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2014年9月17日水曜日

咽頭痛/感冒(かぜ)/咳/痰

☆咽頭痛/感冒(かぜ)/咳/痰
・小児や若年者で感冒様症状や胃腸炎症状で独歩来院する心筋炎がある。見逃すと劇症化し突然死することがある(劇症型心筋炎)。
・収縮期血圧低下、心電図変化、CPK上昇、AG増大のアシドーシスを認める。
・劇症型心筋炎の15%程度は悪心を、5-6%は下痢を伴うことがある。

<抗生剤>
・ジスロマック250mg2錠分1朝食後 3日分
・クラリスロマイシン200mg 2錠分2朝夕食後 7日分
注)マイコプラズマと百日咳の可能性がある場合はあらかじめ処方しておく(クラミジアの場合は7-14日間投与)
<感冒薬>
細菌性かウィルス性か判別つかないときは抗生剤を1~2日分くらい出した方がいいかもしれない(風邪症状や下痢の時)。
注意)感冒薬を処方する時は緑内障や前立腺肥大がないか確認すること!
注意)風邪症状で受診したリウマチ患者でMTXや生物製剤を投与中なら、結核を見逃さないこと。血痰が出てれば咳のし過ぎと思い込まず、PCR検査すること。特にニューキノロンは効果があるように見えるので注意。
cf)緑内障に抗ヒスタミン剤投与は可能
・緑内障に抗ヒスタミン剤投与は可能。
・本邦の緑内障症例のほとんどは開放隅角型で問題にならない。
・閉塞隅角型で抗ヒスタミン製剤で瞳孔ブロックが生じるのはもともと隅角癒着が進行してきている症例。ほとんどの場合はレーザー虹彩切開術等を受けているはずで、眼科を定期受診している時点でまずは問題にならない。
・実際には、眼科受診歴のない場合や前立腺肥大症の方が慎重になる必要がある。

・セラピナ顆粒1g 3包分3 5日まで
・PL顆粒1g 3包分3 5日まで(緑内障には禁忌)
cf)PL顆粒で眠気が出る場合は感冒に若年なら葛根湯1日7.5g分2~3もしくは1日18錠分2~3を食前食間、高齢なら桂枝湯(けいしとう)1日7.5g分2~3を食前食間、香蘇散(こうそさん)を1日6g分2~3(細粒)もしくあは1日7.5g(顆粒)分2~3を食前食間。
・ピーエイ配合錠6錠分3~8錠分4を5日分(顆粒が飲みにくいとき)
<咳嗽による咽頭痛や血痰>
・リカバリン250mg(トランサミン)3C分3
cf)トランサミンは腫れや痛みの原因になるキニンをキニノーゲンから産生するのを促進するプラスミンを抑制する。
<咳止め>
・フスコデ1日9錠分3(もしくは咳嗽時に2錠頓服)
cf)ジヒドロコデインリン酸3mg、dl-メチルエフェドリン7mg、クロルフェニラミン1.5mg∴喘息、緑内障、前立腺肥大には禁忌
(カフコデNにはさらにアセトアミノフェン、ブロモワレリル尿素、ジプロフィリンも含まれる)
cf)コデイン1回20mg、1日3回が強力だが、喘息には禁忌
・ニチコデ散1g3包分3(フスコデの後発品)
・濃厚ブチロコデイン配合シロップ6ml
 キョウニン水3ml
 単シロップ4ml
 精製水17ml
 1日30ml分3
・メジコン15mg3錠分3~8錠分4(後発品はシーサール)
・アストミン10~20mgを1日3回
・アスベリン20㎎3錠分3~40㎎3錠分3(去痰効果もあり)
・トクレススパンスール30㎎3錠分3(抗コリン作用あり)(緑内障には禁忌)
・ホクナリンテープ2mg1日1枚 夕方または就寝前
<咽頭痛>
・アクロマイシントローチ15mg1錠
・ネオヨジンガーグル50ml
<鼻水>
・アルデシンAQネーザル(アルデシン点鼻切り替え)1瓶1日4回20回分
・アラミスト点鼻27.5μg56回噴霧用5mg1瓶 1日1回
・フルナーゼ点鼻50μg28回噴霧用2.4㎎1瓶 1日2回
<咳喘息>
・セレベントロタディスク/ディスカス(50μg)1回1吸入 1日2回朝、就寝前(β2刺激薬:診断的治療にて1~2週間使用)
・フルタイドディスカス(200μg)1回1吸入 1日2回朝夕(ICS:吸入ステロイド、診断後に継続治療)
cf)2-4週間は継続すること!基本は継続投与が基本だが、中止して経過見てもよい。
・ホクナリンテープ2mg1日1枚 夕方または就寝前
・シングレア10mg1錠1日1回
cf)百日咳、マイコプラズマ、クラミジア肺炎をチェックする。
・百日咳PT-IgGを急性期と回復期(2-3週後)に測定(ぺア血清)し、①10EU/ml未満が10EU/ml以上に陽転化or②2倍以上の上昇or③100EU/ml以上であれば診断できる。
・マイコプラズマ抗原(咽頭拭い液)でチェックする。抗体であればPA法で①320倍以上or②ペア血清で4倍以上の上昇があれば診断できる。
・C.pneumoniaeは血清IgG/IgA(ELISA法)で2+/2+,1+/2+,2+/1+,-/2+,2+/-(どちらかが2+以上であれば現感染を疑う、2+:index3.00以上、1+:index1.10-2.99)
<痰>
・ムコダイン500㎎3錠分3
・ムコソルバン15㎎3錠分3
cf)ムコダインはシアル酸やフコースを分解し痰の粘度を下げる。ムコソルバンはサーファクタントの分泌を促進し気道を痰が通過しやすくする。
cf)にんにく注射(保険適応なし!自費で!)
・ソリタT3 200ml
・アリナミンF50注20mlやアリナミン10mg/2mlなど
・サブビタン1A(ビタミンB,C)
・強力ネオミノファーゲンC5ml

cf)妊娠中の喘息(無難に咳嗽時メジコン1-2T屯用でも良いが・・・)
・妊娠中の喘息のコントロールにはパルミコート200-400μg/day。
注)パルミコートはフルタイドの1/2の力価。
cf)参考論文
・The risk of teratogenic effects of inhaled medications (ICS, SABA and
LABA) is small. (Ned Tijdschr Geneeskd. 2018;162)
・Normal pregnancy outcomes in a population-based study including 2,968
pregnant women exposed to budesonide.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12704351

cf)アレルギー性咳嗽や感染後咳嗽の処方について
・ステロイド吸入ならフルタイド200μ 4BL/日 2週間(咳が止まっても2週間は続けること)
・欧米のフルチカゾンの慢性咳嗽に対する有効性の研究は1000μ/日
・400μ/日では失敗することが多い。800μ/日でも副作用が出ることはない。
・吸入ステロイドを使うなら抗アレルギー薬は不必要。
・中枢性鎮咳薬は対処療法。メジコンは2錠/回、コデインは20mg/回の1日3回でないと効果なし。
・コデインやメジコンは空腹時内服、コデインは便秘の副作用あり。
・コデインやメジコンの効果は2-3時間程度
cf)感染後咳嗽
・マイコプラズマは当初から激しい咳と発熱が特徴。2週間以内に外来受診するはず。
・大人の百日咳は咳に特徴なし。外来受診時は痙咳期で抗菌薬は無効。
・マイコプラズマ、クラミジア、百日咳も否定できない場合はレスピラトリーキノロン(トスフロキサシン、ガレノキサシン)を3-5日間(長くても1週間)
cf)長引く咳について
・定義:3週間以上なら遷延性、8週間以上なら慢性
・原因:気管支喘息、アレルギー性咳嗽(咳喘息、アトピー咳嗽)、感染後咳嗽、慢性下気道感染症>気管支結核、肺癌
・必要な検査:病歴聴取、聴診、胸部x線、CT、スパイロメトリー
・病歴聴取:痰の起こる時間帯、痰の有無、痰の色
・アレルギー性咳嗽(咳喘息、アトピー咳嗽):痰が無色か白色ならアレルギー性、アレルギー歴がなくてもアレルギー性は否定できない。冷気曝露、会話、電話、就寝により誘発されるならアレルギー性、咳喘息は比較的末梢、アトピー咳嗽は中枢気道
・咳喘息は喘息になることがある
・咳喘息は気管支拡張薬に反応し、アトピー咳嗽は反応しない(実際にはどちらにも反応しないことが半数を占める)が、どちらもステロイド吸入薬で対処できる(corticosteroid responsive cough)
デキストロメトルファン(メジコン)、コデインなどの中枢性鎮咳薬は短時間しか効果がない→ステロイド吸入薬が効くまでのつなぎ
去痰薬やツロブテロールやテオフィリンは効果なし
・百日咳:大人の遷延性咳嗽にある程度混じっている、外来受診する痙咳期は感染性はなく抗菌薬も無効
・慢性下気道感染症:痰の色が有色、胸部X線やHRCTで診断
・感染後咳嗽(感冒後咳嗽):明らかな上気道炎症状に続いて咳が始まり2週間以上遷延する  

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