☆認知症
・アリセプト3mg1錠分1→2週間後に5mg1錠分1→4週間後に10mg1 錠分1
アルツハイマー型(AD)、レビー小体型(DLB)に適応。消化器症状(嘔吐、下痢など)、徐脈、易興奮性や不穏などあり
・イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ1日1回4.5mgから開始し、4週間毎に4.5mgずつ増量し18mgが維持量
アルツハイマー型のみ。レビー小体型には保険適応ないが効果あり。消化器症状は他のChEIより少ない。
cf)ADもDLBともにアリセプトかイクセロン/リバスタッチ。
cf)リバスタッチは剥がれたら新しいものを貼って構わない。血中濃度が一定になるようになっているので。
・メマリー1日1回5mgから開始し1週間毎に5mgずつ増量し20mgが維持量
記憶定着、不機嫌や攻撃性はメマンチン就寝前。アルツハイマー型のみに保険適応あり。前頭側頭葉変性症(FTLD)はChEIで悪化するので注意。通常、ChEIと併用して使う。
・抑肝散7.5mg分3毎食前
レビー小体型で攻撃性あるとき。6週間で効果なければ中止。
・グラマリール75mg~150mg分3、25㎎1日1回から開始
レビー小体型や脳梗塞後で攻撃性あるとき。
・セロクエル25mg0.5-1錠就寝前
レビー小体型で攻撃性あるとき。効果ない時は1錠1日2回、就寝前と昼食前に増量する。DMでは禁忌。
・リスパダール内用液(1mg/mL)就寝前~1包1日2回、就寝前と昼食前
レビー小体型で攻撃性あるとき。
cf)認知症が高齢者の食思不振の原因になっていることあり。
・プラビックス75mg1錠分1
脳血管性認知症の時。
<認知症治療薬について>
①アルツハイマー型認知症(AD)
・ドネペジル(アリセプト):ChEI、軽度~高度、錠剤/OD錠/細粒/ゼリー
・リバスタチン(リバスタッチ):ChEI、軽度~中等度、パッチ
・ガランタミン(レミニール):ChEI、軽度~中等度、錠剤/OD錠/液剤、DLBにも有効だが保険適応はなし。
・メマンチン(メマリー):NMDA受容体拮抗薬、中等度~高度、錠剤、他のChEIと併用して使う
cf)ChEIは下痢、嘔吐などの消化器症状や易興奮性/不穏、徐脈の副作用あり。リバスタチンは消化器症状が少ないので他薬剤で副作用出たときに使用してみる。3剤とも効果は差なし。副作用見ながら、2週間ごとに緩徐に増量し、副作用の出ない範囲で維持量とする(必ず増量しないといけないとは限らない)。特に興奮や不穏は認知症の進行なのか、ChEIの副作用なのかわかりにくいことがある。メマンチンは鎮静効果が強く出て眩暈、傾眠、食思不振が出ることあり。
cf)ADAS-cog(エーダスコグ)の70点満点のうち3-4点の改善効果、ADLでは年間2か月分の信仰予防効果あり。ただし効果には個人差がある。
cf)アルツハイマー型は記銘力障害が中心、物取られ妄想、意欲低下、徘徊、嫉妬妄想、head turning sign。診断は髄液中のβアミロイドやタウ蛋白の増加、βアミロイドPETなど。
②レビー小体型認知症(DLB)
・ドネペジル(アリセプト):幻視が消失するなど効果は出やすい、ChEIの中で保険適応はこれのみ。
・クエチアピン(セロクエル):幻視が強い時などは25~75mgを就寝前に内服する。DMでは禁忌。
・L-dopa パーキンソンニズムが強い時
cf)幻視、初期からのパーキンソンニズム、REM睡眠行動異常(悪夢や睡眠中に叩く等)、自律神経障害(頑固な便秘や起立性低血圧)など。MIBGシンチにて診断する。
③脳血管性認知症
・生活習慣病の改善、抗血小板薬、抗凝固薬など
cf)脳梗塞をきっかけに認知症が進むが、因果関係がはっきりしないこともある。
cf)MRIや脳血流SPECTにて診断する
④前頭側頭葉変性症(FTLD)
・対処療法が中心で、非定型精神病薬を使うこともある
cf)緩徐進行する失語タイプ、行動異常を伴うタイプ(going my way、脱抑制)がある。物忘れは目立たない。
⑤軽度認知機能障害(MCI)
・ChEIによる進行予防効果は認められない。デメリットの方が大きい。
cf)認知症を疑うepisode:用事を忘れる、同じものを何個も買う、会話が同じ内容、残薬があるのに服用していると取り繕う、衣服の着脱に時間がかかる等。
注意)認知症診断の前に甲状腺機能、低血糖、低Na、高Ca、B1,B12,葉酸欠乏、頭部CTにて正常圧水頭症(歩行障害、尿失禁などを伴う)、慢性硬膜下血腫を除外する。
cf)アルツハイマー型認知症では嚥下機能と病状の進行が一致しているが、脳血管性認知症やレビー小体型認知症では全身状態が悪化する前に、嚥下機能が低下する場合もある(元気そうに見えているのに誤嚥性肺炎ばかり起こす)。
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