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2014年9月17日水曜日

水様性下痢(IBSも含む)

<注意!!>
下痢の訴えで、実は軟便、臍周囲の鈍痛、食欲なしは虫垂炎!!
虫垂が長くて臍あたりまで来ていると考えるべし!!
もしくは腸捻転や絞扼!!痛みの部位に一致する腸管の狭窄/狭小化と口側の軽度拡張、少量腹水あれば疑うこと。痛みは強いはず。

・小児や若年者で感冒様症状や胃腸炎症状で独歩来院する心筋炎がある。見逃すと劇症化し突然死することがある(劇症型心筋炎)。
・収縮期血圧低下、心電図変化、CPK上昇、AG増大のアシドーシスを認める。
・劇症型心筋炎の15%程度は悪心を、5-6%は下痢を伴うことがある。

cf)細菌性かウィルス性か判別つかないときは抗生剤を1~2日分くらい出した方がいいかもしれない(風邪症状や下痢の時)。
☆水様性下痢(IBSも含む)
急性胃腸炎:
・ミヤBM 3g分3
・ロペラミド塩酸塩カプセル1mg(ロペミン)2C 朝夕毎食後
・ホスミシン500mg3錠分3~4錠分4
 39度以上の発熱、濃粘血便、激しい腹痛、しぶり腹のどれかがあるとき。重篤であれば便培養とセキリアメーバAB:FAも提出。便ロタウィルス(迅速)や血中ノロウィルス抗原(迅速)。
cf)ノロウィルスの隔離解除は下痢消失2~3日
・ブスコパン20mg2%1ml 1A(ショットはしないこと。50ml以上の生食に溶かして点滴する)
 急性胃腸炎の腹痛時。静注では頻脈きたすことあり。筋注の方がよい。ラクテック500ml点注でもよい。喘息の既往あれば使わない。
・プリンペラン10mg/2ml 1A(ショットでも可だがdyskinesia起こすことあり。生食20mlに希釈して静注がbetter。)
 嘔気時。
・抗生剤使用時の水様性下痢はCDIを疑う:
①抗生剤の中止
②既往があるならミヤBMやビオフェルミンR(Rなしは無効)、レベニンの事前投与
③マクロライド、ニューキノロンへの変更
④メトロニダゾール(フラジール) 250 mg 4錠分4
⑤VCM500mg~2gを単シロップ4mlと精性水36mlに溶いて分4で内服
CD-1毒素陽性、CD-1抗原陽性の時。経口摂取困難の時はNGtubeから投与。
注意)CDIにフラジールかバンコマイシンか
・軽度から中等度のCDIに対してはメトロニダゾール
・65歳以上で再発のリスクがある、抗菌薬をCDIの初発以後30日間に使用する場合には、初発時からバンコマイシンを投与
・これらのリスクがない場合には、奏効率と再発率においてバンコマイシンと差はなく、薬価も低いメトロニダゾールを投与

 ・大建中湯、マグミット、エレンタール、ラクツロースなど下痢になる内服の中止。
過敏性腸症候群(IBS):
 ・コロネル/ポリフル細粒83.3%1.2g/包 3包分3
 ・ビオフェルミン3g分3
下痢型IBS:
 ・ストレスを避け、FODMAP食品を減らすよう指導する
 ・ビオフェルミン3-6g分3,ミヤBM3g分3:プロバイオティクス
 ・ポリフル500mg3錠毎食後(6錠分3まで増量可):高分子重合体
以上が無効な場合:
 ・ブスコパン10mg3錠分3もしくは腹痛時1錠頓服
 ・ロペミン1mg2C分2:止痢剤、頓服でも可
 ・セレキノン100mg3錠分3(6錠分3まで増量可):消化管機能調整薬、頓服でも可
 ・イリボー5μg1錠分1(男性:5-10μg/女性:2.5-5μg):5HT3拮抗薬、頓服でも可
処方例)ネキシウム10mg1錠朝、ビオフェルミン3g分3、セレキノン100mg6錠分3など。
さらに無効な場合:
 ・ドグマチール50mg3錠分3毎食前
cf)IBSについて
・原因:
腸炎による腸内細菌の変化
②FODMAP食品の制限(fermentable発酵性:小麦や玉ねぎ、oligosaccharidesオリゴ糖:ひよこ豆やレンズ豆、disacchalides2糖類:牛乳やヨーグルト、monosaccharides単糖類:ハチミツ、polyolsポリオール:甘味料)

cf)最低1ヶ月は米、卵、魚、肉、ニンジン、レタス、きゅうり、トマト、マヨネーズ、塩コショウ、醤油少々、普通の油、バターのみで過ごす。
③ストレスによるCRH増加で蠕動亢進や粘膜炎症増加、リンパ球/CD3陽性細胞/CD25陽性細胞、TNFα/IL-1,6,12の増加、肥満細胞の増加
④glutamine synthetase遺伝子発現増加による粘膜透過性亢進
⑤serotonin transporter遺伝子のs/s型はセロトニン取り込み低下しセロトニン増加
・診断基準:過去3か月にわたり1か月に3日以上で腹痛や腹部不快感をきたし、以下のうち2項目を満たす。1)排便で症状が改善する、2)発症時に排便頻度に変化がある、3)発症時に便形状に変化がある 
・薬物療法
①プロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸菌)
②高分子重合体(ポリフル、コロネル:水分を吸収し腸内水分保持や蠕動調整、Ca含むため腎機能低下時には高Caに注意)
③①、②で無効
 ・消化管機能調整薬(セレキノン:オピオイド受容体作用薬、蠕動亢進時は抑制し蠕動低下時は亢進させる)
 ・男性の下痢型には5HT3拮抗薬のイリボー
 ・便秘型にはアミティーザ、屯用でセンナ/アローゼン/トランコロン/ラキソベロン
 ・下痢型にはロペミン/タンナビル/フェロベリンなどの止痢剤
 ・腹痛には抗コリン薬のブスコパン/チアトン/トランコロン
 ・上記が無効でうつ優性ならSSRI、不安優性なら抗不安薬を使う。 
 ・それでも無効なら小腸内視鏡や乳糖付加試験をすること。
注)
・FODMAPを含むもの:小麦、豆類、牛乳、ヨーグルト、チーズ、ニンニク、玉ねぎ、大根、ゴボウ、キャベツ、アスパラ、アボガド、蜂蜜、りんご、桃、納豆、キムチ、キシリトール、ソルビトール
・FODMAPが小腸の酵素で分解しきれずに残ると大腸で発酵し、ガス、水分、短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)が生じ、IBS症状の原因となる。また、セルラーゼ産生菌があると、発酵性食物繊維(セルロース、ヘミセルロース)が発酵しプロピオン酸を生じ、IBS症状をきたす。 




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