☆インフルエンザ
cf)インフルエンザB型は高熱が出ないことがある。嘔吐、下痢を伴うこともある。
・タミフル75mg 2C分2朝夕食後5日間
・イナビル吸入末剤20mg 2キット(当日と翌日の朝)
学童は1キット
・カロナール200㎎(NSAID禁忌)発熱時頓服10回分もしくは発熱時2錠5回分
cf)
・タミフルはA型で一部耐性あり。
・タミフル、イナビルは代謝産物による薬効だが、リレンザは直接作用するので代謝による個人差がなく、吸入を5日間と煩雑だが最も効果が確実。イナビルは1回投与なので失敗する可能性あり。
cf)インフルエンザではWBC6380-8440,CRP1.9-3.2。WBC数が10,000/m3を超えている場合やCRP値が8mg/dLを超えている場合は、細菌性肺炎の合併を疑う。
cf)インフルエンザの診断書
診断名:A型インフルエンザ感染症
上記の者、1月22日初診にてA型インフルエンザ感染症と診断された。(1月22日に迅速検査陽性なら)1月23日から27日まで休養を要する。学校への出席は不可。尚、経過によってはこの限りではない。以下余白。(出席停止期間:「発症した後5日を経過」かつ「解熱した後2日を経過」の両方を満たす期間は登校は禁止。)
cf)妊娠中のインフルエンザについて
・タミフルよりはイナビルやリレンザの方が血中への移行が少ない。
・どちらも妊娠中や授乳中の投与はOK
・母乳中にはわずかに移行するが、極微量。
・インフルエンザの母乳感染はない。
・手洗い、マスクをすれば母子分離は必要ないが、搾乳をして非感染者家族が与えるのがベスト。
・母乳中への移行薬剤で乳児のインフルエンザは治療できない。
cf)透析患者のインフルエンザにはタミフル75mgを1日1回単回投与でよい。
cf)
・抗インフルエンザ薬はどれも腎排泄なので腎障害時は用量調節をすること。
・H1はタミフル、ラピアクタ耐性が4%あり。
・H1N1でH274Yというアミノ酸に変異をもつソ連型はタミフルに100%耐性あり。
・RIDT(rapid influenza diagnostic test:インフルエンザ迅速検査)の感度は70~80%、特異度は95%。感度が高い検査は陽性になりやすい検査で、それでも陰性なら病気なし。特異度が高い検査は陰性になりやすい検査で、それでも陽性なら病気あり。
・インフルエンザの潜伏期間は1~3日。
・血圧低下、意識障害、Sat低下あるとき、ハイリスク(5才未満、65才以上、18才未満でアスピリン長期投与例、妊婦、心肺基礎疾患、免疫抑制状態)は入院。
・鼻閉、筋肉痛、頭痛、寒気の感度は83~94%。逆に発熱+咳+急性発症の感度は64%だが特異度は94%。発熱+咳+急性発症でRIDT陰性でも36%はインフルエンザ。
・迅速抗原検査は熱発から12時間以内は偽陰性が5人に1人いることに注意する。療養などで陰性でも疑わしいならタミフル処方する。12時間以降は偽陰性はほとんどない。
・入院中のインフル検査は、臨床症状があり疑わしい場合にする(デフォルトではしないこと)。
・新型インフルエンザとはヒトヒト感染し、人類のほとんどが抗体を持たず、パンデミックになる可能性のあるもの(ソ連型など)。逆に鳥インフルエンザはトリヒト感染しかせず、ヒトヒト感染も家族内だけで遺伝素因が関与してると思われるため新型とは言わない。
・インフルエンザ患者の2m以内にいた人にはタミフル予防投与(1回1カプセル10日間)を行う。
cf)インフルエンザワクチンについて
・インフルエンザの問診は「卵食べてなんともないですか?」「妊娠してますか?」「以前に打ったことありますか?(なければ痛いことをお伝えする)」
・接種部位は利き手ではない方の上腕伸側の下3分の1(肩峰と肘頭を結ぶ線の下3分の1)、①右手で消毒、②アル綿を左手に持ち変えて皮膚をつまむ、③30度の角度で針を刺して、逆血ないか確認し、しびれなどないか確認する、④ゆっくり皮下注射していく、 ⑤左手のアル綿をかぶせながらゆっくりと針を抜く、揉まないでくださいと言っておくこと。
・2-3日後に発熱することもあるが38℃台のことが多く、24時間以内に解熱する。
・健診ついでにインフルエンザワクチンを希望する人がいるが、バリウム(胃透視)とインフルエンザワクチンは同日にしないこと。
・インフルエンザワクチンには卵を使う不活化ワクチンと使わない組み換えHAワクチンがある。卵アレルギーあるからといってワクチン禁忌ではない。インフルエンザワクチンそのものにアレルギーある場合は禁忌。卵を食べると蕁麻疹が出る程度の18~49才の場合は組み換えワクチンを接種する。
・12月が流行期であれば11月中旬から下旬に接種する。
・65才以上では6か月たつと抗体価は6割になる。
cf)4人部屋でインフルエンザが発生した場合(感染対策を参照)
・4人部屋の1人でインフルエンザが発生した場合:①発症1人は個室にてモニタ管理、面会も禁止、②他3人はカーテン隔離、③病室ドアを閉めるため他3人はモニタ管理、④タミフルの予防内服(タミフル1回1錠7日間)(経口できない場合はMGチューブを挿入し内服or発症時にラピアクタ。ラピアクタの予防投与はできない)、⑤インフル患者の注入やめるかどうかはrhonchiあるかどうかで決める(インフルエンザ治療でPEGやレビンありならタミフル1日2錠分2、5日間でもよい)
・感染症患者報告書の書き方:①インフルエンザAかBか、②発症日は確定診断の日に、③感染予防対策の範囲は個室に隔離したいが、現在不可能なため仕方なく大部屋にてカーテン隔離、④治療はその他(ラピアクタ1本 〇月〇日のみetc)
・大部屋の中の1人か2人がインフルエンザ陽性で、かついろいろな部屋で同じように陽性が出ている場合は職員が感染源であることが多い。
cf)インフルエンザ後の2次性肺炎について
・2次性細菌性肺炎は急性のインフルエンザに引き続いて発症する肺炎。
・症状は急性インフルエンザの後2~3日間は患者の状態が改善を示すが、その後発熱が再発し、咳嗽、膿性痰の喀出、硬化の身体所見および胸部X線所見を含む細菌性肺炎の症候を伴うことがある。
・病原菌はStreptococcus pneumoniae(肺炎球菌)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)、Haemophilus influenza(インフルエンザ桿菌)。
・2次性細菌性肺炎は慢性の肺疾患や心疾患を持つ患者や高齢者でしばしばみられる。
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