf)4人部屋でインフルエンザが発生した場合(感染対策を参照)
・4人部屋の1人でインフルエンザが発生した場合:①発症1人は個室にてモニタ管理、面会も禁止、②他3人はカーテン隔離、③病室ドアを閉めるため他3人はモニタ管理、④タミフルの予防内服(タミフル1回1錠7日間)(経口できない場合はMGチューブを挿入し内服or発症時にラピアクタ。ラピアクタの予防投与はできない)、⑤インフル患者の注入やめるかどうかはrhonchiあるかどうかで決める(インフルエンザ治療でPEGやレビンありならタミフル1日2錠分2、5日間でもよい)
・感染症患者報告書の書き方:①インフルエンザAかBか、②発症日は確定診断の日に、③感染予防対策の範囲は個室に隔離したいが、現在不可能なため仕方なく大部屋にてカーテン隔離、④治療はその他(ラピアクタ1本 〇月〇日のみetc)
・大部屋の中の1人か2人がインフルエンザ陽性で、かついろいろな部屋で同じように陽性が出ている場合は職員が感染源であることが多い。
cf)インフルエンザ後の2次性肺炎について
・2次性細菌性肺炎は急性のインフルエンザに引き続いて発症する肺炎。
・症状は急性インフルエンザの後2~3日間は患者の状態が改善を示すが、その後発熱が再発し、咳嗽、膿性痰の喀出、硬化の身体所見および胸部X線所見を含む細菌性肺炎の症候を伴うことがある。
・病原菌はStreptococcus pneumoniae(肺炎球菌)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)、Haemophilus influenza(インフルエンザ桿菌)。
・2次性細菌性肺炎は慢性の肺疾患や心疾患を持つ患者や高齢者でしばしばみられる。

咽頭痛/感冒(かぜ)/咳/痰

☆咽頭痛/感冒(かぜ)/咳/痰
・小児や若年者で感冒様症状や胃腸炎症状で独歩来院する心筋炎がある。見逃すと劇症化し突然死することがある(劇症型心筋炎)。
・収縮期血圧低下、心電図変化、CPK上昇、AG増大のアシドーシスを認める。
・劇症型心筋炎の15%程度は悪心を、5-6%は下痢を伴うことがある。

<抗生剤>
・ジスロマック250mg2錠分1朝食後 3日分
・クラリスロマイシン200mg 2錠分2朝夕食後 7日分
注)マイコプラズマと百日咳の可能性がある場合はあらかじめ処方しておく(クラミジアの場合は7-14日間投与)
<感冒薬>
細菌性かウィルス性か判別つかないときは抗生剤を1~2日分くらい出した方がいいかもしれない(風邪症状や下痢の時)。
注意)感冒薬を処方する時は緑内障や前立腺肥大がないか確認すること!
注意)風邪症状で受診したリウマチ患者でMTXや生物製剤を投与中なら、結核を見逃さないこと。血痰が出てれば咳のし過ぎと思い込まず、PCR検査すること。特にニューキノロンは効果があるように見えるので注意。
cf)緑内障に抗ヒスタミン剤投与は可能
・緑内障に抗ヒスタミン剤投与は可能。
・本邦の緑内障症例のほとんどは開放隅角型で問題にならない。
・閉塞隅角型で抗ヒスタミン製剤で瞳孔ブロックが生じるのはもともと隅角癒着が進行してきている症例。ほとんどの場合はレーザー虹彩切開術等を受けているはずで、眼科を定期受診している時点でまずは問題にならない。
・実際には、眼科受診歴のない場合や前立腺肥大症の方が慎重になる必要がある。

・セラピナ顆粒1g 3包分3 5日まで
・PL顆粒1g 3包分3 5日まで(緑内障には禁忌)
cf)PL顆粒で眠気が出る場合は感冒に若年なら葛根湯1日7.5g分2~3もしくは1日18錠分2~3を食前食間、高齢なら桂枝湯(けいしとう)1日7.5g分2~3を食前食間、香蘇散(こうそさん)を1日6g分2~3(細粒)もしくあは1日7.5g(顆粒)分2~3を食前食間。
・ピーエイ配合錠6錠分3~8錠分4を5日分(顆粒が飲みにくいとき)
<咳嗽による咽頭痛や血痰>
・リカバリン250mg(トランサミン)3C分3
cf)トランサミンは腫れや痛みの原因になるキニンをキニノーゲンから産生するのを促進するプラスミンを抑制する。
<咳止め>
・フスコデ1日9錠分3(もしくは咳嗽時に2錠頓服)
cf)ジヒドロコデインリン酸3mg、dl-メチルエフェドリン7mg、クロルフェニラミン1.5mg∴喘息、緑内障、前立腺肥大には禁忌
(カフコデNにはさらにアセトアミノフェン、ブロモワレリル尿素、ジプロフィリンも含まれる)
cf)コデイン1回20mg、1日3回が強力だが、喘息には禁忌
・ニチコデ散1g3包分3(フスコデの後発品)
・濃厚ブチロコデイン配合シロップ6ml
 キョウニン水3ml
 単シロップ4ml
 精製水17ml
 1日30ml分3
・メジコン15mg3錠分3~8錠分4(後発品はシーサール)
・アストミン10~20mgを1日3回
・アスベリン20㎎3錠分3~40㎎3錠分3(去痰効果もあり)
・トクレススパンスール30㎎3錠分3(抗コリン作用あり)(緑内障には禁忌)
・ホクナリンテープ2mg1日1枚 夕方または就寝前
<咽頭痛>
・アクロマイシントローチ15mg1錠
・ネオヨジンガーグル50ml
<鼻水>
・アルデシンAQネーザル(アルデシン点鼻切り替え)1瓶1日4回20回分
・アラミスト点鼻27.5μg56回噴霧用5mg1瓶 1日1回
・フルナーゼ点鼻50μg28回噴霧用2.4㎎1瓶 1日2回
<咳喘息>
・セレベントロタディスク/ディスカス(50μg)1回1吸入 1日2回朝、就寝前(β2刺激薬:診断的治療にて1~2週間使用)
・フルタイドディスカス(200μg)1回1吸入 1日2回朝夕(ICS:吸入ステロイド、診断後に継続治療)
cf)2-4週間は継続すること!基本は継続投与が基本だが、中止して経過見てもよい。
・ホクナリンテープ2mg1日1枚 夕方または就寝前
・シングレア10mg1錠1日1回
cf)百日咳、マイコプラズマ、クラミジア肺炎をチェックする。
・百日咳PT-IgGを急性期と回復期(2-3週後)に測定(ぺア血清)し、①10EU/ml未満が10EU/ml以上に陽転化or②2倍以上の上昇or③100EU/ml以上であれば診断できる。
・マイコプラズマ抗原(咽頭拭い液)でチェックする。抗体であればPA法で①320倍以上or②ペア血清で4倍以上の上昇があれば診断できる。
・C.pneumoniaeは血清IgG/IgA(ELISA法)で2+/2+,1+/2+,2+/1+,-/2+,2+/-(どちらかが2+以上であれば現感染を疑う、2+:index3.00以上、1+:index1.10-2.99)
<痰>
・ムコダイン500㎎3錠分3
・ムコソルバン15㎎3錠分3
cf)ムコダインはシアル酸やフコースを分解し痰の粘度を下げる。ムコソルバンはサーファクタントの分泌を促進し気道を痰が通過しやすくする。
cf)にんにく注射(保険適応なし!自費で!)
・ソリタT3 200ml
・アリナミンF50注20mlやアリナミン10mg/2mlなど
・サブビタン1A(ビタミンB,C)
・強力ネオミノファーゲンC5ml

cf)妊娠中の喘息(無難に咳嗽時メジコン1-2T屯用でも良いが・・・)
・妊娠中の喘息のコントロールにはパルミコート200-400μg/day。
注)パルミコートはフルタイドの1/2の力価。
cf)参考論文
・The risk of teratogenic effects of inhaled medications (ICS, SABA and
LABA) is small. (Ned Tijdschr Geneeskd. 2018;162)
・Normal pregnancy outcomes in a population-based study including 2,968
pregnant women exposed to budesonide.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12704351

cf)アレルギー性咳嗽や感染後咳嗽の処方について
・ステロイド吸入ならフルタイド200μ 4BL/日 2週間(咳が止まっても2週間は続けること)
・欧米のフルチカゾンの慢性咳嗽に対する有効性の研究は1000μ/日
・400μ/日では失敗することが多い。800μ/日でも副作用が出ることはない。
・吸入ステロイドを使うなら抗アレルギー薬は不必要。
・中枢性鎮咳薬は対処療法。メジコンは2錠/回、コデインは20mg/回の1日3回でないと効果なし。
・コデインやメジコンは空腹時内服、コデインは便秘の副作用あり。
・コデインやメジコンの効果は2-3時間程度
cf)感染後咳嗽
・マイコプラズマは当初から激しい咳と発熱が特徴。2週間以内に外来受診するはず。
・大人の百日咳は咳に特徴なし。外来受診時は痙咳期で抗菌薬は無効。
・マイコプラズマ、クラミジア、百日咳も否定できない場合はレスピラトリーキノロン(トスフロキサシン、ガレノキサシン)を3-5日間(長くても1週間)
cf)長引く咳について
・定義:3週間以上なら遷延性、8週間以上なら慢性
・原因:気管支喘息、アレルギー性咳嗽(咳喘息、アトピー咳嗽)、感染後咳嗽、慢性下気道感染症>気管支結核、肺癌
・必要な検査:病歴聴取、聴診、胸部x線、CT、スパイロメトリー
・病歴聴取:痰の起こる時間帯、痰の有無、痰の色
・アレルギー性咳嗽(咳喘息、アトピー咳嗽):痰が無色か白色ならアレルギー性、アレルギー歴がなくてもアレルギー性は否定できない。冷気曝露、会話、電話、就寝により誘発されるならアレルギー性、咳喘息は比較的末梢、アトピー咳嗽は中枢気道
・咳喘息は喘息になることがある
・咳喘息は気管支拡張薬に反応し、アトピー咳嗽は反応しない(実際にはどちらにも反応しないことが半数を占める)が、どちらもステロイド吸入薬で対処できる(corticosteroid responsive cough)
デキストロメトルファン(メジコン)、コデインなどの中枢性鎮咳薬は短時間しか効果がない→ステロイド吸入薬が効くまでのつなぎ
去痰薬やツロブテロールやテオフィリンは効果なし
・百日咳:大人の遷延性咳嗽にある程度混じっている、外来受診する痙咳期は感染性はなく抗菌薬も無効
・慢性下気道感染症:痰の色が有色、胸部X線やHRCTで診断
・感染後咳嗽(感冒後咳嗽):明らかな上気道炎症状に続いて咳が始まり2週間以上遷延する  

耳痛/頬痛

☆耳痛/頬痛
・オーグメンチン250mg4錠分4
・カロナール錠200mg 2錠
cf)オーグメンチンは簡易懸濁は不可。胃管から投与するときはユナシン(経口薬)にする。

胃痛(FDも含む)

<注意!!>
胃痛か狭心痛か判別できない時(STが1mmを超えない程度に上昇or低下しているが、TropTやラピチェックは陰性の場合など)はニトロペン舌下錠0.3mgを投与し、15分後に心電図再検する。帰宅させる場合は狭心痛の可能性が否定できないため、後日の循環器受診の指示とニトロペン舌下錠0.3mg3回分を処方する。
鯖寿司を食べた後に胃痛、胆石持ちの胃痛、逆流性食道炎持ちの胃痛、嘔吐を繰り返した後の胃痛など病歴から消化器疾患を強く疑う場合でもまずは心電図にてACSを否定すること!全ての胃痛は心電図が必須!
☆胃痛(FDも含む)
・スルカイン100mg2錠
・ムコスタ100mg3錠分3毎食後
・ランソプラゾール15mg タケプロン2錠朝食後 14日分
・ガスモチン5㎎3錠分3毎食後
  消化管蠕動促進
・オメプラール20mg 1瓶
  生食100ml 1瓶
  30分かけて
 (生食20mlでショットで投与してもよい) 
・ラクテック500ml
 ブスコパン20mg2%1ml 1A
 ブスコパンはショットでCPAも。できるだけショットは避ける。BPHや緑内障ある場合はグルカゴン。
・アタラックスP 25mg 1Aショット
・プリンペラン10mg0.5%2ml 1Aショット
FDの典型処方
・ラベプラゾール10mg1錠分1
・アコファイド100mg3錠分3(アコファイド処方時には内視鏡検査日をレセプトに記載必要あり。)
・ビオフェルミン3g分3
・六君子湯(りっくんしとう)2.5g/包 3包分3
食後の胃もたれ、腹部膨満感がメインなら:
・アコファイド1錠100mg3錠毎食前
 ChEI。消化管の神経終末でのAch増加により胃運動機能改善、迷走神経を介したストレス調節。
・ガナトン1錠50mg3錠毎食前
 抗D2、ChEI。蠕動亢進、受容性弛緩不全改善。BBB通過しにくい。
・ガスモチン1錠5mg3錠毎食前、毎食後
 5HT4作働薬。上部と下部の蠕動亢進、便秘にも有効。
・セレキノン1錠100mg3錠分3(IBSでは6錠分3まで増量可能)
 オピアト調節薬。蠕動亢進では抑制し、蠕動抑制では亢進。
・ナウゼリン1回5~10mg1日3回食前
 抗D2。プリンペランよりBBB通過しにくい。
・プリンペラン5mg1日2回~10mg1日3回
 抗D2。制吐、蠕動亢進作用。BBB通過しやすいため錘体外路症状きたしやすい。
・心窩部痛、心窩部灼熱感ならPPI、H2拮抗薬を使う。
cf)妊娠中の胃痛薬
  ・H2拮抗薬(ファモチジン、ラニチジン)は安全。
  ・PPIも安全だが、H2拮抗薬より奇形発生率はやや高い。
  ・奇形率:通常妊娠2-3%、H2拮抗薬2.7%、PPI3.6%
cf)胆石発作(胆石による急性の痛み、胆嚢炎も含む)にはコスパノンカプセル40mg3c/3x、疼痛時にロキソニン60mg、ムコスタ100mg
cf)機能性ディスペプシアは胃壁伸展異常や伸展に対する知覚過敏。ピロリ除菌でよくなるのは15人に1人。PPIやアコチアミドを使う。あとは抗うつ薬、抗不安薬、漢方。
cf)FD(機能性消化管ディスペプシア)の診断基準:
 ①食後のもたれ感
 ②食後早期の飽満感
 ③心窩部痛
 ④心窩部灼熱感
  のうち1項目が3ヶ月以上続く
前2つはPDS(post prandial distress syndrome:食後不定愁訴症候群)、後2つはEPS(epigastric pain syndrome:心窩部痛症候群)と呼ばれる。
・FDの成因は、胃酸分泌の亢進または低下、胃排出能の遅延、胃前庭部の運動能力の低下、噴門部適応性弛緩能低下 (十二指腸に脂肪が流入するとCCKが分泌され胃収縮能や噴門部の拡張能が低下する。FDではCCKへの感受性が高い)、十二指腸胃逆流(十二指腸内のMΦや好酸球の増加を認める)、胃小腸の内臓知覚異常、
ピロリ箘による胃粘膜の炎症(除菌すると3年で症状改善することあり)
、腸脳相関(幼少期の過度のストレスにより内臓感覚処理機構の異常)
cf)胆汁逆流による胃炎ならPPIは逆効果。胃液が緑色なら胆汁逆流によるものか。粘膜保護剤とガスモチンで対処する。